59.排斥処分

これだけのことを目の前の3人に話を遮られないようにマシンガンのように話し終わった時には、私の目から涙がぼろぼろ出ていました。

T兄弟はバツが悪そうな不服そうな顔をしていましたし、
T兄弟の両脇に座っていたふたりの兄弟は、T兄弟の横暴ぶりを改めて知ったからか私の迫力に気圧されたのか、完全にドン引いた顔をしていました。

少し沈黙があったあとT兄弟が口を開きました。

『姉妹、私たちはどうしたらいいでしょうか?』

瞬間私はとてもがっかりしてしまいます。

私は今どうしたらいいのか具体的な例を出して言わなかった?
あなたは私の話の何を聞いていたの?

望んでいたわけではなかったけれど謝罪の言葉は一切なく、相変わらずプライドが高いなと思いました。

50代のいい歳の男の大人が20代前半の、自分の娘より若い人間に何の教えを請おうとしているのか?
自分で考えることはできない人間なのだろうか?

大の大人の男が3人もいて、誰ひとり私の言ったことになんの言葉もありませんでした。

私の言っていることに相違があるのなら、堂々と自分を弁護すればいい。

何も言い返さないということは私に核心を突かれたということで、
私が色眼鏡で見てきたわけではなく今まで感じてきた違和感は間違っていなかったと確信できました。

私は静かに『残っている成員たちひとりひとりを大切にしたらいいんじゃないですか。』と
今まで彼らに扱われたように冷たく答えました。

もう私にはなにも言う気力は残っていなかったですし、
これだけ言ってもこの先エホバの証人という組織は、K会衆はひとりひとりが自分の身かわいさに保身に走り、なにも変わらないのだろうと悟りました。

私は席を外し、約5分後再び呼ばれて部屋に入り、正式に排斥処分となったこと、
次の金曜日の集会の奉仕会の最後に会衆に発表しますとだけ告げられます。

私は自分の排斥処分の発表を聞きに来るつもりは毛頭ありませんでしたので、
その発表を聞かされる母と妹だけが心配でした。

私は王国会館の玄関を出る時にたったひとり最後に見送ってくれたTA兄弟が、消去法であの3人の長老の中でいちばん信用はできると判断し、
『母と妹をよろしくお願いします。』とだけ伝えて王国会館を去り彼の待つ車へ戻りました。

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