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ビジネス・ケーパビリティのスタンダード vs コンテキスト
エンタープライズ・アーキテクチャユニット内のビジネス・アーキテクチャチームに参加して2ヶ月が経ちました。最初は泥の中を必死にもがいていたのが、すこーし緩めの泥水になってきたかな、みたいな程度です。
この2ヶ月、組織全体のビジネス・アーキテクチャの一つのステップとして、ビジネス・ケーパビリティ・マップ(BC map)を作って、いや、作ろうとしています。Business Capabilityとは、その組織が何をするのか、できるかという、WHAT。HowやWhyではありません。
私が参加した時点では、BCマップづくりが始まって2ヶ月ほどで、まだあまりできていませんでした。当初は、なぜこれにそんなに時間がかかるのかわからなかったのですが、今ではわかります。終わる気がしない。
さて、私たちはTOGAFというエンタープライズアーキテクチャのフレームワークを使っていますが、ビジネス・アークテクチャの部分では、BIZBOK®というリファレンスモデルを使っています。BIZBOK®はスタンダードのBCモデルを作っていて、私たちの組織もそれに倣って作ろう、としています。
が、これが、難しい。
BIZBOK®スタンダードはすごくスタンダードなので、ある意味どの業界にも通用するのですが、逆にいうと、この組織とあの組織を差別化する要素、コンテキストが見えなくなります。
例えば、Asset ManagementというBCは以下のようになっています。
L1: Asset Management
L2: Asset Definition
L3: Asset Establishment, Asset Identification
L2: Asset Valuation
L2: Asset Validation
L2: Asset Authentication Management
L3: Asset Authentication Threshold, DeterminationAsset Authentication Level , DeterminationAsset Authentication
L2: Asset Authorization Management
L3: Asset Authorization CategorizationAsset, Authorization DeterminationAsset, Authorization Assignment
L2: Asset Configuration
L2: Asset Risk Management
L3: Asset Risk Level DeterminationAsset Risk, Threshold DeterminationAsset, Risk Aggregation… 続く
これはアセットマネジメントに関することですが、これはどの組織でもおそらく含まれるBCです。でもその組織によって扱うアセットは違いますよね、そのユニークな部分が見えない。Asset Type ManagementというBCが「いろんなタイプのアセットがありますよ、それをカテゴライズして管理しますよ」という部分をカバーしますが、ではそのアセットがなんであるのか、というのには触れないのです。
BCマップを作るためには、各部署のチーフレベルの人たちと何度も会って、あなたの部署ができる「WHAT」はなんですか、というのをヒアリングし、マップに落とし込んでいきます。
先のアセットの例で行くと、オフィスマネジメントサービス部署が扱うアセットは、例えば机や椅子です。ロジスティクスになると車両、船、航空機です。ビジネスにしてみると、うちは航空機扱ってるんだけど、このBCマップでは航空機のもってるって見えないよね、となります。
しかし、航空機、船、車両と全てをリストし始めると、あれ、ドローンが含まれてない、荷物を運ぶためのロバはアセットかな? などと全てをリストする手間と、そして何かがリストから抜け落ちるリスクが発生するので、やっぱりスタンダードモデルで、と戻ってくるのです。でもそうすうるとコンテキストが抜け落ちる。
また、BCマップは組織図ではない、という考えに基づいているので、部署ごとのBCマップを作って、ロジスティック部署とオフィスマネジメントサービスの両方の下に、アセットマネジメントを入れる、というわけにはいきません。
堂々巡りです。
正解がわかりません。
ユーザ中心主義上がりのデザイナーとしては、ユーザに優しいBCマップを作りたい。つまり、ビジネスがパッと見て、ああこれはうちの部署をちゃんと表しているな、わかりやすいな(頭の中で翻訳する必要がない)、何も抜け落ちてないな、と思われるBCマップを作りたいのです。
まだBAの世界に入ったばかりで匙加減が分からず、スタンダードなリファレンスモデルに頼りたい。少なくとも基礎固めができるまでは、まずは型の練習だと思うので、そうしたいのですが、そうするとビジネスは不満(私も不満)。
ビジネス・アーキテクチャを実践されている所先輩方の意見を伺いたいです。ChatGPTさんによると、これはよくあるチャレンジでスタンダードとコンテキストを塩梅よくアダプトすべし、とのこと。まさに職人技。そのコツが知りたい。
まだまだ道のりは長そうです。