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空想 書く 収集 怠惰 繊細 鈍感

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パンを床に叩きつけたおじさんの話

場が一瞬にして凍りついた。そこにいる全員の呼吸が一瞬止まる。パンのおじさんはそこにいる。 パンのおじさんの話をしよう。 ある日のこと。そのおじさんは片手に透明なビニール袋に入ったパンを持って私の職場に現れた。それ以外に荷物らしきものは持っていない、そのパンはコンビニや普通のパン屋にはないような、丸いドーム型の大きなパンだった。 おじさんは商品を見たり手に取ったりすることなく、お店の中を一周して、真ん中辺りで立ち止まった。そして次の瞬間、おじさんは持っているパンを袋ごと凄

    • 肝心な場面でうまくできない話

      久しぶりに映画館で映画を見た。「アイアムアコメディアン」というドキュメンタリー映画。 漫才師のウーマンラッシュアワーの村本さんに、4年ものあいだ密着した映画だ。 一時は漫才の賞レースで優勝するなどして注目を集めていたウーマンラッシュアワーだが、ネタに社会問題を取り入れたことで芸能界を干されていく。 今はスタンダップコメディアンとして一人でアメリカで活動されているが、私は以前から著書も買って読んでいたり、日本での独演会に参加したことがあった。とても気になる存在だった。 わた

      • あの日の猫の話2

        猫がすき。私は犬より猫派で、いつか猫と暮らすのが夢だ。 現状は難しくて、私の住んでいるアパートはペット不可なので飼おうにも飼えないが、それでもある日、帰り道で放っておけない子猫がこっちを見ていたりしたらどうしようかといつもシュミレーションをしている。ちなみにそのシュミレーションの結果私はかなりの確率で子猫を家に連れ帰ってしまっている。 うちの近所には野良猫が何匹かいて、たまにウロウロしている姿を見かける。斜め向かいのお宅に、早朝に餌やりをしている女性がいるのを知っている。頭

        • 犬の目の話

          犬には色覚がないと聞いたことがある。 つまり犬が見ている世界は白黒だと。 ずっと不思議だった。なんでそんなことが分かるんだろう。 ネットで調べてみたら、犬の見ている世界は白黒ではないとのことだ。ただし青から黄の間の色だけ見えるので、グレーがかって見えるのだという。だから犬の目から見た世界はこのような感じです、という画像も見た。錐体細胞がなんちゃらかんちゃらとそこには説明されていた。 なんでそんなことが分かるのだろう。誰も犬になったことがないのに。 科学というものは素晴らし

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        記事

          階段の話

          階段が好き。 そこに階段があると、登りたくてたまらない。ビルの階段が好き。住宅街の中にあるちょっとした階段も好き。おしゃれな階段も良いし、なんてことない普通の階段も良いし、急な階段も良い。 階段はすごい。階段があるからこそ、上や下に行ける。上や下には何があるんだろうというワクワクがそこにはある。 エレベーターやエスカレーターは場所をとらないしエコな感じはする。でもつまらない。人も多い。 ショッピングモールで、わざと階段を使うことがある。それは割とビルの隅っこにあって、正

          短歌の話

          ある日突然、ツイッターのタイムラインにとある人の短歌が流れてきた。これはおすすめの記事というやつで、AIが勝手に私に教えてくれたとある人のとあるつぶやきだ。 なぜ?とは思った。というのも、私はこれまでの人生で短歌に興味を持ったことは一度もない。短歌に意識を向けたことだって数秒しかない。それくらい私の琴線にかすりもしなかった。 毎日AIおすすめのフォローもしていない誰かのツイートがたくさん流れてくる中で、その日私はその短歌を読んだ。そして雷に打たれた。 一体なんなんだこれ

          短歌の話

          2023年のツイートより

          ミスドのドーナツってほんと美味いって言うと、もっとおいしいドーナツいっぱいあるよって言われた。ちがうんよ。お金出せばそりゃ美味しいものあるんよ。高いものが美味しいのは当たり前なんよ。そんな当たり前のことよりも、この値段でこんなに美味しいってことが重要なんよ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ふるさと納税、周りにやってる人けっこういるしよく勧められるんだけど。全くやる気にならないんだよなー。 節税のために住んでる所以外の自治体に納税して返礼品をもらうっていう

          2023年のツイートより

          駅のホームを歩く話

          私の最寄り駅は、ホームの一番端に階段がある。改札階に上がる階段だ。 私は帰り道、わざとホームの一番端っこに降りる。そして階段まで歩く。ホームの端から端まで歩く。 特に夜はほとんど人がいない。黙々と黙って歩く。 なんでそんなことをしているのかと、みな不思議に思うだろう。なんでだと思いますか? きっと多くの人は、階段の真下に一番近いドアから降りられるように調整していることと思う。 それは効率よくするため。一秒でも無駄を省くため。そしてドアが開いた途端に、いかにも急いでいませ

