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山菜おこわと運動会

運動会のお弁当は特別だ。
私は田舎に育ったので、小学校の運動会は特に両親の友達や祖父母を呼んでの大宴会になっていた。
運動の得意でない私でも、私や妹の為に皆んなが集まって、おじさん達が「どうだった?」「そうかそうか!」「よく頑張った!」「凄いじゃないか!」と話題の中心にしてくれ、大きな声で称えてくれるのが恥ずかしくもあり、嬉しくもあった。

母はこの日の為に、前日から準備したり、早起きしてお弁当を作ってくれた。
重箱に加え、ピクニック用の3段の弁当箱。唐揚げ、卵焼き、お稲荷さん、おにぎり、ウインナーにブロッコリー、内容は変われど、私の好きな食べ物が所狭しと詰められていた。クーラーボックスには大量のビール缶や2Lペットボトルのジュースや飲み物。大きい水筒。ビニール袋いっぱいのおつまみ。お昼休憩、皆んなのいるシートに行き、笑い声に包まれる感覚は、今思うと何とも言えない特別な物に感じる。

そして、何よりも嬉しかったのは、母が運動会のお弁当に必ず作ってくれた山菜おこわ。
この母手作りの山菜おこわが食べれるのが嬉しくて、徒競走でビリから2番目でも、運動会は楽しく待ち遠しいものだった。
大人になった今、山菜おこわを食べると、懐かしく、楽しかった思い出が蘇ると同時に、前向きな気持ちになり、心と身体が元気になる。

母は今、空から見守ってくれる存在になったけれど、味覚を頼りに同じ味を再現出来るようになった。
山菜おこわは私にとって、何よりも元気をくれる食事で、幸せの象徴で、心を満たしてくれる食べ物だ。

#元気をもらったあの食事

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