![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160125956/rectangle_large_type_2_0e3ed874be17df84f504e42f790ab093.png?width=1200)
惣菜の「ポテトサラダ」のコツは、糖度なんです。
惣菜売り場に必ずあるのが、ポテトサラダ。サラダで必ず売り上げ1位を誇る商品でもあります。
皆さんもスーパーでポテトサラダを見かけられた際、一番下段に並んでいること思い出されるかと存じます。つまり下段に置かれている商品は売れ筋である証なのです。
そしてポテトサラダは、売り上げNO1ですので、下段は当たり前、超売れ筋で惣菜の王なのです。
ポテトサラダの主なルーツ
1.ヨーロッパの起源
ポテトサラダの原型は17世紀頃、ヨーロッパで誕生したと言われています。ポテトがヨーロッパに伝来したのは16世紀後半で、当初は保存性の高い炭水化物源として広まりました。ポテトサラダの起源とされる料理には、ジャガイモを酢や油、ハーブで味付けしたシンプルなものがありました。これが、ドイツやオーストリアなど中欧の「ドイツ風ポテトサラダ」(Kartoffelsalat)の元祖とされています。
1. ヨーロッパのシンプルなポテトサラダ
起源: ジャガイモがヨーロッパに伝わった16~17世紀頃。
特徴: 酢や油、塩、ハーブでシンプルに味付けした「カルトッフェルサラート」(ドイツ)や「ヴィネグレット」(フランス)が基本形。
意義: ジャガイモを主食や保存食として活用した文化がベース。
1. ロシアのオリヴィエサラダ
起源: 19世紀、モスクワの高級料理として生まれた。
特徴: ポテトを含む多くの具材をマヨネーズで和えた豪華なサラダ。
意義: ポテトを含むリッチなサラダとして広まり、庶民化されていく過程で「ポテトサラダ」のスタイルが浸透。
北に位置するロシアは、緑黄色野菜が乏しく、このことからポテトを使ったサラダが生み出されたようです。ポテトサラダは、マカロニサラダより、日本に浸透したのが10年早く、1950年頃とされています。その後、デパ地下でも並べられるようになったことで、より浸透したとされます。
2. ドイツ風ポテトサラダ
ドイツでは、ポテトを茹でてスライスし、酢、油、マスタード、タマネギ、ハーブで味付けするスタイルが一般的です。地域によってはベーコンやビネガーソースを加えることもあります。このタイプは、温かいまま食べることが多く、現代でも広く愛されています。
3. フランス風ポテトサラダ
フランスでもジャガイモを使ったサラダは人気があり、こちらは「ヴィネグレットソース」(油と酢を混ぜたもの)で和えたものが一般的です。フランス風ポテトサラダは、ドイツ風よりも軽い味付けで、冷製で提供されることが多いです。
4. アメリカでの発展
ポテトサラダは19世紀にアメリカにも伝わり、マヨネーズを使ったスタイルに発展しました。マヨネーズを多用することで濃厚な風味を持たせたアメリカ風ポテトサラダは、バーベキューやピクニックの定番料理として親しまれています。
5. 日本でのポテトサラダ
日本には、明治時代に西洋料理が広まる中でポテトサラダも伝わりました。日本風ポテトサラダの特徴は、ジャガイモを一部マッシュして滑らかな食感を出し、マヨネーズをたっぷり使う点です。ニンジン、キュウリ、ハム、トウモロコシなどの具材が加えられ、少し甘めの味付けがされることが多いです。このスタイルは家庭料理や惣菜として定着しています。
まとめ
ポテトサラダはヨーロッパで始まり、各地でアレンジを加えられて世界中に広まりました。その国ごとの文化や味覚に合わせて変化し、日本では独自のスタイルが確立されています。起源を知ると、料理の多様性や歴史的背景が見えて興味深いですね。
惣菜でのポテトサラダの売り場からわかる顧客層
因みにポテトサラダから見るデパ地下の売り場ポイントです。
デパ地下のポテトサラダの配置されている場所から、その地域の顧客層がわかると思っております。デパ地下では、ポテトサラダは最も低価格に位置するので、どこに配置されているのか、これでその地域の顧客層が分ると思っております。
例えば、ポテトサラダをみれば、中央に置かれていると、パッと見れる場所に配置されているので、価格が低いことを訴求したいうことから、より庶民的な地域とされ、端に置かれていると少し高級な地域と見ておりました。
さて記憶に新しいことで、ポテトサラダ論争がありました。
男性「ポテトサラダぐらい、家で作れるでしょ」
いや、もっとエキセントリックな言葉でした。
男性「母親ならそのくらい手づくりしろ」
と言ったことから、主婦に大反感を買いました。
男性から見れば・・・
茹でたポテトにマヨネーズまぜるだけだ・・・と。
女性にしてみれば・・・
その下準備も大変なんだよ・・・と。
ということで、実際、スーパーの工場ではどのようにしてポテトサラダが作られているのかを説明いたします。
その前に・・・
惣菜=家庭料理、そこから家庭の延長線上であることゆえに、簡単に作れると思っていらっしゃるようです。
それが間違いのはじまりです。
惣菜工場には、惣菜のプロが必ず常駐されております。
