【MH3モダン環境】黒単ネクロドミナンス考察(1万字超)
はじめに
自身の対戦や他者様の対戦動画を拝見した上で考えたこと感じたことを自分の勉強用にこちらにまとめています。実績ある人間の深い考察に満ちた記事にはならないと思いますが、誰かの参考になれば嬉しいです。
採用カードや戦略など細かく書いたら1万字を超えてしまいました・・・。文字ばかりで読みづらいと思いますが、随時画像などを入れて更新していきます。
黒単ネクロドミナンスはどういうデッキなのか?
歴史的なうんちく
《ネクロポーテンス》がアイスエイジで刷られてから、様々な名デッキが産まれてきました。直接の調整版である《ヨーグモスの取引》はもちろん、かなり調整をした《ファイレクシアの闘技場》も実績を残しています。
モダンですと、だいぶネクロポーテンスから離れてしまった感じはありますが、《スランの医師、ヨーグモス》を冠したデッキも活躍を見せました。
様々な調整版を経て今回モダンホライゾン3で登場した《ネクロドミナンス》は過去の様々な《ネクロポーテンス》調整の中でも最も原型に近しいのではないでしょうか。一気にライフを払ってドローを進めるという爽快感はなかなか他のカードでは味わえないものです。
黒単ネクロは地道なコントロールデッキ
黒単ネクロは簡単にいえば《ネクロドミナンス》をドローエンジンに据えた黒のコントロールデッキです。
ドローを進める
除去をする
手札を破壊する
小型クリーチャーや火力呪文で焼き切る
というふうに書いてしまうと、「まぁよくあるコントロールだな」という感じがすると思います。
実際問題、黒単ネクロはコンボデッキとかではなくて、純粋なコントロールだと感じています。どういうことかというと、「《ネクロドミナンス》を引けなくてもなんとかなる」デッキであるということです。これが《死せる生》とかですと、キーカードが登場しないと何もしないデッキになってしまうことがありますが、黒単ネクロにおける《ネクロドミナンス》はそれがなくても機能するデッキであるということです。
私は個人的には、黒単ネクロを「ネクロ搭載型黒単スキャム」だと思っています。《ネクロドミナンス》が出ればドローが一気に進んで、スキャムの弱点であった手札補充が脆く後続を許してしまうとい点をカバーすることができます。事実、過去の赤黒(ラクドス)型のスキャムですと1ターン目に《激情》を残してビートダウンをすることができて事実上のノーゲームを生み出すことができたのですが、《激情》禁止からは(少しだけ)線が細くなってしまった背景があります。
線の細さをカバーするために追加の脅威を入れるか、あるいはよりコントロール色を増やしてフェアなゲームをするかという選択を取ることになりますが、黒単ネクロは後者だと言えるでしょう。
実は黒単ネクロは《一つの指輪》を搭載することによって、カードドローを積み増しています。つまり本質的にはドローエンジンを追加した黒コンと捉えることができます。同じことを延々と繰り返しているようですが、ゲームプランを考える際にとても重要なことです。
キーカードではあるものの必須カードではない、という立場を考えると、対戦相手からすると《ネクロドミナンス》はマストカウンター・マスト除去になるわけで、着地されたくない。こちらのゲームプランとしてはネクロを守り切るか、別の脅威で殴り切るか、という選択を取れます。相手がネクロや指輪に固執している間に(もちろん定着してしまえばラッキー)、他の攻め方が可能なわけです。
黒単ネクロはコンボデッキではない
《魂の撃ち込み》で回復しながら《ネクロドミナンス》でドローを進めてさらに次の撃ち込みを探しに行く・・・と書いてしまうと、「これってピットサイクルでは?」と思う方も多いと思います。(ピットサイクルは1999ごろに登場した黒のコンボデッキです。ライブラリをほぼ引き切る大量ドローとライフゲインで相手を削り切る爽快なデッキでした)
