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「村上さんのところ」

2015年の期間限定の質問・相談サイト「村上さんのところ」に寄せられたメールを、村上春樹さんとスタッフのみなさんで選りすぐった473通のやりとりを集めた一冊。
(本の厚さ2センチ!)


村上春樹さん好きな店主さんがいるカフェにて、本棚に置いてあったので読んでみると、いろんな人の濃淡のある質問や相談に対して、村上さんがコツコツと回答されていて、思いがけず読み込んでしまった。


村上春樹さんの作品を好きな方たちを「ハルキスト」と呼称することがあるけど、当のご本人は本書の中で『できたら「村上主義者」と呼んでください。よりハードコアな感じがします。』と書いてあり、確かに「ハルキスト」より「村上主義者」のほうが重厚感があってなんだかカッコいい気がすると思ってしまった。


本当にいろんな質問や相談がある中で、特に印象的だったのは、少し質問の内容を省略するけど、「小説を読んでいると生産性が低いと非難され、どうせなら自己成長を促す本を読むように言われますが、村上さんはどのようにお考えでしょうか?」という質問に対する、村上さんのお答え。

はあ、そうですか。でも生産性の低いものって、けっこう必要なんですよね。生産性の高いものばかり追求していると人間がだんだん薄くなります。
どうしてかはわからないけど、なんか確実に薄くなるんです。
薄くなっても、お金が入ってくればいいじゃん、楽しく暮らせればいいじゃん、ということであれば、問題はぜんぜんないんだけど、でもそればっかりじゃいやですよね?
だからときどき生産性の低いものも読んでください。あまりお金儲けにはつながりませんが。

新潮社 「村上さんのところ」
答えるひと 村上春樹
絵 フジモトマサル より

これまで村上さんの作品、コツコツ読んできてよかったなぁと改めて感じ、久しぶりに「羊をめぐる冒険」を読み直してみようと思った。


本書の文章のイラストはフジモトマサルさんが描いていらして、フジモトマサルさん好きとしては、この名作集を大事にしている。



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