「自分のことを書くのがニガテ」を突破する2つのアプローチとは?
ビジネス文書なら抵抗も問題もなく書けるのだけど、SNSでの発信や自己紹介文など、自分のことや思いを書くとなると急にニガテ意識を感じてしまう方。かなりたくさんいらっしゃるように思います。
ですが、コンテンツマーケティングの時代と言われる今、個人事業主はもちろんのこと、会社員でも自社の商品やサービス、パーパスなどに関連した自分の体験や思いを発信するシーンが増えていますよね。
副業も含め自分のサービスを持つ人は、商品やサービスだけでなく、セルフブランディングとしてストーリーや価値観を知ってもらって共感していただくためにも、「発信」は避けては通れません。
では、ニガテだけれど書く必要に迫られている人は、どうすれば少しでも抵抗感を減らすことができるのか。
ライティングコーチとして、今回は2つのアプローチ法をご紹介したいと思います!
#この記事はアドビさんの「みんなの資料作成」という企画に参加して執筆しています。
せっかくの機会なので、改めて「書くこと」「伝えること」について考えてみたいと思います^^
「書くのがニガテ」だと感じてしまう2つの要因
まず、書くことにニガテ意識を感じてしまう要因として、「準備」と「メンタル」という2つの軸があると思っています。
つまり、この「準備」と「メンタル」に対応することが、「書く抵抗」を減らすアプローチ法なのです。
例えばこんなことをしていませんか?
●いきなり書こうとする
さあ書かなきゃとパソコンの画面に向かって、いきなり書き始めていませんか?
私の体感として「書く」ことは、準備が7割。
いきなりパソコンや画面を開いてさあ書かなければ!と肩に力が入っていると、書きたいことをうまく捕まえられないかもしれません。
書き始める前の「準備」をするため、まずはメモ用紙とペンを用意しましょう。
私の場合は、手書きの方がリラックスして気楽に書き出せるのでメモ用紙とペン(しかも消せるペン)なのですが、デジタル派の方はテキストメモ等を使ってもOKです!
●書くハードルを自ら上げる
書くことのハードルを上げる呪いの言葉の代表例が、「私なんか」と「どう思われるだろう」の2つ。
例えば私がnoteを書こうとして、
「もっとすごい人はいっぱいいるのに、私なんかが書いても・・・」
とか
「ライター歴20年とかの人にどう思われるかな」「フォロワー○万人の人から見たら私なんて・・・」
なんて考えてしまって身動きが取れなくなる、みたいなイメージです。私もいまだにちょいちょい引っかかります。
こうした呪いの言葉を駆逐するためには、まずは書くための「メンタル」を整えることが必要。
ここからは、「準備」と「メンタル」、この2つの要因に対処するためのヒントをお伝えしていきます!
書く前の「準備」としてやるべきは「セルフインタビュー」
「準備」が7割、といって具体的に何をすればいいかというと、書くための材料を用意することです。
いきなり流麗な文章で書き始めるなんて、誰だって無理です。
書く材料を集めて、箇条書きでいいので書きだす。
これをやるか手間を惜しむかで、結果的にかかる時間や気持ちの負担は全然違ってきますよ~。
メモ用紙とペンを使って、次の流れでどんどん書いていきましょう!