しかし、黒単ネクロは決してコンボデッキではないと私は考えています。
もちろん、《ネクロドミナンス》が回り始めて、《魂の撃ち込み》で勝つ場面もあるでしょう。しかしそれはかなりレアケースです。デッキに4枚しかない《魂の撃ち込み》を、エンドステップで引いて5枚まで下がってしまったディスカードに入る前に使い切れるのか。そもそも4枚打ったところで4 x 4 = 16で4点足りません。
往年の「ピットサイクル」では《ヨーグモスの意思》という過去最悪級のぶっ壊れカードがあったからこそサイクルを回し切ることができましたが、黒単ネクロではその限りではありません。墓地の再利用は叶いません。
ということは、《魂の撃ち込み》での火力に加えて何かをしないと押し切ることができないわけです。
さらに言えば、《魂の撃ち込み》はプレイヤー本体ではなく、クリーチャーに撃つこともままあります。ドローするためにライフが必要ですので、ライフを守るためにクリーチャーを焼いて、ついでに回復するという流れが十分にありえます。となると、いよいよ本体へのダメージが足りなくなりますね。
つまり《悲嘆》《オークの弓使い》《ダウスィーの虚空歩き》《黙示録、シェオルドレッド》と言った優秀な黒クリーチャーで削ることはもちろん《ボガートの獲物さらい》みたいなリミテッドで見るようなクリーチャーで削らないといけないわけです。
何が言いたいかというと、《ネクロドミナンス》《一つの指輪》でドローを進めながら、それ以外で除去・妨害をしながら少しずつ削るのが目的のデッキである、ということになります。つまりコンボではなく、コントロールかミッドレンジより少しレンジが後ろにずれたイメージのデッキです。
デッキ概要
どういう人に向いている?
カードを大量にドローする爽快感と、悲嘆スキャムの理不尽感を同時に味わえる素敵なデッキです。とはいえ、大ぶりなアクションをするよりかは場面を調整してコントロールする動きが大きく、かなり後ろにレンジがよっているデッキです。
いざコンボが始動したら勝つ! というアクションがお好きな方はより適したデッキがあると思いますし、ゴリゴリにコントロールするのかといえばせいぜい手札破壊とクリーチャー除去を、それぞれ最高効率ではないカードで回しているのでそうではないです。
戦略の柱となるネクロや指輪をいなされてしまうと火力が足りませんし、ではネクロを設置したら勝ち切れるのかというとライフをどこまで切り詰めるかの勝負になるのでなかなか一筋縄では行きません。
線が太い大味なデッキのように見えて、かなり繊細なところが多いので、色々と引き出しをコツコツと増やしていけます。そういう積み重ね的なレベルアップがお好きな人におすすめのデッキだといえます。
逆にいうと、「シンプルに勝ちたいんだ!」という方には向かないデッキだと思います。
あと地味に嬉しいところが、シャッフルする回数が少ないことです。
構築する上での予算
正直なことを言ってしまうと、残念ながら黒単ネクロは非常に高額なデッキとなってしまっています。
2024年8月現在、《魂の撃ち込み》と《一つの指輪》が中でも頭ひとつ抜けて高額となっています。
《魂の撃ち込み》はあまり人気がなかったコールドスナップというセットで2006年に(およそ20年前!)に収録されたカードです。長らく黒バーンと言った一部の好事家が愛用していたものの、主流なカードとは言え流通数も少なかったのですが、今回急に注目されて一気に高騰しました。Foilが非常に手に入りにくいのも一部フォイラーからすると難点ですね。
《一つの指輪》はそのカードパワーが認められてから高騰する一方です。しかし、禁止もあり得るのではないか(WoTC社はどんなデッキにも入る汎用的なパワーカードを嫌う傾向にあります)と囁かれているため、なかなか踏み出せないという方も多いです。
