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kintoneとデザイン思考プレワークショップ 概要



開催に至るまでの話

2024年8月27日日本時間ランチタイム。それは米国東海岸時刻(サマータイム)夜11時。オンラインにて、kintone とデザイン思考 プレワークショップを開催しました。(connectのイベントのバナー写真に私が撮影したNYの写真を使っていただいたのも嬉しいw)


デザイン思考を何故私が訴えるようになったのかはまた別の機会に書くとして、kintone とデザイン思考は、結構前から相性いいと思っていました。No code でシステムが簡単に作れてしまう世の中になってきたからこそ、デザイン思考の視点は今後重要になってくるかと思います。

で、どうやってこのイベントの開催に至ったかというと、昨年末のkintone Café JAPAN 2023 チーム応援ライセンスセッションに、むかーしからのお友達で運営メンバーのsayaka(*Hueee)さんにお声がけ頂いて登壇の機会をいただき、私がボストンで主宰しているNPO、Binnovativeでkintoneを使って子供たちにIoTを教えている話を紹介させていただきました (感謝)

年末年始の帰国の際に他の主催メンバーの打ち上げ会に顔出しが叶いご縁ができて。で、思い切って、このみなさんに、「kintone とデザイン思考は、結構前から相性いいと思っているんだけど。。何かできないかな?」と打ち明け話をしたことから始まりました。すると、実はサイボウズ公認 kintone エバンジェリスト飯塚洋平さんもデザイン思考推し仲間であることが判明し、sayaka(*Hueee)さん、サイボウズ公認 kintone エバンジェリスト小泊さん、愛称kintoneおばちゃん根崎さんといったkintoneコミュニティでは知らない人はいない皆さんと一緒に(!)イベントを企画させていただくことが出来ました。感謝🙏
そして、最初定員10名でイベントを作って、根崎さん発信にて案内が出たら、あれよあれよと登録があり、募集開始後2時間で10名が埋まってしまうという事態に!! 主催の仲間たちのコミュニティの中での存在感、そしてさすがのkintoneコミュニティの皆さんのアンテナの高さと学習意欲!!ランチタイムですよ!!いいんですか???
その後枠を増やしての開催となりました。

デザイン思考概要

まずは、デザイン思考の概要をざっくりとお話ししました。

デザイン思考は、シリコンバレーのデザインコンサルティングファームIDEO(Tim Brown CEO) が提唱した「人間中心」、全ては人から始まる!の考え方 ー つまり、人のエクスペリエンスを改善することを目指すための問題発見、問題解決を起点にすることが、ビジネスの成功にもつながるという考え方のフレームワークです。

アメリカでは、多くのスタートアップや、銀行、病院やコンシューマー会社などなど、BtoB,BtoC含む多くの企業で取り入れられています。

日本ではなかなかまだアメリカほど浸透してはいないと思うのですが、特許庁がデザイン経営と銘打って、デザイン思考の実行を自ら行って推進をしているようです。
 Websiteによると : 「デザイン経営」とは、デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法です。その本質は、人(ユーザー)を中心に考えることで、根本的な課題を発見し、これまでの発想にとらわれない、それでいて実現可能な解決策を、柔軟に反復・改善を繰り返しながら生み出すことです。 これまさにデザイン思考のことを言ってますね。
https://www.jpo.go.jp/introduction/soshiki/design_keiei.html

このデザイン思考を使って導き出される、「人間中心デザイン」の解決策は、有用性、実現可能性、持続可能性というこの3つのレンズが重なっていることが大事です。そして最も重要なのは、有用性から始めること。これができていないと人間中心とは言えなくなってしまいます。有用性は、、人が求めているものは何?というレンズです。
企業で製品やサービスを作ったり、システムを構築したりする場合って、どうしても有用性、ってところが後にきがちなんですが、既にこのシステムがあるから、既にこれ作っちゃったから、それをなんとか生かすには。っていう考え方。じゃなくて人が求めてるものは何か、ここから始めるのがデザイン思考。デザイン思考では、ここを頑張ります。