「セルフインタビュー」の想定で問いを用意する
書くための材料を集めるために必要なのが「問い」です。
書くためには答えよりも「何を自分に問いかけるか」の方が重要だと考えます。
適切な問いを立てることさえできれば、自然と必要な答えにはたどり着けるから。
なので、メモにまず書き出すのは「問い」の方です。
その「問い」を考えるオススメの方法が、頭の中でインタビュアーの椅子に座り、自分にインタビューをするつもりで質問を考える、「セルフインタビュー」です。
つまりインタビュアーとして、読者が知りたいことや必要な情報が何か、それを読者の代わりに引き出すために何を聞けばいいか、を考えるやり方です。
頭の中にインタビューする自分とされる自分が両方いるイメージですね。
インタビューをする上で一番大切なのは、書く目的を明確にすること。
そこに向けて質問を考え、対話をしながら伝えたいことを整理していきます。
この文章で何を伝えられて何が達成できたら成功なのか、ゴールを設定するともいえます。
ここが曖昧なまま書き始めてしまうと、迷子になったり暴走したりしがち。
なのでメモの一番上に、例えば「自分との共通点を見つけて共感してもらいたい」「この商品を使うとどんないいことがあるのかイメージしてもらいたい」など、目的を大きく書きだしておきましょう。
目的地が決まったら、そこに到達するために必要な質問を考えていきます。
このとき効果的なキーフレーズが、「読者に代わって聞きたいのですが」という枕詞。
そうすることで、自分の意識を「読者が聞きたいことは何だろう?」という方向に向けることができます。
例えばこの記事を書くうえでのセルフインタビューなら、
「なぜ自分のことを書くことにニガテ意識を感じる?」
「書くための準備って具体的に何をすればいい?」
「どんな風に考えたら書く材料を見つけやすい?」
など3つから5つぐらい質問を考えて、それに対する答えを考えてみます。
「それなら・・・」と突っ込みたくなる質問がまた浮かんできたら、それも追加。
こっちの質問がいいかな、この聞き方でいいかな、と考えていくうちに、何を知ることができれば読者は目的地にたどり着くことができそうか。その道筋を決められるはずです。
書きたいことや盛り込むべきことは、一度で見つかることの方がレア。
こっちかな、やっぱこれかな、と試行錯誤していくうちに、だんだん固まっていくものです。
この方法がなぜ効果的なのかというと、独りよがりな文章になってしまうのを避けられるからです。
セルフブランディングのための記事や、自分のサービスの申し込みにつなげるための文章の場合、どうしても「こちら都合」が前に出そうになります。
ですが、読み手からすると「知らんがな」となりがち(苦笑)。
それを避けるために「インタビュアーの椅子に座る」、つまりちょっと客観的なポジションに立ち位置をずらすことで、読み手を意識しながら考えることが大切なんです。
こうして問いとそれに対する答えを箇条書きで並べていけば、あとはその中から必要なものを選んで、「なぜなら」「例えば」「つまり」などの接続詞でつなげていくだけです。
この時注意したいのが「欲張らない」こと!
1本の文章で伝えるメッセージは1つが基本です。
あれもこれもと欲張って詰め込みすぎると、かえって印象に残らないので気をつけてくださいね。つまり、「目的」も1つですよ。
また、何と何をつなげてどの順番で伝えればいいのか・・・とあまり難しく考える必要はありません。
ビジネス文書ではPREP法などの技法がありますが、型にはめようとするとかえって不自然になりやすいので、自分が心地いい流れでいいんじゃないかなと思います。
自分のことを書く文章に正解はないので、自分が読者になったつもりで読んで「たしかに」「わかる…!」と感じられるかどうかで、構成や展開を決めていいと思っています。
うまく書かなきゃ!と思う必要はありません。
読みやすければ伝わるはず。
そのためにもメッセージは詰め込みすぎず、シンプルであることが第一です。
書ける自信を手に入れるには「ゴール設定」と「客観視」
続いて、ニガテ意識を持ってしまうもう一つの要因である、「メンタル」をどう整えるといいのかについて考えてみましょう。
●「書ける」を正しく定義する
まず第一に考えたいのが、「書けるとは?」の定義です。
