柔軟な対応力と素直さが成功を築く:ビジネスする上での心得
企業によっては、若手社員(20代、30代)の教育をお願いされることがあり、彼らはまだ成長段階にあります。特に大学を卒業して間もない社員は、当然ながら白紙の状態です。そのため、企業内の製造の仕組みを基本から教えていくことになります。月日が経つにつれ、企業の文化が個々に染み込み、良い意味でも悪い意味でもその人に影響を与えます。これらは後々の仕事に対する考え方や行動にも大きく影響します。
ある有名なデパ地下で企画・開発を担当していた方をアシスタントとして採用しましたが、正直なところ、期待していた提案ができないことが多くありました。有名企業で開発経験があると見込んでの採用でしたが、実際には、彼のノウハウはその企業独自の方法や工程に縛られており、他の企業に適用するには限界がありました。
例えば、ある商品について「A社のたれとB社のたれをブレンドしました」と提案されたことがありました。しかし、競合関係にあるA社とB社の製品をブレンドして提案することはできません。これはわかりやすい例ですが、同様の問題が多く発生しました。何度も説明しましたが、理解が進まず、最終的には提案を断念せざるを得ませんでした。
真の解決策は、B社のたれに含まれる調味料を分析し、その類似品を作成してからA社の製品とブレンドするという手順が必要です。このように、基礎からしっかりとした教育をすることで、白紙の状態の社員は素直に学びます。しかし、社会に出て数年経過した社員は、企業のやり方に染まり、良い方向に進むか、逆に手を抜くようになるかが分かれます。特に、知識を持っているがゆえに他者の助言を聞かず、自分なりのやり方に固執する場合もあります。
ここで、多くの経営者が共通して言うのは、「素直さ」が成功の鍵であるということです。そして、素直でなければ、本当の意味でフレキシブルに対応することはできません。素直さがあることで、他者の意見や新しいアプローチを受け入れることができ、それが柔軟な対応につながるのです。不器用であっても、素直に取り組む姿勢は上司や同僚に伝わり、結果的に成長していきます。一方、自分のやり方に固執してしまうと、新しい状況や変化に適応できず、柔軟さを失います。
たとえ「のろい」と感じられる部分があったとしても、一生懸命で素直な人は、時間とともに成長し、柔軟に対応できるようになります。このような成長は、単に知識やスキルだけでなく、「素直さ」という基本的な態度から生まれます。結果として、素直さがある人こそが、最もフレキシブルに対応し、新しい環境でも成功を収めるのです。
外部委託のコーディネーターとして働く際にも、アシスタントを採用する基準は「素直さ」です。顧問先で社員教育を行う際にも、その人が今後成長できるかどうかを判断する重要なポイントは、「素直さ」だと考えています。
素直であることは、フレキシブルに対応できるかどうかに直結しています。もちろん、ノウハウがないと対応できませんが、最終的には素直さがあることで、どのような状況にも柔軟に対応できる力を養うことができるのです。