逆に言えば、この2枚以外はそこまで高くないので、お財布と相談しながら進めてください。
低予算(Low Budget)版のネクロドミナンスを考える
では、この2枚を外した場合はどういう構築になるのでしょうか。
《一つの指輪》なしのネクロ
実はプロツアーモダンホライゾン3に登場した黒単ネクロでは、《一つの指輪》がない型が好成績をおさめています。
指輪がない分ドローが低速となりますが、メインから《ダウスィーの虚空歩き》や《マルコフ家のソリン》と言った追加のアタッカーを入れています。
実際、少しレンジを前寄りにして攻撃的な形にしても十分に戦えるかと思います。ジェスカイやディミーアと言ったコントロール色が強いデッキが流行っている場合は、4マナの《一つの指輪》が通らない可能性も高く、小型クリーチャーで早めに勝負を決めに行く(+除去を多めにして相手の脅威を減らすなど)も一つの選択肢としてありかと思います。
ただ、正直なことを言ってしまいますと、《一つの指輪》が場に出て定着することは勝ちに限りなく近づくことですので、できれば指輪は4枚揃えてメインに入れたいところです。
《魂の撃ち込み》なしのネクロ
やはり指輪より(枚数が出回っていないから)入手しづらいということもあってか、《魂の撃ち込み》がない型もちらほら見かけます。
ライフゲインが減ってしまうことは痛いのですが、そもそも《ネクロドミナンス》が設置できていないとピッチで撃つことがかなり辛く、腐りがちなカードではあります。
サイドアウトもままあるカードですので、入手ができない場合はそこまで拘らず、指輪なしの時と同じように追加の脅威となるクリーチャーを増やして早めのビートダウンを狙うプランを採用するのもありかと思います。
デッキの変遷
プロツアーモダンホライゾン3(初期型)
プロツアーモダンホライゾン3のTop8に2種類の黒単ネクロが入賞しました。
マ・ノアさんのリストは上記の通り《一つの指輪》が入っておらず、《マルコフ家のソリン》がメインに積まれているのが印象的です。よりレンジを前倒して勝負を決めやすくなった一方で、ソリンの能力がなかなか難しく玄人向きであることと、指輪がやはりモダホラ3環境でも強力であることから指輪なしリストは減っている印象です。また、マ・ノアさんのリストはメインで思考囲いが4枚積まれていますが、強力なカードである一方、ライフが厳しくなるため最近は《コジレックの審判》が多いです。《マラキールの再誕》に加えて《まだ死んでいない》が採用されてよりスキャム色が強いのも印象的ですね。
一方で、セス・マンフィールドさんのリストは指輪入りで、《よろめく怪異》が採用されていました。これはブロックに回っても強いですし(ラガバンやオセロットなど)、《ファイレクシアの塔/Phyrexian Tower》でサクった時にマナ加速がさらにできるのも印象的です。一方で、ちょっと欲張りすぎな感じがしないでもないので、後続のリストからは外れつつあります。ソリンの採用はなく、《ダウスィーの虚空歩き》がサイドに入っているのが最近のトレンドに近く、印象的です。
その後、アップデートがあれば追加していきます。
様々なネクロドミナンスの構築
個人的には最初は黒単でスタートすることをお勧めします。というのも、各種バリエーションはメインでは数枚カードが入れ替わるだけで(フェッチ+ショックランド1枚、諜報ランド1枚程度、場合によって沼サイクリンができる《カザド=ドゥームのトロール》など)、対策カードは基本的にサイドボードから取る形になります。
ですので、まずは黒単で慣れていただいて、環境に合わせて必要なサイドカードを考え、それを受けて型を変えることを検討できるかと思います。
黒単型でも諜報ランドを入れる選択肢もありますが、タップインがただでさえ多いデッキですので枚数には要注意です。また、青絡みの諜報ランドを入れてしまうと島渡りをされてしまう可能性があるので要注意です。《血染めの月》系統のカードに弱くなってしまうことも注意点の一つです。