          駅のホームを歩く話

          広く浅くの話

          よく言えば好奇心旺盛。 悪く言えば根気がない。 自分の性格のこと。 何においても集中力が持たない。 一つのことに長時間向き合うことができない。 すぐに他のことを考えてしまう。 部屋の片付けをしていると、絶対に途中で他のことを始めている。 デスクの上に本が数冊立ててある。 一番左の本を読む。5ページくらい読んで、きりの良いところで隣の本に移る。それは3ページ読む。 そしたらまた隣の本を4ページ読む。 このリズムがとても心地よい。丁度良い。 やってみたい!と始めた趣味は、は

          広く浅くの話

          大きなヘッドフォンの話

          たまにいる、とても大きなヘッドフォンをしている人たち。あんなに大きな荷物を一つ増やしてでも着けたいのだから、あの大きなヘッドフォンでないといけない理由があるのだろう。 私は極度の内向的人間なので、他者との精神的な壁というものはかなり厚く作る方だけど、空間的には開かれていたいと思う。 完全に自分から外界をシャットアウトしてしまうのは怖い。 部屋に一人きりでいると息苦しくて外に出たくなる。寝るときに無音は怖いし暗闇も怖いから、小さな暖かい色の灯りを付ける。隣の部屋の物音が聞こ

          大きなヘッドフォンの話

          愛しくて号泣した話

          人生で一度だけ、愛しくて泣いたことがある。 私はよく泣く、涙腺ガバガバの民だ。途中から見たドラマでも泣くし、なんなら15秒のCMでもよく泣く。 自分のことで泣く時は、たいがい悲しかったり辛かったり、負の感情の場合がほとんどで、映画やドラマを見て泣く時は、登場人物の感情が私の中に流れ込んできて共感して泣く。共感力半端ない民でもある。 友達とバカな話をして泣きながら笑う時もある。しかしこれは感情というよりも、体の制御が効かなくなってしまうからなのだが。その証拠に、涙が出つつ、

          愛しくて号泣した話

          残したい話

          15歳の時に日記をつけ始めた。きっかけは確か好きな人ができたというありがちな理由だったはずだ。ただそんな動機で始めたにしては今のところつけることをやめていない。よって日記は20年以上に渡るしっかりとした私の趣味となっている。 日記帳には書かない。その時好きなノートを買ってきてそれに書く。実家には何十冊ものノートが押入れに眠っている。今住んでいる家にも何十冊と保管している。 ちなみに実家には、高校時代に友達とやりとりをした手紙もほぼすべて保管してある。他愛もないことから真剣

          残したい話

          ぶちまける話

          つい3日前、朝ご飯を作っていてコーヒーを淹れようと粉をフィルターに入れた。ふと何かが床に落ちてそれを取ろうとしゃがんだ拍子に、フィルターごとコーヒーの粉が宙に舞い、床に見事に散らばった。私は絶望した。 今から淹れたてのコーヒーと朝食を楽しむ予定だったのに、床を掃除しなければならないのか。どれくらい時間がかかるだろう。朝起きるのが苦手な私は、床掃除をするほどの時間の余裕は残念ながら持ち合わせていない。 どうしても朝から朝食を犠牲にして床掃除をする気になれず、とりあえず床はそ

          ぶちまける話

          2022年のツイートより

          今思い返すと、18歳で地元を離れ上京するという決断は間違いなく私の人生で一番大きなターニングポイントだ。 そのまま地元に残り就職し結婚していたらどうなっていただろう。想像もつかない。 最初の1週間くらい寂しくて泣いて過ごしていたことが懐かしい。自分でちゃんと決断できてよかった。 ………………………………………………………………………………………… エイプリルフールってまじでほんとに心底どうでも良い …………………………………………………………………………………………

          2022年のツイートより

          中古のものが苦手な話

          私は買い物が好きだが、その際、中古のものは選択肢から外れる。 中古のものが苦手だからだ。 古本、古着、アンティークの食器。蚤の市で売られているようなもの。 なぜならば、誰かが過去に使っていたということがすごく居心地を悪くさせるから。別に汚いとかそういう潔癖という話ではなくて。 そこに誰かを感じる。 年齢も性別も国籍も分からない誰か。ぼんやりしているけれど、必ずそれを使っていた人が影のようにそばにいる。ものを使うときに、そのものに全く思い入れがないということはないはず

          中古のものが苦手な話

          私の結婚の話② プロフィール編集

          マッチングアプリのプロフィールは大事だ。なんてったってまずはそこを見て判断するんだから。 短くてやる気ないように思われないように。長すぎて読むの飽きられないように。読みやすい言葉で見やすいレイアウト。改行。 もし知り合いに見つかって、こいつ必死wとか思われたくないから、なるべく前のめりにならないようにあくまで友達に誘われて始めたというニュートラル感を出している自分が恥ずかしい。でもそうせずにはいられない。 なんなんだこの社会経験は。怖い。 結局可も不可もないありきたり

          私の結婚の話② プロフィール編集