外食産業の多様化と戦略:1997年のピークから
多業態を知る 立地について
外食のメニュー提案は、当初、イタリアンから入ったのですが、一つの業態のオペレーションがわかったとしても、他の業態からのオファーがあったら、受けられないのではないか。依頼されても、このままだと業態が限定してしまう。
いろいろな業態を知ることが大切さを感じたのです。
1997年は、日本の外食産業が大きく成長した時期でもあり、女性の社会進出から外食を利用するようになると言った社会背景もあるのですが、バブル後、この時期、お客様はより手軽さが求められようになり、それにより外食産業は、新しい業態が多数出現し、消費者の多様なニーズに応えること、つまり手軽でおしゃれなレストランが外食産業全体の売り上げを牽引するようになりました。飲茶・スペイン・ビストロと言った新たなる業態、つまり多国籍料理の出現です。そこであらゆる業態を手掛けている企業で勉強したいと思い、社長にお手紙を書き、お手伝いすることとなりました。
立地、デザインなどを学ぶことが出来ました。
立地について
候補地の通りがどのようになっているのか。
そこは店舗が発見しやすい場所なのか、昼、夜の人通りの量なども調べ、家賃との兼ね合いも考慮しなければなりません。坂のあるなし、1階であっても少しの段差があると、売り上げに大きく響きます。
車での利用がメインの立地だと、駐車場に入れやすいかは、勿論のこと、信号機がどこにあるのかもポイントとなってきます。信号機の近くの立地ですと、通り過ぎてしまうこともあるからです。
次に店舗内、店についてです。そこで店舗デザイン、食器選び、食器選び、メニュー作成などを教わったのです。
当然のことながら、店内の雰囲気は、売上に大きく影響するので、色調、外観、インテリアはどのようにするのかと同時にお客様どのくらいいてもらえるのかを考えることが大切です。赤い色は、滞在時間が短縮される傾向が強い色目で主にファーストフードで使用される色と言われます。
椅子、机などの什器について
椅子では、ファーストフードだと固めのものを選びます。
これにより回転率を高めることがポイントとなります。一方、いろいろな商品を注文してもらうような業態は、柔らかな椅子を使用することで長居してもらえます。そして、その店の業態の色目に合わせ、選定していくのです。
当然、机の大きさも考慮しないといけません。
机の面積が大きいと、注文数が一度にどれくらい可能なのか。それら商品が机に並べた際、大丈夫なのかどうかなどです。
お皿の選定について
食器は、数社からサンプルを取り寄せ、その上にお料理をのせるのですが
料理が映えるような器であることは必須で、以下のような事柄もポイントとなります。
・机の上にお皿がいくつ載せられるか。
・従業員が持ち運びやすいか。
・食洗器に入れる際、壊れにくいかどうか。
⇒強化磁器にすべきかどうか。
・厨房でお皿が重ねられるか
このようなことを基準にお皿を選びます。
手伝ったことで、各業態による売れ筋の商品は何なのか、1店舗で平均何食売れるのかなども理解できるようになったのです
しかし後に、他業態を手掛ける企業の多くは、急ピッチで店舗を出店するにつれ、一つ一つの業態の商品が深堀りできなかったこと、低価格路線に陥る企業もあり、淘汰されてきたのです。
仕組みがきちんとしている企業で仕事をすることの重要性を感じ始めたのです。
1997年、外食産業のピーク
当時、1997年は外食の売り上げが29兆円で最高に成長しピークに達した年でもありました。
「これは成長ではなく、膨張かも。いつまでも続かない」と強く思ったのです。