黒単ネクロのキーカード説明
《ネクロドミナンス》
デッキ名にもある通り、キーカードとなります。上述の通りこのカードがなければ勝てないというわけではないのですが、やはり最速の設置を狙いたいです。
《ネクロドミナンス》が手札に来るまでマリガンをするか?というとそうではないと思いますし、2枚目以降は伝説であることから腐りがち(余談ですが、伝説でなかったら2回起動できるのでピッチスペルを打ってから再度補充といった動きができたので伝説は良調整だと思います)なので、初手に《ネクロドミナンス》か《一つの指輪》があれば御の字でしょう。
《黙示録、シェオルドレッド》との相性の良さもこのカードが強い理由の一つです。
《一つの指輪》
同上でキーカードの一つです。ピッチスペルが多い性質上、手札の消費が激しいので、補充できるこのカードは重要です。
《黙示録、シェオルドレッド》とのコラボは上述の通りです。
《黙示録、シェオルドレッド》
強力なクリーチャーです。ドローが豊富なこのデッキの貴重なライフゲインソースです。ネクロか指輪がある状態で着地したらほぼ勝ちは確定でしょう。
タフネスが5ありますので、こいつに除去を撃たれないように《電気放出》のエネルギーを他のカード、例えばダウスィーやボガート、オークの弓使いあたりにぶつけてもらいましょう。《邪悪な熱気》が当たらないように《ボガートの獲物さらい》を出せると嬉しいです。
《悲嘆》《オークの弓使い》
黒いデッキなら使わない理由はないでしょう。弓使いは往々にしてサイドアウト要員です。
《魂の撃ち込み》《不憫な悲哀の行進》
ライフゲイン手段兼火力です。黒行進は黒マナが必ず必要なので、完全なピッチではないことに注意してください。また、《魂の撃ち込み》だけで勝ち切ることはできないので、迷った場合はプレイヤー本体よりかはクリーチャーに撃つ方が効果的であることが多いです。
撃ち込みはプレインズウォーカーには飛ばせず、黒行進はプレイヤーには飛ばせない点に注意してください。
クリーチャーを除去したい場合は、《致命的な一押し》や《不敬者破り》を優先して、これら2枚のゲイン火力は温存した方が良いでしょう。
《コジレックの審問》
優秀な軽量ディスカードスペルです。基本的に黒単ネクロが苦手とする置物系や打ち消し呪文を落とすことに使います。
クリーチャーも一度着地してしまうと厄介になる《ナカティルの最下層民、アジャニ》や《超能力蛙》ははたき落とした方が良いと思います。
《三なる宝球》もかなり面倒なことになりがちなので、見えたら落としたいところです。
《致命的な一押し》
言わずと知れた優秀除去です。とはいえ、フェッチランドがないこのデッキですとなかなか紛争を達成しづらい側面があります。
悲嘆を使う、自分のクリーチャーに火力を打つなど必要に応じて紛争を達成しましょう。
《不敬者破り/致命的なぬかるみ》
貴重な黒カウントになるカードです。土地面で設置していくことが多いですが、インスタントなので地味ながらも優秀な除去になります。
《ボガートの獲物さらい/ボガートの沼地》
非常に地味ですが、とても強力だと感じているカードです。アンタップインできる土地でありながら墓地対策となりますので、《死の国からの脱出》《炎の中の過去》《火の怒りのタイタン、フレージ》《濁浪の執政》といったカードの対策になります。
似たようなことは《ダウスィーの虚空歩き》でも可能ですが、極めて汎用性が高いカードですので縁の下の力持ちのようなカードだと思います。
しっかりとパワーが3ありますので、レアケースですが除去で守りながら殴り切るゲームもあります。
《マラキールの再誕/マラキールのぬかるみ》
正直悲嘆スキャムが綺麗に決まることはなかなかないので、後半はピッチ要因になることが多いです。《ネクロドミナンス》がある状態ですと何もしないカードになるので注意してください。
