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#12 心のフタ ”Rainbow” by Kacey Musgraves

以前は移動中やウォーキング・ランニング中はPodcastを聴いていたけれど、最近はただ音楽を聴いています。

何か情報を取りに行く、キャッチアップすることから、ちょっとブレークを取る感覚かもしれません。本は読むけれど、ネットニュースやSNSはあまり見ないというのに近い感じ。

今は音楽を聴くにはSportify やAmazonミュージック、Youtubeミュージックなど、勝手に好きそうな音楽をピックして流してくれるサービスがいろいろあります。その中で、知らなかったアーティストだけど、とても惹かれる!なんて曲に出会うこともあり、突然感情が揺すぶられることもあるのです。

音楽・絵画・造形美
人工物も自然の創造物

アートと言われるもの、言われずともアートであるものは、身の回りに溢れていて、それを受け取るスペースがある時、もしくは余裕のない時でさえ、圧倒するエネルギーで押し入ってくることがあります。

その何が私を揺さぶるのかというと、その創り手の込めた想いに共鳴するとき(共感とは限りませんが)、または創られたものでない場合は、そこに自分の中のなにかが投影されて見えた時かもしれません。(とても抽象度が高く、まだうまく言語化できないけれど。。。)

そんな中、最近ヘビロテで聴く曲があります。

1.ケイシー・マスグレーブスの「Rainbow」 動画と歌詞

メロディラインがどこか懐かしく、歌声が伸びやかで包み込むような美しさがあるこちらの曲なのだけど、なぜか流れてくるたびに胸の奥をつかまれるような、切ない、やるせない気持ちが沸き起こってきて、たまらず涙が出てきます。それは涙が出てくるなんて、生易しいものではなく、歌詞のPouring rain(土砂降りの雨)のような、嗚咽つきの号泣なのです。

そこで歌詞が気になったので、こちらにコピーし、私の解釈での訳もつけてみました。

When it rain it pours but you didn't even notice
It ain't rainin' anymore, it's hard to breathe when all we know is
The struggle of staying above, the rising water line

土砂降りの雨が降っている
けれどあなたは気づきもしない
足元から上がってくる水
その上に顔を出そうと
もがくことしか知らないでいるとき
もう雨は降っていないのに
息をするのは難しい

Well the sky is finally open, the rain and wind stopped blowin'
But you're stuck out in the same old storm again
You hold tight to your umbrella, darlin' I'm just tryin' to tell ya
That there's always been a rainbow hangin' over your head

そう、ようやく空が開いて、雨も風も吹き荒れるのを止める
でもあなたは同じ古い嵐の中に、また囚われている
傘を強く握りしめている
ダーリン、私はただあなたに伝えようとしているの
虹はいつもあなたの上にかかっていたということを

If you could see what I see, you'd be blinded by the colours
Yellow, red and orange and green, and at least a million others
So tie up your bow, take off your coat and take a look around

いろんな色、黄色、赤、オレンジ、そしてグリーン
そして少なくとも何億もの他の色
そんな色たちに盲目にならずに、私が見ているものを
あなたも見ることが出来たとしたら
もう終わらせて、コートを脱いで、そして周りを見渡してみて

'Cause the sky is finally open, the rain and wind stopped blown'
But you're stuck out in the same old storm again
You hold tight to your umbrella, darlin' I'm just tryin' to tell ya
That there's always been a rainbow hangin' over your head

もうやっと空は晴れたのだから 雨も風も止んだのだから
それでもあなたは、また同じ古い嵐の中に囚われている
傘を強く握りしめている
ダーリン、あなたにただ伝えたいだけなの
虹はいつもあなたの頭の上にかかっていたということを

Oh tie up your bow, take off your coat and take a look around
Everything is alright now

もう終わらせて、コートを脱いで、周りを見渡してみて
全てももう大丈夫

'Cause the sky is finally open, the rain and wind stopped blowin'
But you're stuck out in the same old storm again
Let go of your umbrella, darlin' I'm just tryin' to tell ya
That there's always been a rainbow hangin' over your head
Yeah there's always been a rainbow hangin' over your head
It all be alright

もうやっと空は晴れたのだから 雨も風も止んだのだから
それでもあなたは、また同じ古い嵐の中に囚われている
握りしめた傘を手放して
あなたにただ伝えたいだけ

虹はいつもあなたの上にかかっているということを
そおう、いつもそこには虹があるということを
全てはもう大丈夫

※Tie up your bowというのは、直訳すると紐を結んでという意味ですが、「tie up in a bow」は完全に終わらせる、テイクケアするという意味もあるので、そちらの意をとりました。

2.歌に込められた想い

この曲はケイシーの祖母へ贈る歌として、おばあさまのお葬式でも歌われたそうですが、アルバム「Golden Hours」に収録した際に、この歌を重荷を背負う多くのひとたち、特にLGBTQコミュニティの人々に捧げるとのコメントを寄せています。(RainbowはLGBTQコミュニティのシンボル的なものでもあります)

自分の居場所がない、フィットする場所がないと感じている時

周りの声に自らの目や耳を塞がれてしまって、世界を色眼鏡でみてしまうとき、本当の自分の価値観を信じられない時

そんな時の応援歌、またはその寂しさや孤独感に寄り添う曲として歌われているんだなぁ。とインタビューを読んで感じました。

でも、そんなポジティブな歌ですが、きっとケイシー自身もそのフィットしない寂しさを感じたことがあるのかもしれない。土砂降りの雨にさえ気づかないような、そんなときがあったからこそ、その上には虹がある、虹はどんな時にもあるんだという事に気づいたんだろうな、と。

3.感情にフタをしない

物事にも、感情にもポジティブとネガティブがあります。
そのポジティブとネガティブは陰陽や昼と夜と同じく、どちらが良い悪いではなく、ただあるのであって、それに意味づけをしたり、好き嫌いをつけるのは私達自身。

好き嫌いはもちろんあっていいけれど、ネガティブが嫌だからと、見ないようにする、嫌な感情にフタをするのは、やはり不自然なことなのでしょう。

常にポジティブ、肯定的で、ハッピーで、プラス思考であるとしたら、その反対側を無視しているのかもしれません。逆にいつもネガティブ、否定的で、不幸だと感じていて、なんでもマイナスに考えてしまう時、反対側に気づいていないのかもしれません。

私はこのところ、精神的にも全くというほど揺らぎがなく、幸せだなぁ、楽しいなぁ、もう世界はいいこと尽くめ!みたいな感覚があって、それはそれでOKなんですが、もしかすると自分の中にふと沸き起こる嫌な気持ちや、悲しみに無意識にフタをしていたのかもしれない。とふと感じました。

だから、この曲を聴いた時に号泣したのかもしれないなと。

哀しんでいる自分、どうしようもない状況に「なんで?!」と思う自分、諦めもありつつ、諦めたくない自分がいる。

そんな自分が、気づいてよ!と突っついてきていたのかもしれない。

自分の中には嬉しくて幸せな自分もいるし、哀しくてたまらない自分もいる。

ご機嫌な自分もいるし、めちゃくちゃ腹を立てている自分もいる。

そんないろんな自分、自分の中のRAINBOWを感じてあげることが、今大事にしたいことなんだろうな・・・

11.07.2021



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