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フランスの拒絶、時々の許容:バゲットと硬水の試練

生きていると僕たちはしばしば試練の中に放り込まれることがある。
フランスで生きる異国人はそんな「試練」の中で溺れそうな感覚の中でもがいている。
そして母国の平和や文化や便利さを再認識する。
確かに不便が楽しい時期もある、だけどそれは一瞬だ。
旅人として訪れる異国の地と、暮らしてみての試練。
そんなことを考える、僕のフランスの田舎町での生活だ。


フランスの食卓で試される覚悟

フランス料理と聞くと、多くの人がシャンパン片手に高級フレンチを楽しむ光景を想像するだろう。
けれど、留学生活はその幻想とは無縁だ。
まず手始めに、パンとパスタに耐えられるかを考えてほしい。
フランスでは、庶民的な食生活が日本の食卓とは大きく異なる。
味噌汁と米が恋しくなる夜を、どう乗り越えるか。
それが留学生活の第一歩だ。
「なんでも食べられるよ」という人なら、このハードルは低い。
ただ、「味噌汁がないと生きていけない」と思う人には、少々辛いかもしれない。
それでも、時折フレンチバゲットをかじりながら、自分の中の新しい味覚に気づく瞬間もある。
それは少しだけ留学の価値を高めてくれる。
そして気づけば自炊の腕が上がっている事だろう…


美術館で見つけるもう一つのフランス

美術が好きなら、フランスは無限の喜びを提供してくれる。
特に18歳から26歳の学生であれば、美術館や観光地に無料で入れることが多い。
ルーヴル美術館で、モナリザの微笑みにじっくりと向き合う時間が得られるのは、学生特権だ。
興味のある分野に没頭できる人にとって、これは大きな魅力だろう。
スタンプラリーのように次々と名画を巡る日々は、心を豊かにしてくれる。
けれど、美術に興味が薄い人にとっては、ただの退屈な観光地になる危険性もある。
それでも、日常生活の背景に広がる街並み、それを見ているだけでも美しさに震える。
そんな視界がこの生活はもたらしてくれる。


言語の壁は、厚く、高速で迫る

フランス語の壁。
それは誰もが最初に見上げるスタートラインだ。
けれど、その壁は想像以上に高い。
フランス人たちはとにかく早口だ。
何か質問されても、答える暇もなく次の話題へと移る。
「何を言っているのかわからない」という感覚が日常になる。
学校でも、会話の中心にいるのはフランス語を操る人たちだ。
英語ができれば何とかなる、と思うのは甘い幻想かもしれない。
この壁を乗り越える鍵は、フランス語を留学前に少しでも準備すること。
そして、「何とかなるさ」という軽い気持ちを保ち続けることだ。
重要なのは、完璧である必要はないということだ。
むしろ、つまずいて、そこから学ぶ姿勢が求められる。
あと、理解しようと耳を傾けてくれる人はどんなつたない言葉でも拾い上げて聞いてくれる。
逆に理解する気のない人は、どんな流暢な言葉でもはなから聞く耳を持たないので、会話する意味がない。


部屋と髪、そして硬い水

フランス留学を通じて、「硬水」という言葉に強い意味を見出す日が来る。
シャワーを浴びるたびに、髪はパサつき、肌は乾燥する。
これは単なる自然現象ではなく、フランスという国の洗礼だ。
美容院事情もまた一癖ある。
日本でおなじみの髪型を頼んでも、何か違う仕上がりになる。
写真を見せて頼んだはずが、どうしてこんな似ても似つかない仕上がりに?と呆然とする瞬間がある。
フランス人はアジア人の髪質に慣れていないのだ。
この点に関しては、日本人経営の美容院を探すか、あるいは妥協を覚えるしかない。
留学生活では、美意識と実用性のバランスを取る技術が問われる。


最後に求められるもの、それは折れない心

最終的に、フランス留学に必要なのは、「折れない心」だ。
フランス人たちに囲まれて孤独を感じることもあるだろう。
言葉が通じず、友達がなかなかできない日々に疲れることもある。
けれど、その壁を越えられるかどうかは、結局自分次第だ。
「もう無理だ」と思う瞬間があっても、それを成長の機会と捉えられる人が、真にフランス留学に向いていると言える。
挫折を乗り越え、さらに一歩進むためのメンタルの強さ。
それがあれば、どんな困難もやがては小さな思い出になる。


海外生活を支える静かな覚悟

海外留学とその暮らしは、単なる異国での生活ではない。
それは、文化の違いに向き合い、自分自身を試す旅だ。
美しい街並みや歴史的な遺産に囲まれても、最終的に問われるのは、自分自身をどう受け入れるかということ。
この挑戦に向き合える人にとって、フランスはきっとかけがえのない場所になるだろう。
そして、何かを学び取った後、きっとこう思うはずだ。
「もう一度、あの街に戻りたい」と。


これは僕の7つ目の記事。
もしあなたがこんな僕を応援してくれるというのであれば、その旅路を少しだけ見守ってほしい。
どこかで、一杯のコーヒーと共に。


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Eric 100記事後に作家になる留学生
留学生活に必要ないくばくかの資金の助けをお願いしています。もしあなたが僕の生き方を応援してくれるなら、その小さな気持ちが僕の夢を助けるでしょう。そしていつかあなたにその旅の物語を聞かせる日がくると思うから。