地味ですが、2点ルーズする点をお忘れなく。
《ダウスィーの虚空歩き》
サイドボードにいることも多いですが、強力なアタッカーになり得るのでおすすめです。悲嘆から落としたカードをキャストという嫌がらせも有力です。緊急時は相手の除去を奪って自分のネクロや指輪を割ることも考えられます。
《マルコフ家のソリン/貪欲なる新生子、ソリン》
PW面の《魂の撃ち込み》を使ったワンショット戦略も有名ですが、表面はお尻がデカい絆魂もちという唯一無二の性能を持っています。強請もマナになかなか余裕がないので使い所があまりないかもしれませんが、1点でも多くライフを得るのは大事です。
個人的にはいささか悠長な印象を受けますので採用はしておりません。
《ファイレクシアの塔》
マナ加速が可能な強力な土地です。後述の通り、2ターン目に《悲嘆》を出してからのネクロ設置という強力ムーブを可能とします。ミラーマッチの際に相手のライフゲインスペルを空振らせることも可能です。
とはいえ、条件が揃わないとただの無色マナが出る土地ですので枚数は抑えると良いでしょう。
《見捨てられたぬかるみ、竹沼》
黒単であれば一枚いれることに損はないです。
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
基本的に《ファイレクシアの塔のサポート》として1枚使用することになりますが、なくても構わないと思います(不利に働くこともありえない話ではない)。
黒単ネクロのサイドボードカード説明
《氷砕き》
対トロンの優良カードです。ほとんど超過コストで撃つことはないと思いますが、使う場合はこちらの《ファイレクシアの塔》も流れるのをお忘れなく。
なお、トロンランドは2枚目に設置したもの(やサーチしてきたもの)を割るべしという格言があります。
《魂なき看守》
ルビーストームをぴたりと止めることができます。
タフネスが4あるのですが、迂闊にブロックに回ると稲妻で焼かれるので気をつけてください。
また、こいつが場に出ていると自分が《マラキールの再誕》などでスキャムできない点は注意してください。
《思考囲い》
優秀なハンデスですがライフルーズが痛いです。大ぶりなデッキ相手に入れて、基本はメインに入っている《コジレックの審問》で良いでしょう。
《外科的摘出》《屍呆症》
コンボデッキが多い場合はぜひ。
《絶望の力》
《有翼の叡智、ナドゥ》系のコンボデッキ対策カード。雑に使っても強いです。
《疫病を仕組むもの》
同じく《有翼の叡智、ナドゥ》対策として指定を「虫」で置くと強いです。それ以外のデッキに、例えばマーフォーク相手に指定マーフォークで置く、というのもないわけではないですが、3マナ使ってまでのアクションかというと疑問。
《毒の濁流》《滅び》
黒の全体除去です。全体除去と言いつつ濁流はかなりトリッキーな使い方ができるのですが、このデッキにおいては「こちらは残して相手を一方的に除去する」と言った用途はあまり出てこないのでライフロスを取るかマナコストを取るかと言ったところ。
個人的にはナドゥ、ボロスエネルギー、ルビーストームのラルと言った一刻も早く流したいクリーチャーが環境に多いことから、ライフロスを諦めて濁流を洗濯したいです。
黒緑型(ゴルガリ)ネクロ
ゴルガリカラーですと、置物除去で優秀なものが取れます。
《毒を選べ》や《突然の衰微》、場合によっては《暗殺者の戦利品》と言った非常に融通のきく除去を採用することができます。横並びするデッキには《選別の儀式》も強いでしょう。
注意したいのは、《毒を選べ》や《自然の要求》は単色ですのでピッチに充てられず、腐りがちだという点です。
黒赤(ラクドス)ネクロ
ラクドスカラーですと、クリーチャー除去で優秀なものが取れます。《終止》や《溶鉄の崩壊》の万能さはラクドススキャムなどで見た通りです。