「私なんて」と考えてしまう背景として、必要以上にだれかと比べてしまうことが考えられます。
「○○さんみたいに書けない」と萎縮するのではなく、「何ができたら、書けた!といえるのか」を決めればいいんです。
読者に何が伝わればOKか、というインタビューの目的を決めましたよね。
目的さえ達成できれば「書けた」とみなしていいはずで、だれかと比べる必要なんてない。
書く世界には、巨人があふれかえっています。
だれかと比べ始めたらもうひとたまりもありません。ビタッと書けなくなってしまいます。
私なんてしょっちゅう糸井重里さんや古賀史健さんや吉本ばななさんが書かれたものを読んでは「これとこれのこんなつなげかた、思いつく・・・?」「こんな表現…こんな語彙力…」と落ち込みそうになったりして、
アカンアカン、だれと比べてんねん!!と、そんな自分に失笑しています(笑)
(大谷翔平みたいに打てない、なんて誰も比べないのに、なんで「書く」って平気で巨人と比べちゃったりするんでしょうね・・・? 不思議)
「書くことがニガテ」と思い込んでいる場合は、「何ができたら書けたと思っていいんだっけ?」とゴール設定を見直して、再定義してみてくださいね。
誰かと張り合ったり、超えようとしたりしちゃダメ。
自分のことを書く文章は、自分だけのものです。
●自分の「書けている時」を知る
もう一つ効果的な方法が、書けないことにフォーカスするのではなく、「書けている時」の自分を分析することです。
ニガテ意識があるとはいえ、いつもよりは気持ちよく書けたとか、褒められたりいい反応があったりした時だってきっとあったはずです。
自分はどんな時に書ける傾向にあるのか、自分の「書く」に影響を与えるものやコンディションを分析してみましょう。
正解はないので、感覚でOKです!
例えば私の場合は、気分が軽い時や、頭の中に気持ちのいい音楽が流れているような感覚がある時は、けっこうスムーズに書ける気がします(ほら、めっちゃ感覚)。
それってどういう時に多いだろう?と考えてみたところ、散歩の後など適度な距離を気持ちよく歩いた後に多いことがわかってきました。
だから「今から気合いを入れて記事を書くぞ」という時は、その前に軽くウォーキングしたり、近くのカフェに歩いて出かけてから書いたりするようにしています。
たぶん歩くことで情熱と冷静さのバランスがちょうどよくなって、ほどよい温度で文章に気持ちを乗せやすくなるからなんじゃないかな、と。
人によっては、締め切りが近づいてきて追い詰められている時にアドレナリンが出る!だったり、家族など周りの人との関係性がうまくいっている時だったりするかもしれません。
人それぞれ違うので、自分の「書けている時」を把握して、なるべくその状況を用意するようにするといいですね。
●書いた文章を客観視するクセをつける
書くことがニガテだと感じていても得意だと思っていても、絶対に必要なプロセスが「客観視」、つまり見直しです。
書き終えたら少し時間を置いて必ず見直しする習慣を持ちましょう。
見直しをする時は「読者の椅子」に座ってチェックするといいですよ。
チェックするポイントは、
・ゴール(目的)は達成できそうか
・自分自分と、独りよがりになっていないか(「知らんがな」と思われないか)
・「共感」「納得」など、読後に得たい感情を引き出せそうか
といった読後感と、
・誤字脱字がないか
・一文の長さは読みやすいか(60字以内だと見失いにくい)
・文章の流れがスムーズか
といった日本語表現をそれぞれ確認していきましょう。
ちょっと時間を置くだけでも、視野広く客観的に文章を見ることができるようになるので、書いている時には気づけなかったことを拾えるはずですよ。
でも、ここで頭の片隅に置いておいてほしいのが「ちょっとぐらいのゆらぎは味」だということ。
文法的なミスがない、典型表現を駆使した文章なんて、味気ないですよね。
AIが書く文章にはゆらぎがないんです。
だから役には立つけれど心は動かない。
文章から感じられる甘みや苦みは、自分らしい味わいです。
ちょっとぐらいもたついても、くどいところがあっても、表現が幼くても、それが自分の味。
正しい日本語表現や、文法的な正解なんて求めなくていいんです。
だれかにとって毒にならないかどうか。
例えばだれかを深く傷つけたり、だれかが大切にしているものを否定したりすることにつながらないか、といった観点だけ味見して確かめればOKだと思っています。
