白い川
白い道が雲の隙間から流れていった
それは川のようで、得体の知れない薄らとした水だった
空から流れた白い水だった
薄らとした水は、やんわりと存在していながら、どこにも消える事がなく、ありありとそこに生きていた
その感触が、身体になだれ込んでいつまでも消えなかった
思い出すたびに、白い川に包まれた
光の川は美しいカーテンのように揺れ、小波の向こうから、沢山の生き物が生まれていった
生き物たちは、川を流れ泳いでいったが、その中にひと際目立つ魚の群れがいた
魚の群れが、白い川を泳いで彷徨うのを垣間見ていた
水の中にいたと気付いた時には、すでに帰り道を忘れている
それも一体どこからなのか
魚たちには分からなかった
それでも、はじかれた水の冷たさが
あの白い川との違いを物語っていた
魚たちは水の中で水を探している
何処からか、水が合わないまま流れていくこの川から、幾つかの分岐点を見つけようとしていたのだ
そして、魚たちは水を探しながらも、川に従い流れていった
あの白い川を目指して、思い出し、また忘れながら、川を流れていった