環境に《有翼の叡智、ナドゥ》系のコンボデッキが多いのであれば、《ラクドスの魔除け》がかなり刺さるカードとなります。
同じ理由で《碑出告が全てを貪る》を取るケースも見られますが、やや悠長な印象を受けます。
基本的な戦略
メイン戦略としてのネクロドレイン
基本的には最速で《ネクロドミナンス》を設置しに行きます。
そのためには3マナまで、理想は指輪とシェオルの4マナ域まで伸ばしていきたいので、土地の設置には注意してください。相手がボロスエネルギーや青黒・青赤でなければ《ボガートの獲物さらい》の土地面を優先し、そうであれば《不敬者破り》の土地面を設置していきます。
《悲嘆》より先に《コジレックの審問》を、
《オークの弓使い》より先に《ダウスィーの虚空歩き》を、
と意識すると良いです。
《悲嘆》は後半にハードキャストすることもありますし、《マラキールの再誕》を引いた場合にスキャムできるため、急いで何かを落とさないといけないマッチアップでなければ温存します。
《オークの弓使い》はあまり除去を打ってくれない可能性があるのと、オークに対しての後出しオークが強いためダウスィーを優先させます。除去はなるべくシェオルに打たれたくないため、先に吐かせたいです。
《ネクロドミナンス》も《一つの指輪》も相手からするとマストカウンターなので、カウンターを持っていることが分かっていれば先に《一つの指輪》にカウンターを切らせたいです(プロテクションがないと困る場合でなければ)。というのも、指輪は強力ですが次ターンまでの追加ドローは3枚なのに対して、ネクロは極論ライフ-1までカードを見ることができるので掘れる力が全く違います。
ネクロの大量ドロー → からの指輪
指輪 → からのネクロ
ですと、ネクロから入ったほうが強いです。
相手次第のところではありますが、(キャストできるものがあるのであれば)積極的に両面土地はボルトインして良いと思います。ライフは大事だと散々いってはいたものの、純粋なコントロールではないので時間が経てば経つほどこちらが不利になります。早めにプレッシャーをかけられるのでれば(ダウスィーなどを出せるのであれば)そのほうがボルトインのライフロスよりも有意義です。
サブ戦略としてのスキャムビート
デッキには4枚の《悲嘆》とスキャムカードである《マラキールの再誕》が積まれていますので、悲嘆スキャムが効果的です。
理想な動きとしては
1ターン目にアンタップ土地>《悲嘆》想起>想起解決前に《マラキールの再誕》
2ターン目に《ファイレクシアの塔》>《悲嘆》を生贄にマナを出す>《ネクロドミナンス》を設置
といったものがあります。
これはかなり上振れなので期待しないほうがいいですが、2ターン目に《ネクロドミナンス》が設置できると当たり前ですがかなり優位になります。
ライフゲイン方法を考える
《魂の撃ち込み》《不憫な悲哀の行進》がメインの回復手段です。注意するべきは、場合によっては自分のクリーチャーにこれらの火力を撃つ場面も考えられるという点です。そこに除去を当てられたら呪文が立ち消えしてしまい回復することができない点も注意してください。
《黙示録、シェオルドレッド》も有力な回復手段です。シェオルを守り切れるかがかなり大事になります。虎の子です。
地味な勝ち方ですと《ダウスィーの虚空歩き》で相手の《孤独》を奪ったり、相手の除去を使って自分のネクロを割るという手段もありえます。
《マルコフ家のソリン》を採用している場合は、なかなか攻撃が通る場面はないかもしれませんが一応回復手段として覚えておくべきです。
ネクロで何枚ドローするべきか?
手札上限が5枚になりますので、何枚ドローするかがこのデッキの肝になります。
個人的にお勧めしたいのが、「困ったら多めに引け!」です。よほど盤面でライフが詰められている状況でなければ、ガンガン引くべきです。というか、引くためにこのデッキを選んだのでしょう?