「Adobe Acrobat オンラインツール」を使ってフィードバックをもらう
より多角的な見直し方法としてオススメなのが、「第三者に見てもらう」こと。
人がどんな観点で文章を読むのかを知り、自分では気づけない思い込みやわかりにくさを指摘してもらうことで、引き出しを増やすことができます。
私も時々ブログの感想などをいただくことがあるのですが、読み手が私の伝えたかったこととは違う視点での気づきを得られていたり、ご自身の体験と重ねて理解されていたりして、「なるほど、そんな風に受け取る方もいるのか」と純粋に驚くことも多いです。
また、もちろん仕事で書いた文章には編集者さんや取材先の広報の方などから指摘が入るのですが、一つひとつ「なるほど~」「たしかに!」としっかり読ませていただいて、できるだけ次に活かすように心がけています。
フィードバックは愛ですから。
自分が編集する立場の時も、自分以外の人がどんな指摘をしているのかは実はとても参考になっています。
例えば営業の人が「販売する側の視点」で別の表現を提案したり、制作に携わっている人が「厳密にはこういう言い方はできないけれど、これなら言える」などと指摘していたりするのを見て、自分が書く時は意識しよう、次はそれも盛り込もう、などとコッソリ心の中にメモするわけです。
なんならコピーして取っておくこともあるくらい。
書き手としては指摘されると悔しかったりするので、コメントは少ない方がいいと思いがちですが、実は細やかな指摘をしてくれる人は自分を成長させてくれる人(中にはただ粘着質なだけ、細かすぎるだけな場合もありますが)。
ありがたく受け取りましょう。
そんな風に複数の人に指摘をもらいたい時は、PDFのコメント機能がオススメです。
PDFというと閲覧専用で編集できないというイメージですが、「Adobe Acrobat オンラインツール」の「PDFを編集」という機能を使えば、複数人で同時に資料をシェアしながら、コメントを入れることができます。
例えばこんな感じ↓
ほかにも、Acrobat オンラインツールなら、PDFのファイルをWordに変換したり、パワーポイントに変換したり、複数のPDFを1つのファイルに統合したり、重くなった場合はPDFを圧縮することなんかもできます。
また、今回Acrobat Proの無料お試しも体験してみたのですが、なんとPDFなのに直接テキストを修正することもできるんです。びっくり。
今回のテーマは「自分のことを書く」なので、他者が修正することはないと思うのですが、商業ライターとして書いた原稿や、社内文書の場合、フィードバックして修正してもらってもう一度確認している時間がない時などは、ちょっと手元で修正できて、とっても便利!
(提案書で会社名が一か所間違えていてヒヤリ、みたいなことありますよね・・・)
さらに画像を追加することもできます。PDFなのに!
こんな感じ↓
画像を追加すると、こんな感じ↓
「ここにこんな画像を入れるといいのでは?」「ホームページのこの画面を貼っては?」などのコメントとともに画像を挿入すれば、イメージがより具体的に伝わりますよね。
Acrobat Proは7日間無料で使えますので、直接触ってみてください。
私も実際に触ってみて「ライティングの時にこの機能を使えば、こういうこともできる・・・」とイメージがわきました。
まとめ
今回は自分のことを書くのがニガテな方に向けて、
・いきなり書こうとせず素材をメモに書き出す
・読者が知りたいことを考える
・「書ける」を正しく定義する
・見直しをして客観視する癖をつける
・第三者に見てもらって感想やアドバイスをもらう
というポイントをお伝えしました。
自分という人がどんなことを考え、感じているのか。
どんな価値観を持っているのかを発信することができれば、想像以上に世界が広がります。
自分のことを書く一番のメリットは、思いがけない人との出会いや縁につながったり、機会に巡り会えたりすることなんじゃないかと思います。
私も自分を発信したからこそ知れたこと、つながれた人、見に行けたもの、読めた本、場との出会いなどなど、受けられた恩恵はたくさんあります。
ニガテを乗り越えた先にきっと新しい何かが待っていると信じて、ぜひ挑戦してみてくださいね。