具体的な方法論には、幾つもフレームワークが存在しますが、一番有名なものは、スタンフォード大学のデザインスクールの5つのステップを使ったフレームワークです。
共感、問題定義、アイデア創造、プロトタイピング、テスト の5つのステップです。
共感は、当事者の目線で物事を感じること。その背景ってのが大事ですね。
問題定義は、解決すべき問題、課題はなんなのか。誰のどんな問題か?を定義すること。
アイデア創造は、定義した問題に対するアイデアをブレインストームして、たくさん出すこと
プロトタイプは、問題解決するアイデアのユーザーエクスペリエンスをできるプロトタイプ、MVPを作ること。できるだけシンプルに。ワイヤーフレームや紙芝居などが使われることも多いです。なぜならここに工数はなるだけかけない。
テスト 問題の当事者に使ってもらいフィードバックをもらう。

デザイン思考は、前半でしっかり問題を定義して、後半の解決案作りはひたすら試作とそのフィードバックループ。簡単に作ったプロトタイプで試してテスト、改善の繰り返しを行います、

ところで、このステップの中で一番大事なポイントって何でしょうか。

実は、問題定義。
定義する問題、これが土台となります。家で例えると基礎、基盤。ここが間違っていると、どんどん建築していくうち最後に出来上がったものが「こんなもの欲しくなかった」となってしまう。
デザイン思考では、この問題定義が非常に重要と考え、ガチに取り組みます。

氷山の図、みなさん見かけたことあると思いますが、露呈している部分は表面的なものであり、本質は下に隠れている、というものです。まさに見えている問題は表面的な問題(顕在ニーズ)、隠れている潜在ニーズ(Latent Needs)を探します。表面的なニーズを聞いてそれをモグラ叩きのように解決していては、全く業務改善にならなかった。そういう経験された方はいらっしゃるのではないでしょうか。。

で、潜在ニーズは往々にして自分でも気づいていないニーズで、当事者に聞いても、普通には素直に出てこないやつなので、「共感」フェーズがあるわけです。

小泊さんからの質問に答えます

次に、kintoneを愛するコミュニティの皆様に、もっと具体的にデザイン思考を理解していただくために、kintoneエバンジェリスト小泊さんからの質問に答えるという形で進めていきました。

Q1: ペルソナは想像上の人ですか?実際の人を当てはめるのがいいですか?

ペルソナ!目の付け所がさすがです。さすが小泊さん。ペルソナは、問題の当事者の具体像なんですが、デザイン思考でとても大事。どんな問題?課題?ってところは、皆さん旗揚げせねば、ってことは皆さんよく認識されてますが、誰の?ってところが本当に大事なんですが、割と忘れられがちなんです。ここはデザイン思考では外せません。使う人が違うと、同じ機能でも使われ方が違う、これ重要なんです。

新規事業や新規プロダクトを開発する場合は、ターゲットペルソナを想像の人で作り上げますが、業務改善の場合は、ユーザーさんが存在するので、その人を当てはめるべきだと思います。実際にその人のバックグラウンドや生活、業務をよーく観察していきます。

子供たちにIoT教える時にも言ってるんですが、プロダクト作る時に誰が使うかを想像するだけで構成も変わってくるし、ピッチでそれを言うのと言わないのでは、プロダクトとしての説得力も変わってくると。

Q 2: kintoneとのデザイン思考の親和性って?

先ほど説明したデザイン思考の5ステップの中で、プロトタイピングのステップってあったの覚えてます?、そう、なるべく工数かけずにユーザがUXを体験できる簡単な仕組みを作る、というものでしたよね。なぜならユーザからのフィードバックによって修正または作り直しを想定するのがデフォルトだから。最初からうまくいくとは考えない。すごくハンブル。
kintoneは、ほぼワイヤーフレームを作るノリでWorking productを作れてしまう。ということはテストもすぐに行える。このフィードバックループがそもそも簡単に行えてしまう。それって、まさに皆さんが既にkintoneで行っていることではないでしょうか。
Kintoneはデザイン思考のためにある、その逆かな?と思うほど相性バッチリだと思うのです。

Q3: kintoneサインポストのパターンでデザイン思考と近いものはありますか?