そして、ポテト・サラダも出来上がる過程は、どのスーパーさんも日々、改良をかけておられるのです。
原料選び、産地ではなくて・・・
ポテトサラダ一品とはいえ、原材料の選定から調理工程まで細かく計画されています。
まず、ジャガイモの選定から申し上げますと、産地選定だけでなく、
とあるスーパーでは、『ジャガイモの糖度基準』を設け、常に安定した味と品質を保つようになさっているのです。
それを元に、地域、収穫時期が見合うものを選び、味が均一になるようにしております。
例えば、朝に収穫した場合、夕方に収穫した場合、ジャガイモの糖度が違うのです。
これにより、たとえある産地で不作になっても、糖度基準がクリアできたならば、違うじゃがいもに変更することも出来るのです。
このようなジャガイモの糖度の選定は、家庭ではできません。
そしてこの『糖度基準』こそが、惣菜のポテトサラダの安定した美味しさであり、良し悪しの決めてとなります。
また、糖度を調べることは、ある意味、これまでのように産地に頼るとは、全く新しい視点です。
作り方のこだわり
工場に納品し、いざ調理へ。
まずスチームピーラーという機械で、ごくごく薄く皮を剥きます。
スチームピーラーは、野菜などに高温の蒸気を当てることで皮を剥離させる装置です。
スチームピーラーで皮をはがすことで、皮とジャガイモのちょうど境界のおいしい部分をしっかり残し、極力、皮のみを剥離させます。
大きな機械なので、一見、この大きさだけで、家庭では作れないと思われるかもしれません。
しかし、じっくり見ていただけると、わかりますように、途中の動画工程で、ごくごく薄く剥がれた皮のみが流れていく様を見ていただけると思います。1分9秒あたりで皮のみが見えるかと存じます。
このごくごく薄く皮を剥がすこと、それも家庭ではできません。
その後、出来上がった瞬間に、ドレッシングを入れ、じゃがいもの細部まで浸透させるように酸味のある下味を作ります。
最後、マヨネーズとあわせるのですが・・・
マヨネーズは、ポテトサラダ専用の業務用のマヨネーズをブレンドさせ使用します。ポテトの素材をマヨネーズで消さないよう、あまり吸収させないマヨネーズと、時間とともにマヨネーズが落ちないようにブレンドするのです。
そして、ポテトサラダためだけにマヨネーズを購入することも、家庭ではできません。
ということで・・・
たかがポテトサラダ、されどポテトサラダなのです。
「福島のスーパーのポテトサラダがとっても美味しい」と関東の大手スーパーSのバイヤーで後に社長になられた方から聞きまして、「本当?」と思いながらも、購入すべく福島県のヨーク・ベニマルさんに行きました。
何の変哲もないポテトサラダ。
あれほど絶賛なさっていたことから、すぐにでも食べたくなりまして、帰路の途中、思わず口に含んでみました。
なんと、どこを食べても味のバランスが良くて、またポテトその物もすっきりとしているのにびっくりしたものです。
そして、自然と涙が頬を伝わりました。
一見、ごく普通のポテトサラダ。
素晴らしいバランスに仕上ったポテトサラダは、各地のジャガイモを調べ、そこから味が均一になるようにジャガイモを選び、工場のラインにおとし込み、ジャガイモの素材が持つ甘味が味わえるような工程、そしてそれはポテトサラダの美味しさのポイントをよくよくわかって開発なさっている事が、すぐさまわかりました。よくありがちな「産地を謡えば、美味しい」というような仕上がりではないのです。年月をかけて、非常にシンプルだけど唸るような商品に仕上がっており、並大抵な努力では出来ません。
素晴らしいなあ・・・
一見、地味で当たり前に口にしているポテトサラダが、これほどキラリと光るのは、努力が結集されている証です。
私、一応、あらゆるスーパーのポテトサラダを食べております。
価格を調べ、ポテトの状態、マヨネーズのまとわり状態など。
その中でもよく、
・マヨネーズがかかりすぎ。
・じゃがいもがほくほくしすぎて、ざらつきがある。
・きゅうりは菌数を抑えるためか、酸味が強すぎる。
・玉ねぎスライスの匂いが気になる。
商品として見ると、何かと粗を探したくなるものです。
しかし、全くないのです、ヨークベニマルさんのポテトサラダ。
実は・・・
テレビで「涙がでるポテトサラダ」を紹介させて頂いたところ、そのスーパーの方が見て下さっていたようで、非常に喜ばれまして、工場の見学をさせていただきました。
通常、工場の中は、企業秘密ということで、なかなか見せてもらえないのです。
そこで見た光景は、思った通り、素晴らしい製造ラインでした。手作業でそこまでやるのかとびっくりし、ポテトが温かいうちにドレッシングをかけて、ポテトの美味しさを生かすために、さわがしくない程度に味が付いております。
ということで、何度も何度も申し上げますが。
たかがポテトサラダ、されどポテトサラダなんです。
そして「糖度」という全く新しい切り口でスーパーのポテトサラダを作られている着眼点は、ポテトサラダを日々、考え、深く掘り下げているからこそ出てくる発想ではないでしょうか。
「プロならでは」とは、このようなことなのだとと思い、常に商品に対して、真摯に向き合いたいと思ったものです。