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眠れない苦しみ

眠れない苦しみも書き残しておこうかと思い、眠れない夫のとなりのベッドを這い出てきた。
「お互いに気配を感じてしまって眠れないと思うから、下に行くね」

夫が眠れないのはめずらしいことではない。たびたび彼は睡眠導入剤に頼ることもある。
寝る前にお酒を飲んでいるとか、スマホやPCを操作しているとか、変な時間に何時間も昼寝をしているとか、そもそも昼まで寝ていて身体のリズムがおかしくなっているとか、素人目に見ても改善の余地があると思うので努力すればいいのにと思っても、呼びかけても、いっこうに変わらない。
他人を変えることはできない。だから勝手にしてくれればいいのはいいのだが、それでも口うるさいことを言いたくなるのはその様子を見ているわたしもストレスを受けているからなのだろうね。

そしてここ数週間の悩みは、夫の咳が治らないことだ。わたしはわたしで妊娠後期の不眠に悩まされているが、今月初旬に風邪を引いた。
夏のような日が続いた二日間くらいがあって、大型連休の浮かれた気分もあいまってTシャツ短パンで寝てしまい、喉の痛みからうっかり風邪に発展させてしまったのだ。
その風邪が夫に移り、彼のほうが重症化して連休明けというのに微熱を出して二日ほど会社を休ませてしまったりもした。(服薬をすすめてもなぜか風邪薬を飲まないという初期対応をしていたことは、まったく解せない。頭痛薬や睡眠導入剤などほかの薬はすぐ飲むくせに、風邪薬は効かないからと飲みたがらない)

そして微熱が下がっても、おさまらない咳が今日にいたるまで残っている。もう二週間は経つのでさすがにマシにはなっているけど、それでも残っている。
つい二、三日前までは咳き込んでえづくほどの激しいものだったので、その隣で寝るなんて至難の業。というわけで、わたしはリビング横の和室に布団を敷いて寝ることにした。マットレスがないので(いい加減買うつもり)肩や腰はバキバキになる、それでも同じ部屋にいてまったく寝つけないよりはずっといい。

今夜もわたしはこの小さな和室で寝ようと思っていた。明日から彼は会社に行かなくてはいけない。眠れなかったらかわいそうだ。なのに一緒の部屋で寝ようと言われた。案の定、寝られなかった。
わたしはいい感じに眠りかけていたけど、夫も寝られないのが隣にいてわかるので、気になって目が冴えてきてしまった。
いつもならわたしは先にベッドに入ってしまってサッサと寝てしまうから、夫が寝られようが寝られなかろうが知ったことではなかった。今は彼の咳と自分の不眠症状があるのでつらい夜が続いている。

先週、育休中の同僚の家に遊びに行ったら、妻さんは産後からずっとひとりで寝ていて、赤ちゃんの夜中のお世話は同僚が担当していると聞いた。
わたしたちもそれを参考にしようと提案してみる必要がありそうだ。二人して疲弊する未来は避けたほうがいい。そんなことを思う明け方のいま。

スマホを操作してしまったからきっとまたしばらくは寝られないだろう。有島武郎「或る女」の続きを読んで、眠気が来てくれるのを待とうかな。
朝は夫が降りてきたら嫌でも起こされるから、今夜も大して眠れない。昼寝すればいいと楽観的に捉えるしかない。

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エリンギ
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