国際コーチング連盟(ICF)の認定試験を受けてみて
先日、国際コーチング連盟(ICF)の認定試験に合格し、晴れて国際コーチング連盟アソシエイトコーチ(ACC)になることができました。
当然試験内容に関しては書けませんが、試験に合格するまでに思ったことややったことに関して書いてみようと思います。シンガポール在住のため、シンガポール会場で試験を受けたので日本にお住まいの方には参考にはならない部分もあるかもしれませんが、これから受験される方の何かのお役に立てれば幸いです。
ちなみに2回目の受験での合格です。私にとっては、とても難しい試験でした。
なぜ1回目に落ちたのか、それに対してどのように対策したのかについても書けたらと思います。
追記(2024年10月7日)
ACC認定の試験が、2024年11月18日より新しい試験に変更になることが発表されました。
<主な変更点>
●試験時間と問題数
試験時間90分、問題数60問
(試験説明(2分)+前半30問(39分)+休憩(10分)+後半30問(39分))
●質問内容
実際の状況に対して、個人がどのように対応するかを評価するという状況判断に関する問題から特定の事実や概念に関する知識や理解を評価する知識ベースの問題へ変更。
詳しくはICFの公式ページをご覧ください。
試験のポイント
私が思う試験のポイントは3つです。
(1)コア・コンピテンシーと倫理規定を丸暗記すればいいということではなく、ある状況下においてコア・コンピテンシーと倫理規定に基づき、どのように行動すればよいかを判断できるか。
(2)パソコンの画面上で文章を読んで、勝手な解釈をせずにそのままの状況を思い浮かべることができるか。そして、集中力を切らさずに読み続けることができるか。(試験説明(3分)+前半41問(102分)+休憩(5分)+後半40問(100分))
(3)突然の出来事があっても、感情マネージメントができるか。
では、そのために何をやったかを書いてみます。
試験までにやったこと
コア・コンピテンシーと倫理規定を理解する
それぞれの状況の時に、コア・コンピテンシーや倫理規定に基づいてどのように行動すれば良いかということが判断できるようにならなければならないので、いろんな状況の例に触れることができる講座の受講や動画の視聴はおすすめです。以下は私がやったものでおすすめのものです。
(1)共創コーチングスクールで開催されている倫理規定&コア・コンピテンシーの講座を再受講
プロコーチとして活動をする前に受けた講座ではありましたが、実際にコーチングセッションをある程度経験した上で、もう一度説明を聞いたり、他の受講生の方とディスカッションしたりすると、1度目に受講した時とは違う学びがありました。忘れてしまっている部分や、その当時は意識していなかった視点もあり、毎年受けて基本に立ち返った方が良いなと思いました。
他のスクールの方も参加できる講座です。ご興味のある方は是非どうぞ。
(2)ICFの公式が出しているもので勉強する
1)コア・コンピテンシーの動画を見る
2)倫理規定の動画を見る
3)倫理に関する洞察と考察のページを読む
4)倫理規定のFAQのページを読む
Google翻訳さん、DeepL翻訳さん、大活躍でした。文字書き起こしや翻訳の精度が上がって感謝です。
あまり英語が得意でないので英語が上手になりたいなと思いつつ、普段なかなかやらないので、英語の勉強も併せてできている自分にちょっと満足していました。
(3)コア・コンピテンシーを解説している動画を見る
ICF以外から色々と解説動画などが出ています。
ICF以外が提供しているもの関しては、あくまでも自己判断、自己責任でご利用されてくださいね。
1)SolutionsAcademyが出している動画を見る
2)Lyssa deHart Coachingが出している動画を見る
試験の形式に慣れる
(1)ICFの公式Webサイトに掲載されているサンプル問題8問を解く
(2)サンプル問題を解説している動画を見て、解き方のコツを覚える
1)SolutionsAcademyが出している動画を見る