基本戦略(盤面優位)
手札が5枚になるように引きます。しかし、手札にいらないカードがある場合(余った土地、マラキールの再誕など)はその枚数をプラスすると良いでしょう。
基本戦略(盤面不利)
《魂の撃ち込み》をはじめとした除去や《一つの指輪》や《シェオルドレッド》といったキーカードを探しに行く必要があります。すぐに死ぬ気配がなければ10枚ほど引いてしまいましょう。
撃ち込み+ピッチ2枚で3枚消費、
シェオルや一つの指輪が4枚積みで、10枚引いたら入っている可能性・・・
と考えると10枚引いてしまった方がいいです。
逆にいえば、10枚引いて勝てないゲームはもう勝てないです。
手札に《魂の撃ち込み》がある場合
5枚に調整する+撃ち込み用のピッチ2枚 と考え、5枚になるまで+3枚程度を引くと良いです。
手札に《不憫な悲哀の行進》があり、行進のターゲットがあり、黒マナが1出る場合
5枚に調整する+行進用のピッチ用X枚 と考え、5枚になるまで+ピッチ用の枚数Xを引くと良いです。
ネクロの手札上限で捨てるべきカード・とっておくべきカード
基本的にいらないものは以下の通りです:
《マラキールの再誕》はいらないカード筆頭です。ネクロが設置できている状態ですので、死亡したクリーチャーは墓地にいかず追放されるため、スキャムが不可能になっています。(同じ理由で《まだ死んでいない》も不要です)
《コジレックの審問》はネクロ設置できているのであれば前方確認は不要な段階なので捨ててしまって良いです。
《致命的な一押し》は紛争達成の目処がなければ(紛争達成するようなアクションを取る予定がなければ)捨てます。
《オークの弓使い》も小粒ですので、中盤以降は相手が指輪を使っている・ミラーであるなどでなければ捨てて結構です。
《ボガートの獲物さらい》《不敬者破り》《致命的な一押し》は状況を見ながら判断。
2枚目以降の《ネクロドミナンス》
逆にとっておくべきカードは以下の通りです:
《一つの指輪》
《黙示録、シェオルドレッド》
このデッキを使う上での注意点
Tips & Tricks
《ネクロドミナンス》を設置している状態でスキャム(《マラキールの再誕》、《まだ死んでいないなど》)はできません。死亡する際に追放されますので、墓地から戻ってくる効果が実現できません。逆にいえば、ネクロが設置されている状態での《マラキールの再誕》は価値が薄いので、ピッチコストなどに充てるのが良いでしょう。
《ネクロドミナンス》は誘発型能力です(起動型能力ではない)ので、《真髄の針》のようなカードは効果がありません。逆に、《記憶への放逐》で打ち消すことは可能です。
こちらのエンドステップ時に《ネクロドミナンス》が誘発した際に、スタックして対戦相手が《オークの弓使い》をキャストしたとしても、実際に何点ライフを支払うか(=何枚カードを引くか)はオークが着地してからこちらが決めることになります。10点払います、と言ってからオークを出すことはできません。ペイライフとドローは一連の流れになります。
《マラキールの再誕》はこちらが2点ライフロスします。書いてある通りなのですが、他のスキャム系のカードに慣れているとこのライフロスを忘れがちなので、気をつけてください。
《ネクロドミナンス》を設置しているとドローステップがありません。これを忘れないように、デッキの上にマーカーを置くことはルール上許されていますので、必要に応じてダイスやカウンター、「Skip」と書かれた紙片などを置くことを推奨します。
《覆いを割く者、ナーセット》が設置されている状態でも、1枚までは引くことができます。ということは、《ネクロドミナンス》や《一つの指輪》を起動すること自体は可能です。
雑談
両面カードが多いので三重スリーブはお勧めしません・・・。
《魂の撃ち込み》はストーリー上重要なシーンを描いているのでMTGの舞台設定などに興味がある方はぜひお調べください。
どうやってぶっ壊れカードである《ネクロポーテンス》を調整したかは、こちらのデザイナーによる記事が面白いです。
マッチアップ考察・サイドボードガイド
加筆中