26.思わせぶりな言動

私が恋をしていたA兄弟は私が高校生の間、常に私を『気にかけてくれていた』と思います。

それが『妹』として接していたのか、自分の姉の幻影を重ねていただけなのかは分かりません。

彼は私のことを『ERIE姉妹』と呼ぶ時もあれば『ERIEちゃん』と呼ぶ時もあり、
ことあるごとに私の頭を撫でたり体に触れたりすることが多々ありました。

奉仕活動で彼とペアになることを申し込まれた日は天にも昇る気持ちでした。

ある時訪問した家の人が自分のことを話し出して長話になってしまい、切り上げるタイミングを伺ってどうしようかと思っていたら、
背後に立っていた彼が私の腰あたりを何回もつつくように触ってきて、

たぶん『そろそろ切り上げて。』というサインだったと思いますが、
私は自分の身体の中で触られてくすぐったい場所がかなりはっきりしていて腰は本当にくすぐったい箇所なので、
人前で触られたことにドキドキして家の人の話なんて全然耳に入ってこなかったし、切り上げのタイミングを悩んでいるのだからなにか喋って助け舟出してよという気持ちになったこともありました。

王国会館の駐車場でふたりで何かの打ち合わせで話している時に私の頭を見て唐突に『白髪があるよ。』と言い出して灯りの下に連れて行かれものすごく髪を触られるという謎のスキンシップをされたこともあります。

髪といえば彼が『僕は黒髪の女の子が好きなんだよね。』と私に言ってきたので、もともと毎月高校の頭髪検査で引っ掛かるくらい茶色がかった髪色の私はすぐに髪を真っ黒に染めました。

あれはきっと彼は、私の気持ちに既に気づいていて、私の気持ちがどこまで本気かただ測ってみたかっただけなのだろうなと思います。

彼が車を買い替えた時『ERIEちゃんの自転車とおなじ深緑にしちゃった。』と言ってきた時はお揃いだと思ってくれたんだと嬉しくなりましたし、

その新車である日の早朝の仕事の帰りに登校中の私と偶然会うと彼は車の窓を開けて笑顔ではしゃいでいて、
次の日から毎朝彼は私の通学路を通って帰るようになり、私は毎朝秘密の逢瀬をしているかのような気分になりました。

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