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【日本製】北沢書店/ブックハウスカフェ(東京・神保町)

御茶ノ水・神保町はいくつもの顔をもつ。大学、楽器、本、スポーツ、カレー。無数の店舗が軒を連ねる。こんな街は東京のどこを探してもここしかないようだ。だからわたしは神保町が今でも大好きだ。

明治大学生だったわたしは、駿河台から神保町にかけてが馴染みの行動範囲だった。でも、熱心に古書店めぐりをするタイプの学生ではなかった。大学の図書館に行けば、わたしの小さな興味関心はほとんど満たされたから。

今思えば相当もったいなかった。もっといろんな本屋さんを見て回ったらよかった。神保町の交差点手前までがわたしの行動エリアだった。時折、ボンディのカレーを食べたくなった時だけ交差点を渡る。北沢書店は、ボンディがある神田古書センタービルのとなりのブロックに、1902年からずっと存在し続けていたのだ。

昨年末にはじめてここへ足を踏み入れた。いま、わたしが定期的に顔を合わせる家族や会社以外の人とは同人誌『トルソー』に参加している仲間たちや立野先生だが、先生は若い頃から北沢書店に馴染んでいらっしゃる。なぜならここは、洋書を扱う専門店だからだ。

北沢書店は現在、ビルの1階部分を撤退して2階のみで洋書の古書事業を展開している。1階部分は2005年からの10年間、ブックハウス神保町といって児童書専門店が入居していた。ブックハウス神保町も撤退。その後に、北沢書店店主の妹である義子さんが「ブックハウスカフェ」を始めたのだそうだ。

わたしは、ブックハウスカフェで、先生から北沢書店の詳しい歴史を聞いた。北沢書店はご家族で経営されているので、必然的に家族の歴史を聞くことになる。その語りに耳を傾けていると、何だかジンっときてしまう。1902年からの120年近い歴史と、そこに詰まっている古書が持っているさらに長い歴史。しかも海外の叡智が詰まった洋古書というのがまたたまらない。北沢書店がこれからも長く続いて行けるように、わたしも足を運びたいし、若いお客さんも増えてほしい。

先日、わたしの好きなライターである橋本倫史さんの「WEB本の雑誌」連載で北沢書店が取り上げられていたので熟読した。橋本さんのていねいな筆致で読むことができて嬉しい。



今年の6月から、北沢書店2階のギャラリーにて立野先生の連続講演会を企画している。初回は、北沢書店の思い出と橘忠衛先生のお話をしていただく予定です。

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