定番中の定番!マカロニサラダの舞台裏
マカロニサラダの開発依頼が、最近、ありまして・・・
とても難しいので、依頼を受けると憂鬱になります。
すっかり定番であること、スーパーの惣菜では売れ筋の上位に占めますので、毎年、毎年、改善なさっていることもあり、劇的に前年より売り上げが上げることは非常に難しいといえるのです。
マカロニサラダの歴史を遡ると、1960年から1970年にかけて、一般の家庭で洋風の食文化がアメリカから流れたとされています。そして給食に出回り始めたのも、ちょうどその時期です。
そこから考えるとすっかり日本食で定番中のド定番なのです。
ですので、スーパーでは、売り上げ上位5位以内には、必ずランクインする冷蔵商品と言えます。
そこで定番中のド定番のポテトサラダは、依頼される側である私は、前年度の数値を考えつつ、過去、開発者がどのような改善を手がけてきたかをヒアリングします。
何といってもマカロニサラダの一番のネックは、製造から、店に並べるまで、マカロニサラダの状態は、非常に変わりやすいのです。
例えば、業界用語で、DAY2という言葉があります。
これは、製造日を1日、そして店着から1日、つまり2日ということで、DAY2と言われるのですが、通常、マカロニサラダや、ポテトサラダは、最低、このDAY2でも製造した直後と変わらないことが鉄則とされます。
また、食中毒に関しても、同様でいかに菌数をおさえるかもポイントとされます。
しかし、多くの場合、つまり家庭で作られているような、ごく普通のマヨネーズと量だと、たれがマカロニに吸われてしまい、店に到着した時には、たれがない状態になりかねません。
また、マヨネーズの量を多く入れすぎて、そこに落ちてしまっている状態などもよくあることです。
つまり調整がとっても難しいのです。
これまで多くのスーパーでは、改善し、出尽くした感もあって、いろいろな野菜を入れるなど、工夫をなさるのですが、反って売れません。
やはり定番のド定番であるマカロニサラダは、具材は、シンプルイズベストなのです。
ということで、マカロニサラダを試作し、これまで試作、6回以上。
しかし、まとまりません。
スーパー開発者に言うと、今までお話した内容をよくよくわかっているので「いやですね~マカロニサラダの開発」とため息。
マヨネーズの種類を、いろいろと検証しました。
皆さんもご存じのキューピーさんにお願いし、いろいろな種類のマヨネーズを持ってきていただきました。
マヨネーズと言っても、業務用のマヨネーズは、半端ない種類がございます。
まず、マヨネーズを試食。
通常の家庭で食べるマヨネーズと違って、パスタ用マヨネーズは、マヨネーズそのものがもっと弾力があり、マヨネーズが落ちないのです。しかし、それだけだと口に残るので、すっきりとしたマヨネーズを併せることにいたしました。マヨネーズの種類は、いろいろとあり、これらをいかにブレンドするか、企業秘密となります。
さらにすっきりさせるために、ドレッシング、ちょっと隠し味を入れます。
次に、私のレシピで工場製造したところ、一部で離水、つまり水分が出る問題が生じました。
調べたところ、原因はきゅうりでした。
きゅうりは、カットされたもの、いわゆるカット野菜で工場納品し、使用していますが、加工過程で通常より水分が飛んでいるため、その状態がわかりにくいのです。
今回は手切りで試作しました。手切りにすると、水分がさらに出ます。つまり最悪の状態での離水で検証すると大丈夫かと。ここできゅうりの表面に離水防止(ゼラチンのようなもの)を工夫して再試作しました。
余談ですが、きゅうりは菌数も多いので、丁寧にお酢で処理をする、もしくは菌が繁殖しやすい「いぼ」の少ないきゅうりを選び、あえます。
結果、少し理想に近づいたのですが、やはりマカロニがたれを吸収してしまうため、倍量のマヨネーズを加え、さらに試作。
少し望んでいる状態になったのですが、やはりマカロニはたれを吸収します。
企業によっては、マカロニの空洞部分の広さを検証するところもあります。
売り場に並んでいる何気ないマカロニサラダ。
あらゆるスーパーのマカロニサラダを試食しますと、いろいろな発見があります。
全体に黄色マカロニサラダ。
マカロニから、マヨネーズが付いていないもの。
食べた瞬間に唸る程よいまとわりつき加減絶妙のマカロニサラダ。
ということで・・・
惣菜に何気に並んでおり、しかも家庭でも作れると思われる商品の依頼は、
本当に難しいもので、この業務用の極意を知っているのかどうかスーパーの開発の専門家は目を光らせています。これがわからないと「素人」と思われてしまい、その企業とのお仕事の継続が難しいのです。
「マカロニサラダは難しい」と分かることが、惣菜開発の第一段階なのかもしれません。
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