台湾滞在日記 10/12 個展「溫故知新」オープニングと展示について
台湾に来てたぶん一番のハイライトになるであろう、オープニングの日をなんとか迎える事が出来た10月12日土曜日。
オープニングの時間が近づくと、続々とゲストがいらしてくださいました。誰も居なかったらどうしよう〜って思ってたから内心めちゃくちゃホッとしていました。そんな不安にかられている中で、日本から大学で同じ写真部だった同級生の友人と、キュレーターの本間真理さんがいらしてくださって、すごく嬉しく心強かったです!
写真部の同級生は、現在は関東在住なのであまり頻繁には会えていないけど、展示や企画の際に駆けつけてくれて、いつも本当に嬉しく励まされています。旅行を考えている話は聞いていたけど、まさか台南まで来てくれるとは思っていなかったから嬉しかったと同時に、ちょっと泣きそうになっちゃった…のは内緒です。笑
キュレーターの本間真理さんのことは以前の日記にも書いていますが、改めて紹介しますと withartの名義で北海道で活躍されている方で、さまざまな展示やイベントを企画されています。そんな真理さんからAbsolute space for the Artsでの「Through the eyes of Hokkaido Artists」への参加をお声がけいただけなかったら、今回のご縁はありませんでした。コロナ禍で渡航を断念しつつもオンラインで開催した展示企画、いつかリベンジすることができる日を祈っています。
展示企画のページをあらためて↓
参加作家は藤沢レオさん、川上りえさん、葛西由香さんと私の4名。
こちらは本間真理さんのInstagram。台湾滞在中の写真もとっても素敵です。
対談のトークだけすれば良いのだとばかり思ってたら、Yi-Minさんがお集まりの皆さまに向けて私の紹介をしてくださり、挨拶と作品紹介をする流れに。そりゃあそうですよね!なぜかそういうものだという頭が抜けていて、若干テンパってしまいました。でもYi-MinさんとYen-Yiさんのお子さん達がフリーダムに振舞っててそれがとっても可愛くて、緊張が和らぎました。ありがとう、子どもたち♡
それと、日中通訳の方もウェルカムパーティに引き続き入ってくださっていて、とても良い通訳をしてくださっていて、安心して話す事ができました。異国の地、通訳の方がついていてくださるって、本当に心の拠り所になるんだなあと改めてその仕事の尊みを実感しました。
ギャラリーでお話をした後に、ギャラリーの2階にあるスペースで李旭彬 Lee, Hsu-Pinさんとの対談をしました。李さんは台北ビエンナーレやPhoto parisにも出展経験があり、国際的に活躍するアーティストであると共にキュレーターとしても活動されています。
今回もまたとってもすごい方と対談を組んでくださって、身に余る光栄であると共に、緊張するなあなんて思っていたら、すっごく気さくで優しくて良い方で。緊張しいな私を気遣ってくださりつつも、作品に対しての深い洞察と、制作の意図を余す事なく汲み取ってくださった事に、とても感激しました。
オープニングの様子は、すべてこちらのアカウントにアーカイブ動画が残っていますので、もしご興味ありましたらぜひご覧ください。そしてFacebookアカウントをお持ちの方はぜひいいねを!
AIRのスタッフの Chia-hsuan Yangさん、陳盈婷さん、そしてAbsoluteのオーナー夫妻である Huang Yi Min さんと、 陳妍伊 (Yen-Yi)さん、Absolute space for the Artsの皆さま全員に事前からはもちろんのこと、日々の生活や制作のサポート、大変お世話になりました。皆さまのお力添えに感激し、心から感謝しております。
スーパー通訳・台湾案内プロフェッショナルの大洞敦史さん、ウェルカムパーティで対談いただいたChien-hua Huang さん、オープニングで対談いただいたLee, Hsu-Pinさん、フレーム制作でお世話になり親切にしてくださったDer-Horng Art Galleryの皆さま、ご縁のきっかけとなり日本から駆けつけてくださった本間真理さん、今回のプロジェクトにご推薦いただいたさっぽろ天神山アートスタジオの小田井真美さん、台湾でも日本からも応援してくださっているすべての皆さま、本当にありがとうございました!
