あの人との出会い
私は日頃、Sだと言いうことを隠してはいなかった。
普通に好きになった人と付き合い、エッチをした。
その中で、相手を縛ったりアナルを触らせてもらったりと手探りでしかSMプレイらしきものしかできなかった。
20代前半に興奮しすぎて怒らせてしまったり、泣かせてしまったりしたことがあったから。
そして私の欲望を受け入れてくれる人なんて普通には出会えないんだと諦めていた。
そんな中、携帯ゲームにハマった。それがポケモンGOだ。
そのゲームはリアルな場所へ集まり、敵を知らない人と協力し倒すというもの。
その人は、数年前に生死を彷徨うほどの事故に遭っており身体を動かすこともままならなかった。
リハビリの為、ゲームをやっているとの事で
離婚を経験しており、子供もいるが会えないそう。
でも、とても明るく楽しく「大変なのに良い人だな」と思った。
後で聞くと、向こうは一目惚れだったそう。
全然気づかなかった。向こうは必死に隠していたのだと言った。
そうして、私たちはただの知り合いから友達になった。
みんなで遊びにも行った。ご飯を食べたり語り合ったり。
高校生から初老の方まで仲間だった。
きっかけは何気ない所からだった。
私のスニーカーの紐がほどけていた。私は小さい事は気にしないタイプで少しだらしない所もある。
「えりさん、靴の紐ほどけてますよ」
「うん、そうね」
そう言って気にしない素振りをしていると
「結びましょうか?」と言われた。
「うん、結んで」
と言うと、彼は私の前にひざまづき丁寧に結んでくれた。
そして幾度となくほどける靴紐。私が結ぶと縦結びになっていたりするのでその度に彼が結び直してくれるようになった。
そして、大勢の前で
「ほら、靴の紐結びなさい」と、ふざけてSの口調で言ってみた。
「よろこんで結ばせていただきます、えり様」
彼はそう言った。みんな「なにそれ、変態」だとか笑っていた。
「しっかり丁寧に結ぶのよ」
「かしこまりました」
そうやって、手探りのように相手を知っていった。
彼は大柄で太っていた。
私はその時、太った人がダメだったから彼の事を好きではなかった。
みんなで夜中ラーメン食べて、ポケモンのジムを目指し歩いていた時
向かい風が強く、着ている服が体にぴったりと押し付けられていた。
彼の乳首が浮いていたので、つい触ってしまった。
「あっ!」
彼がビクンッと反応した。
あ、乳首……感じるんだ……。と思った。
彼は日頃から人よりビックリするし、くすぐったがりだから
つい、ツンツンしたりしていじめてしまう。
太っているからおっぱいもあって、揉みたくなっている自分がいた。
彼は情緒不安定で、ひどく落ち込んだり、怒ったりする一面もあった。
ある雨の日
私は彼が心配だった。とある場所でいつもいる事を知っていた。
そこを通りかかると彼がいることがわかった。
私は傘をさし、そこに歩いていった。
突然現れた私に、めちゃくちゃビックリしている彼。
「何してるんですか?」と横に座る私。
暗くて雨の降る冷たい夜。
泣いていたような彼の顔。私になにかできないかと思った。
「もし、私がほっぺにチューしたら元気出ます?」
そう聞くと「そんなことできないくせに」と呟く彼。
私は立ち上がると、座っている彼の肩に手をつき
ほっぺにそっとキスをした。
女が大好きといつも言っている彼だから、私でも喜ぶかな?と思ってした事だった。
でも、私の唇が彼のほっぺに触れる瞬間
私の胸がキュンッとして、私は彼に心を奪われてしまった。(本当バカだった)
ビックリしている彼は機嫌を直した。
むしろ浮かれていた。
彼の気持ちなんてしらなかったから、なんでそんな浮かれているかも気づかなかった。
つづく