根本原因の追求 これはまさに、先ほどお話しした、5ステップの中で一番重要なステップ、「問題定義」のことだと思うんです。デザイン思考的には、サインポストの中で一番頂点に立つパターンではないかと。そういう意味でサインポストとデザイン思考はすごく考え方が似ていると思います。

デザイン思考では、潜在ニーズを探す、という話を先ほどもいたしましたが、ここを取り違えるととんでもないことになる。「他の業務課題を引き起こす」など。まさにその通りですよね。


根本原因を間違った例でよくIDEOのCEO、Tim Brown氏が話す例で、インドの田舎に開発に行ったNGOの話があります。水道が存在しないので、女性達が何時間もかけて毎日水を汲みに行くインドのある田舎の街に、それは不便なので水路を作ろう、という計画を外国のNGOがその都市と一緒に進めました。何度も現地に足を運び測量、設計などの計画を重ね、実際に着手しようとしたところでその女性達からその計画に反対を食らいました。女性達に聞くと、水汲みに行ってる時間が1日の中で唯一の安らぎの時間であり、女性同士で話をできるリラックスタイムだと。その時間を奪われたら、他の色々大変な仕事をしなくちゃいけなくなるので困る。当事者に話を聞かずに計画をしたら、根本的な悩みを取り違えちゃったという話。

素早く繰り返す これも、デザイン思考の「解決案」のやり方、試作とそのフィードバックループ。簡単に作ったプロトタイプで試してテスト、改善の繰り返しを行う、ってところと同じやり方ですよね。

IDEOのCEOのTim Brown氏は、早めに失敗しておいた方がいい、後になるほど失敗は高くつく。ってことでどんどん早めに失敗してください、って「早期失敗のススメ」を提唱しています。何故なら、失敗だと判明するのが後になればなるほど、戻りに対する時間や工数が増えてしまうため。この考え方も、まさにサインポストと同じですよね。

後になるほど失敗は高くつく


開かれた情報 デザイン思考はグループワークと言われてます。問題定義の部分から、アイデア創出など、チームで行います。イノベーションと多様性、というのは切っても切れないものだと言われていて、デザイン思考的には、さまざまな立場やさまざまな知識を持つ人がチームにいるべきです。
先ほど紹介した特許庁のデザイン思考の実行の実態は、プロジェクトルームという治外法権の部屋があり、そこでは年次や立場関係なくチームメンバーとしてイノベーションに取り組んでいるようです。


Q 3: kintoneの業務改善におけるデザイン思考の有用性って?どんなケースでデザイン思考が活用できるのか?

この質問では、kintone hive広島の例を勝手にご紹介させていただきました。

大山乳業農業協同組合さん

問題の当事者にしっかり焦点を当てて、解決案がその当事者の方々にきちんと受け入れられるものかどうかを極められている。これまさにデザイン思考での正しい問題定義のお手本ですね。

金田コーポレーション株式会社さん
こちらも、大山乳業さん同様に、問題の当事者としっかり向き合って、愛を持ってこの人たちを助けたい!との思いと共にソリューションを考案されています。ああこれぞデザイン思考!!

大原美術館さん
こちらは、デザイン思考後半の、「フィードバックループ」をしっかり実践されていることのお手本だと思います。もちろん、問題定義もしっかりされておられてこそだと思いますが、しっかりとフィードバックと改善を繰り返されていることが素晴らしい事例だと思います。

※ kintone hiveって、kintoneを上手に使われている事例ですよね。そこでデザイン思考が上手に使われているということは、デザイン思考を使うことでkintoneを上手に使えているという証明だと思いませんか?

そして、乞うご期待のワークショップの紹介

その後、参加者の皆さんがブレークアウトルームで、①簡単に自己紹介②実はデザイン思考してたかも?のストーリーシェアを行い、ようへいさんからワークショップの予告編!が。

今回のセッションで、kintoneの実践にデザイン思考を取り入れてみたいかも、と思った皆様に、実際に体験できるワークショップを行いたいと思っており、その概要と予告編の説明を行いました。

✨そして最後に記念写真✨

やってみた感想

デザイン思考って、普通はワークから入るので、こんなに説明ばっかりやることってあまりないので、今回はいかにみなさんに少しでも自分ごととして理解していただけるか様々な工夫を凝らしてみました。サインポストとの照らし合わせやkintone hiveでの事例など。。。 みなさんに少しでもこの「kintoneとデザイン思考って親和性あるよね」の思いが伝わっていればいいなーと思います。
集まっていただいた皆さんが意識の高い方ばかりで、参加者のプロファイルを拝見するだけで刺激になります!

参加していただいた皆さん、そして一緒にオーガナイズを行っている仲間に感謝!!
次に企画しているワークショップも、乞うご期待です!kintoneとデザイン思考の関係を近づけていくのがとっても楽しみ。

💡 質問、レクチャーやワークショップの相談などはこちらまでお気軽にご連絡ください: eriko@blank-slate.nyc

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