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中食ビジネスの参入障壁を超えるために—外食との違いを理解する

ファミリーレストラン、惣菜企業2社、そして食品メーカー1社との契約を通じて、少しずつ仕事が広がってきました。しかし、暗中模索で始めた惣菜ビジネスは、外食とは全く異なるレシピ作りや商品開発のアプローチが求められることに気づきました。

現在では、粗利を見込めることから、他業種や外食業界から中食市場に参入しようとする企業が増えていますが、多くの企業が途中で挫折してしまいます。これは、中食ビジネスの参入障壁が高いからです。では何故、参入障壁が高いか。今後、中食の開発に取り組みたいと考える方々には、この外食との違いをしっかりと理解することが、成功への第一歩となるでしょう。

  1. 購入者と食べる人が異なる
    外食では、来店されたお客様がその場で食事をされるため、誰が食べるのかが明確です。しかし、惣菜は購入者と実際に食べる人が異なる場合が多く、食べる人の年齢や性別が分かりません。おばあちゃんが食べるのか、ご主人が食べるのか、これが分からないのです。

  2. 食べるタイミングが不明確
    外食では、お客様が注文した料理をすぐに食べますが、中食では持ち帰ってから食べられるため、いつ食べられるのかが分かりません。このため、食中毒のリスクを避けるためにも、商品開発時には保存性を考慮する必要があります。

  3. 厳しい単価設定
    中食の商品は、外食の半分もしくは三分の一程度の価格設定でなければ購入してもらえません。例えば、パスタは外食では通常800円以上の価格で提供されることが多いですが、中食ではこの価格帯は皆無です。最近、原料高騰から、価格がアップしていますが、多くの場合、本体価格は498円までとなっています。そのため、厳しい原価設定でのレシピ開発が求められます。現在、原料が高騰しているため、価格を上げざるを得ない場合もありますが、これが販売数の減少に繋がることも多いのも現実です。唯一、外食で中食の価格に匹敵するのがサイゼリヤであり、その価格設定がいかに見事であるかが分かります。

  4. 温度による味覚の変化
    中食では、常温で食べるべき食品でも冷蔵で提供する場合があり、その結果、味覚に変化が生じます。例えば、甘さは冷蔵では感じにくいため、試食時には冷蔵した状態での味覚を何度もチェックする必要があります。

  5. ボリューム感の表現
    外食では、料理の高さでボリューム感を演出できますが、中食ではパック売りの場合、蓋をしてしまうため、上から見た時に隙間なく商品が入っているかが重要です。弁当の場合は、ぎっしり詰め込むことでボリューム感を出すことが求められます。ただし、サラダなどは重さがあると逆効果になることもあり、シズル感を重視する必要があります。

このように、外食と中食にはさまざまな違いがあり、これらを理解することが中食ビジネスで成功するための第一歩でこの分野でお仕事したい人には、知っておくと良いと思います。



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