ご期待に添えられる働きであるかの評価はこれからだと思いますが、まずは無事に制作・発表が出来ましたことに感謝し、心より御礼申し上げます。
「溫故知新(故きを温ねて新しきを知る)
Learning from the Past to Create the Future」
■会期 2024年10月12日(土)~10月27日(日)
■会場 SanHo Art Lab No. 14, Sanhe St., South Dist., Tainan City
■時間:(水~日)12:00-18:00
■休廊日:月・火曜休廊/入場無料
展示ステートメント:故きを温ねて新しきを知る
2022年にAbsolute space for the Artsと北海道の美術作家・キュレーターと共に実現したオンラインコラボレーション展示の中で、私は台南市のランドマーク的な建築や風景の写真と自身が住む札幌市、2つの都市を建築物で繋げることをテーマとした「City 946」という作品を制作しました。 日本統治時代の建築が多くランドマークとなっている台南に感動すると同時に、台湾という国がなぜこれほど多様な歴史を受け入れてきたのかという疑問が生じました。そこで、今回の滞在では歴史を学び、実際に様々な場所を訪れることを目的としました。
実際に台南の街を歩きながら撮影しているうちに、その疑問の答えに近づけたように感じました。台南は台湾で最も早く開けた地区の一つで、日本統治以前の古い建築が至るところに残っています。それらは保存され、あるいはリノベーションされ、日常の中で歴史が息づいていることを五感で感じ取ることができました。また、さまざまな神を祀る寺院の多さにも驚かされ、信仰と祈りが生活に深く根付いていることを実感しました。西洋、中国、日本といった異なる国々の影響を受け、多くの移民や先住民族の存在を背景に、多様な文化や価値観を内包する街であることがわかりました。
私は、150年ほどの歴史である近代都市・札幌で育ったため、これほどまでに歴史ある地域に長く滞在するのは初めての経験でした。気候や文化が全く異なる台南は、私にとってまさに「故きを温ねて新しきを知る街」という印象でした。現在、日本各地で古い街並みや建物を取り壊して再開発が進んでいます。日本の気候や耐震基準の変更といった理由から古い建物を残すのが難しい場合もありますが、消えゆく街並みには寂しさを感じます。
人類の経済活動や核実験により自然環境が大きく変化し、人新世(じんしんせい)Anthropoceneという時代に突入した今、エネルギーを大量に消費する「スクラップアンドビルド」ではなく、歴史を尊重しつつ新たな価値を創造する「温故知新」の姿勢こそが、未来の都市の理想像ではないでしょうか。
私は自然とテクノロジーが共生する社会を描くSFジャンル「ソーラーパンク」の要素と、台南の街の風景を融合させ、「City 22」という作品を2点制作しました。自然と共存する生活を理想とする未来像と、エネルギッシュな人々の活動が織り成す美しい日常を表現し、台南の街の多様性を取り込んでいます。また、台南の緯度「22」を作品タイトルに使用し、以前制作した「City 946」との関連性を示しています。
北国から私を召喚し、この素晴らしい機会を与えてくださったAbsolute space for the Artsの皆さまに、心から感謝いたします。
2024.10 クスミエリカ
おまけ。
そして打ち上げでいただいた素晴らしいご飯!
オープニング自体は15寺半からだったのですが、13時頃からギャラリーでインタビュー動画を撮影していただける予定がありまして、英語でお話しないといけなかったんですよ。で、事前に記述していた英訳の展示ステートメントに少し作品説明を追加したものを準備していたのですが、難しい単語をたくさん使ってしまったがために墓穴を掘りました。
なにか原稿を読むのに良いアプリはないかと探してみたところ、見つけたこの「Presc」が素晴らしかったので勝手に紹介します。表示する文字のサイズと行間を任意に選択でき、なんと音声を認識して読んだ分だけ自動でスクロールします。手動スクロール、速度調整可能な自動スクロールも選択可能です。
ただ私の英語の発音が微妙なせいか少しズレてしまったのと、絵面的に手元を見て話すのは微妙だと言う事で、今回は手動スクロールを選択し、文字サイズを大きくしてスタッフさんに持ってもらって使いました。
このあとは、カフェでのワークショップがあるのでその準備と告知とその報告、制作が終わったからあちこち行くぞっていう日記になると思います。
この日記を書いているのが10月16日。滞在あとちょうど残り2週間。最後まで元気に満喫するぞ〜〜〜〜〜〜!