痩せたあの子に「うらやましい」なんて言わないで
体脂肪率が15%を切ると月経不順が始まり、10%を切ると確実に卵巣機能に異常をきたす。
20歳台の日本人女性の5人にひとりがBMI18以下のるい痩(痩せすぎ)。
日本の低体重児の出産件数は先進国とは思えないレベル。
日本のアパレルブランドは規格より小さいサイズの洋服をつくる傾向にあるため、それに合わせた体型になろうとダイエットが強迫観念的になっていく。
栄養士はこの現状をどうにかしないといかん!
朝起きて、テーブルにこれ見よがしに置かれていた日本栄養士会の会報を読んだらこんな感じの内容でした。意識高い系管理栄養士の母よ……。
去年の8月に仕事で鬱病になって、まともに食事を摂れない期間が何ヶ月かあったせいで体重が7kgくらい減り、今の私のスペックは身長156cm、体重43.0kg、BMI17.6、体脂肪率は14%となり、母親なりに心配して置いてくれたのでしょうけれど、栄養士会の会報、どこかイラッとするというか、分かってないなという感じがしてしまいました。
前の自分の体型(ほぼ適正体重)が嫌いだったかというとそういう訳ではなく、できればもう少し身体を絞れたら良いな、くらいに考えていた私ですが、痩せてからの周りの女性達の反応は、心配してくれながらも「うらやましい」「可愛くなった」「私も痩せたい」と、ポジティブなものが多くて。
元々周りに細い女性が多かったせいで極端に細い体型を見慣れていて、且つ女の世界でそれがステータスになることも知っている自分としては、正直どこか優越感を持つ部分があります。
摂食障害で、「このまま痩せると死ぬよ」と医者から言われている友達が「でも体重計に乗って増えてるとなんか罪悪感ある」と言っていた時、ああ、私も同じだと感じました。
医療知識を持った看護師で、適正体重の自分に大きな不満を抱えているわけではなかった私ですら、正直今は太るのが恐い。鬱病が回復傾向にある中でも、体重の変化がないことにどこか安心しています。
小柄な女性向けブランドであるミシェルマカロンのSサイズのワンピースがぴったりだったり、海外で服を買おうとしたらサイズがXXSだったりすると嬉しいし。
友達と温泉に行った時に、一緒にいるあの子よりも私の方が細くいたいし。
我ながら、くだらない欲望だと思います。
でも、いつ来るのか、そもそもいつか来るのか分からない妊娠・出産よりも「今」目の前でちやほやされたい。「可愛い」って、「うらやましい」って言われたい。
極端なダイエットに走る女性の中には、私のような気持ちを持っている人が少なくないのではないかと感じます。
私自身、痩せる前は細い女性に対して挨拶のように「うらやましい」「私も痩せたい」と言っていました。
でも、自分が極端に痩せた今は、挨拶のようになんて全然受け取れなくて、ずっと痩せていなくてはいけない気になってくるのです。「うらやましい」と言う方にとっては気軽な発言でも、言われた方にとっては将来すら考えられなくなるくらいの重みを持つのが、体型に関する言葉だと、ようやく実感しているのです。
元々太らない体質の人がいることは重々承知しています。それでもやはり痩せていることが素晴らしいとされる文化なんてなくなってしまえばいいと思います。少なくとも私は今後二度と、痩せすぎた女性を、挨拶代わりに褒めそやしたりなんてしない。