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【4】カードを並べ替えて構成を考える

前回のプロセスはこちら(↓)。

本に書きたいこと、書くべきことをまとめたカードはそろいました。しばらくはこれを、お守りのようにただ持って歩きます。

ときどき袋から出し、パラパラとカードを繰って記憶をリフレッシュしたり、中を見ることなく持ち歩いて、距離を置くこともその目的。距離を置くことで全体を俯瞰できるようになるので。

厚みは約3センチ。重さは380グラム。

だいたい熟成したかな、と思ったところで、貸し会議室をレンタルします。このカードを全部並べるので、長い机がほしいんです。8~10人ぐらいが座れるような大きな机のあるところを借りました。

そして、カードをひたすら出来事の時系列順に並べ変えていきます。同時並行で起きていることや、時系列で並べたとある出来事と絡めて語りたいこと、たとえばその出来事の背景にあった思いや、ここで読み手に知ってほしい知識は出来事の横に並べます。

長ーい机が必要なのはこのため。

まずは縦に長く時系列にカードを並べ、それから各出来事に付随するカードを並べます。ここは機械的に。

そして、全体を一望します。ふむふむ、こんな感じね。この出来事に付随するカードはけっこう多いな。とか。

どの出来事にも直接的に紐づかないカードも出てきます。そうしたカードたちが時系列の中でどこに入っていたら自然に読めるかを考えて、そこに置いていきます。

それでもうまく入らないカードは、適当に積んでおくことに。とはいえ、この時点でその山はそんなに高くありません。たとえば、ウガンダという国に関する基礎知識などは、本の主人公である仲本さんの人生の出来事に直接的に結びつくわけではないので、この山にまとめて置いておきます。

本の構成としては、ウガンダ基礎知識を全部まとめてどこかに入れるとちょっとお勉強本っぽくなってしまうので、適度に分散させたい。だからといってどこに入れるのがいいかはこの時点ではわからない。そこで、このタイミングでは無理せず放置することにしました。

こういうときに重要なのは、完成度の高い並びをいきなり作ろうとしないことのような気がします。試行錯誤の余地を残しておく。それから、以下のほうが大事なのですが、自分に余計なプレッシャーをかけない。頭がちゃんと働かなくなるので。

できるだけ機械的に手を動かして、「うーん、こっちの出来事にこの話をくっつけたほうがうまくいくかな?」とか「いや、やっぱりこっちだな」とか、目で見ながら、全体を見渡しながら、順番を考えていきます。

時系列で並べ終えてみたら、机の長さはジャストフィットだった


そして、ひとまずこんなもんかな、と思ったら、その並びを記録します。

でも、これだけ長い机だと写真を撮るのも一苦労。何枚かにわけて撮ってもいいんだけど、もとのカードの文字を読むためには一枚一枚の写真を拡大しながら見なくてはいけなくて、ちょっと効率が悪い。頭が働くスピード、手が書くスピードを妨げてしまいます。

そこで、事前に用意してあった、貼ってはがせるインデックスシールを使います。

各カードには、内容を簡潔にまとめた見出しをつけてあります。その見出しを見れば、カードに何が書かれているかはたいてい思い出せます。たぶん。

その見出しシールを実際のカードの代わりとして、机に並べた状態をA3の紙の上に再現していくのです。

付箋のように貼ってはがせる粘着力のシールなので、いくらでも張り替えられます。見出しは家のプリンターで印刷してきました。色分けの意味はなくて、家にあったものを全部使っただけ。


カードの並びとまったく同じになるように、A3の白い紙に見出しを配置していく。


すべてのカードを紙の上に写し取り、もうこれで並びを崩しても大丈夫と気が抜けて、戦の跡のようになっているのが以下の場面。

よくがんばった、私。

カードをまとめて一つの山にします。書くときにもまた使うので。構成に組み込めなかったカードの見出しシールは、紙の末尾にまとめて別にしておきました。

見出しシールがうまく印刷できてなかったカードは付箋にその場で書いて構成紙に貼る。

これが虎の子の「本の設計図」。二つに折ってたたみ、大事に持って帰ります。次はいよいよ、これを見ながら原稿を書き始める工程です。

(【4】終わり)


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江口絵理
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