サンプル問題は、どうしてそれがBestになるのか、どうしてこれがWorstになるのかわからないものが多かったのですが、この方の解説は分かりやすくとても役に立ちました。
2)Lyssa deHart Coachingが出している動画を見る
このお二人が教えてくれているポイントは、試験のためだけではなく、セッションを行う上でも重要なポイントだと思いました。
ポイントを知った上で、もう一度コア・コンピテンシーを読むと、とても理解が深まりました。
忘れた頃にもう一度という感じで、サンプル問題は何度もやりました。
なんで、こんなに毎回間違ってしまうのかな?という感じでした。ちゃんと理解していなかったんでしょうね。
1回目は不合格だった原因について
とにかく、前半の時間が全然足りなかったです。パソコン上の文字が頭に入ってこない。無意識に緊張していたというのもありますが、日本語のフォントも読みにくい。まず日本語で読んで答えはこれだと思って英語の画面に戻るのですが、英語を読むと、違う答えかも?と気持ちが揺らぎ、何度も読み直しているうちに、時間だけがどんどん過ぎていってしまいました。両方の言語で考える時間はなく、中途半端な英語力なのがもどかしかったです。英語だけで受けれたらどんなに楽か。。。普段からゆっくり考える癖があるのも原因だと思います。
前半の20問が終わった段階で、半分以上の時間が過ぎていたので、とても焦りました。焦るとさらに文字が頭に入ってこなくなるので、悪循環が始まりました。その上、途中でWi-Fiが不安定になり画面がクルクル状態になり、先に進めず。。。試験監督を呼んで変なんですけどって言っている間、数分のロスがあったと思います。その後はとにかく全部解き終えようという意識で適当に答える問題も。。。その辺りから、「こりゃ今回は受からんな」と諦めたのが良かったのか(?)5分の休憩時間に落ち着きを取り戻し、ペースも掴み後半は平常心で解くことができました。前半ほどの難しさを感じることなく、「後で見る」としておいた問題も何個か見直すことができました。
2回目に向けての対策
(1)普段からパソコンで文字を読む
私、普段からパソコンで文字を読むのが苦手で(頭に文章が入ってこない)、世の中はペーパーレスにしようとしているのに、いちいちプリントアウトして読んでいるのですが、サンプル試験を解く時など、できるだけ画面上で文章を読んでやるようにしました。
(2)1回読んだだけで、状況が頭に浮かぶように集中して読む
ほんと、私にとっては、これが一番大変でした。
この試験は、「短時間で判断できるか、そして集中力がどれだけ持続できるかを試されているのか?」と思いました。
コーチとして鍛えていくべき能力だなと思います。
(3)ベストだと思う日に予約をする
家から行くのに便利な会場にした1回目は、午後からのスロットしか予約しかできなかったので、午後からにしたのですが、私の場合は午前中の方が頭が働くので、2回目は別の会場での午前中のスロットを予約しました。(そのために会場を変えることにしたのですが、のちに記述する悪環境の会場で受けることに。。。)
試験前日は、ちょうどシンガポールの祝日で、仕事を何も入れず一日フリーな日としました。
(4)最後はコア・コンピテンシーと倫理規定を音読(笑)
読んでいるだけだとすぐに気が散るので、ブツブツ声に出しながら音読していました。
海外の方が動画で自分の声でコアコンピテンシーを録音してそれを繰り返し聞いて、試験で文章を読んだ時にすぐに思い浮かぶようにしたとおっしゃってた方がいらっしゃいました。そこまでしなきゃなのか!?と思いましたが、私は音読にしました。
英語の動詞は解答する時のヒントになるので、コア・コンピテンシーで使われている英語の動詞にも注目しておくと良いと思います。askねーとかsupportねーとか。inviteはいざなうと訳したんだ!とか。
今回合格できたのは、ズバリ「どんな事が起きても、自分を調整できたから」
2回目の会場の環境は、はっきり言ってベストな状態ではなかったです。
1回目の会場はしっかりとしていたところだったので、それと比べると色んな出来事が起き、書き始めたらキリがありません。それに関しては、今後の受験生の方が気持ちよく試験を受けることができるためにしっかりPearsonVUEへフィードバックを書こうと思っています。
