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5年前もイスタンブールで選挙速報を見ていた
今日はいよいよ、大統領・議会選の投開票日。今朝早く、Serbestはアンカラへ帰っていった。長い一日の始まりだ。
私はバスでユスキュダルより更に北側のちょっとした高台にある公園へ向かう。広くて眺めの良いその公園は、ピクニックできるように設えてあって、家族連れで賑わっていた。穴場っぽい一角を見つけてしばらく歌練。すぐに子供がたくさんやってきて遊び始めたが続ける。
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小一時間ほどやって、ゆっくり海側に降りていく。ユスキュダルはイスラム色の強いエリアだと言うが、古い街並みが残っていて散歩していると気分が良い。
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家に帰ってしばらくするとBelgîzも帰宅。長らく背中を痛めているらしく辛そうだ。夕食用と思われるブルグルを買ってきていたが、キッチンに長く立つのは大変だろうと思い、前回気に入ってくれたカレーを作った。
2人で早めの夕食を終えると、近所に住むBelgîzの友人に招かれたので、その友人宅で選挙速報を見る。
2018年の大統領選の時も私はイスタンブールにいた。初めてのイスタンブールで、初めて「クルド」を知った。タクシムでジーザスやFatihたちと速報を見ていた。その夜の便で帰国することになってきたので、「この新しい友人たちにとって希望が持てる国になるように」と祈りながらイスタンブールを後にした。その結果はこの通りだ。
人々の生活は苦しくなり、イスラム化が進み、独裁色が強くなった。ジーザスは希望の持てないこの国を捨てアメリカに亡命してしまった。タクシムのあの家にはもういない。
そして、今この地にいる私はあの時の私ではない。この5年のうちに何もかも変わった。「この選挙で負けたらもうこの国は終わり」Belgîzが言う。
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結果、1回目の投票では勝てなかった。党の議席も減った。実際に勝てなかったのか、票が操作されるのを防ぐことができなかったのかはわからない。とにかく2回目の投開票が5/28に行われる。
今回クルド政党は独自候補を立てず野党統一候補に投票するよう呼びかけた。ムスタファ・ケマルが創設した党CHPの候補だ。感情的にはCHPになぞ一票も与えたくないだろう。が、独裁者を引き摺り下ろす、その難題に立ち向かうために泥を飲むことにした。その党の姿勢に対し、多くのクルド人は理解を示し、行動した。CHP候補がデルスィム出身であることも手伝ったことだろう。が、信念に反することはできないと、ボイコットした人も多いと聞く。
決選投票になれば、第3の候補は現職支持にまわるので、厳しそうだ。それでも、よそ者の私は願うしかない。2週間後にクルディスタンで歓喜の声が響き渡ることを。