特に大きな出来事は以下の2つでした。
(1)会場が静かでない(うそーんって感じです)
試験は一斉に始まるのではないので、次から次へと受験生が入ってきて、準備をしてもらって試験を開始します。9時の予約だったので、8時半ちょっと前に会場に着いたのですが、私が一番乗りでした。好きな机を選べたまではよかったのですが、部屋のドアが開けっぱなしだったので、部屋のすぐ前の受付での声が丸聞こえ。年配のおじいさまが受付兼試験監督だったのですが、声が大きい。受験生が来るたびに、会場内のコンピューターのところまで来て、試験を開始してあげるのですが、その時の説明の声も大きい。
挙句の果てには、会場内で携帯電話が鳴るという。。。(それも一回ではない。受験生はロッカーに携帯電話は入れてあるでしょうから、確認はしてませんが、試験監督の携帯電話が鳴ったのではないかと思います。)
私がやった対策
耳栓をした!(初めから机に準備されていました)
この判断は早かったです。私のコンピューターの設定をしてくれてから、ドアを閉めずに出ていって次の受付をし始めた時に、だめだこりゃと思って耳栓をしました。初めの3分の説明は、前回も見たものなので、この時間にそのような対応ができました。
耳栓をしても聞こえるのですが、耳栓をするという行為が私を集中しやすくしたかもです。
(2)Wi-Fiが途中で不安定になり、最終的には、部屋の全員のコンピューターのインターネットの接続が切断された(マジで?って感じです)
1回目受けた時も、途中Wi-Fiが不安定になったのですが、すぐに回復したのでよかったのですが、今回は、インターネットの接続が切断されて、部屋の全員が試験をストップするという事態になりました。
今回はうるさい環境下の中でも、まあまあいい感じで前半やっていたのですが、でもそんなに時間的には余裕がないなと思ってた時に起こりました。
自分でドキドキを感じるほどだったので、一気にかなり心拍数が上がったと思います。試験会場にはスマートウォッチを持ち込めないので正確な数字は分かりませんが、最近、脈拍が上がるタイミングを意識していたこともあって、普段からスマートウォッチで脈拍モニターしていたので、この感じはハイアラートが届く感じだなと思いました。
私がやった対策
自分がそうなっている状態に気づき、ひたすら、目を瞑って2対1呼吸(吐く6カウントに対して吸うを3カウントの呼吸法)をして、呼吸を整え、気持ちを落ち着かせました。
中断された正確な時間は分かりませんが、5分くらいかと思います。その間、時間はカウントダウンされてたと思います。
コア・コンピテンシーの「感情を整える能力を開発し、維持している」「自分の感情を管理している」「クライアントの強い感情と向き合うことへの自信を示している(今回の場合は、アクシデントと向き合うですが)」の辺りが頭をよぎっておりました。
これ、試されてるやんって。
最後に
こんな環境下の中、合格点を取れたことは、とても私の自信となりました。
受験生の試験の時、スポーツ選手の試合の時、その他にもそのような場面が色々あると思いますが、いかにある時点に自分のベストパフォーマンスができるように持っていくか、そして何か予想外のアクシデントが起きた時もその場で調整できるかに関しては、とても興味深いテーマだと思っています。今後のコーチングセッションでも活かしていけたらと思います。
しばらくこの試験は受けたくないなとは思いますが、この試験のために色々な状況に結びつけてコア・コンピテンシーと倫理規定を理解し、ポイントを覚えたので、今後コーチングセッションに役に立つと思います。勉強をしたことはとても良かったなと思います。
お金もかかることですし、1回で合格できることに越したことはないですが、1回受けることによって、様子が分かり、試験形式にも慣れる事ができ、自分の補強した方が良い部分も見えてくると思います。
ある程度勉強したけど、試験を受けることを躊躇されてる方がいらっしゃったら、一度受けてみるのも良いかもです。
以上、セルフリフレクションでした。
私の経験が、これから受験をされる方の少しでもお役に立てれば嬉しいです。