erdrattomo救急医アットモ

関東在住、救命救急医、勤務医 約20年の臨床経験を活かして、主に初期臨床研修医の先生向けに、毎週発信していきます。

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最近の記事

熱中症 その2

またまた更新があいてしまいました。 熱中症についてです。 熱中症による事故は、場合によっては取り返しの付かない事態となってしまいます。そのため、救急外来に熱中症で来院された患者さんには、きちんと再発防止を伝える必要があります。 私の伝え方を記載します。 水分補給していれば熱中症ならない。というのは大きな間違いであることを強調します。 また、「休みながら・・・」と言っても、高温多湿の環境では休息にならないことを伝えます。 熱中症は高温多湿の環境でおきるため、冷やすこと

    • 熱中症 その1

      しばらく更新があいてしまいました。 そろそろ熱中症の季節になります。 救急外来にはたくさんの熱中症患者さんが来院されます。 熱中症に関して、医療者も誤解しているところもあります。 ERでのポイントや、さらにワンランク上の情報把握をお伝えします。 まず、前提として「熱中症=脱水」の病気ではない。 言い方を変えると、水分補給していれば熱中症ならない。というのは大きな間違いです。 しかし、救急外来に熱中症で来院された患者さんや保護者などから「しっかり水分補給はさせていたので

      • 「痛み止め」の説明

        救急外来では、アセトアミノフェンの注射薬やジクロフェナク坐剤など使用することがあります。 使用後に「痛み止めがあまり効いていない」と言われることがあります。実際は効いていることもあります。もちろん、効果がないから痛みが強いことがあります。 痛みの評価は主観的な要素が大きく、患者さんの痛み止めに対する期待値によっても変わります。 医療者は痛み止めは原因を解決するものではないので、あくまで対症療法であることを理解しています。 自分は痛み止めを使用する前に、「これから痛み止

        • 一緒に喜ぶ

          救急外来と通常の外来の大きな違いは、「程度の差こそあれ、何かしらの辛い症状がある」ことです。 本当に緊急性があるかどうかは別として、「いま診てほしい」 という理由があります。 そして「診てほしい」理由は、「症状の緩和」と「診断」となります。 ERで確定診断にたどり着いても、症状緩和を施さない場合は患者さんの満足度が下がる場合があります。 自分は積極的に症状緩和に努めます。 「いま◯◯の症状が辛いと思いますので、症状を和らげる点滴を行いながら、原因を調べるために◯◯と◯

          看護の日

          今日は看護の日ですね。 平成8年の皇后陛下(当時)のお言葉の一節がとても好きで、たまに読み返します。 看護師だけではなく、救急に携わる医師にも必要な感覚かと思っています。 時としては,医療がそのすべての効力を失った後も患者と共にあり,患者の生きる日々の体験を,意味あらしめる助けをする程の,重い使命を持つ仕事が看護職

          ER: 問診スキル 6

          ER: 問診スキル 6 no evidenceです。 嗜好品の問診です。 すべてのERの患者さんに聞く必要は ないかもしれませんが、必要があれば嗜好品の問診も必要となります。 タバコに関しては、だいぶ喫煙者が減りました。 現在も喫煙しているかどうかがはっきりするように、私は 喫煙歴:現在喫煙者(◯本/日 ◯歳から) 喫煙歴:過去の喫煙歴(◯本/日 ◯歳から◯歳) と記載しています。 飲酒に関しても、若い世代を中心に飲酒する方は減っています。 飲酒歴:機会飲酒 飲酒歴

          医局(診療科)勧誘の言葉

          GWですね。 今回もno evidenceです。 初期臨床研修2年目の先生方は、来年度の進路選択も視野にいれつつ研修されていると思います。 初めから確固たる進路が決まっている先生方のほうが少ないのではないでしょうか? 様々な診療科の先生方から、お誘いがあると思います。 色々な意見を参考にするのは大事ですが、かえって悩みが増えるといったことも。。。 参考にすべき意見かどうか、確実な見極め方法があります。それは、他医局(他診療科)の悪口を言って勧誘するのは聞き流せ。で

          医局(診療科)勧誘の言葉

          ER: 問診スキル 5

          既往歴の続きです。 no evidenceです。 ある一定の年齢の患者さんで、「これまで病気したことない」といった場合には注意が必要です。 病院を受診していない=健康とはならないからです。 企業などの健診や、行政の行っているがん検診や健康診査などがあります。 基本的にはある一定の年齢を超えれば、このようなサービスは無料で行えます。 「これまで病気したことない」といった場合や、現在かかりつけの医療機関がないような患者さんには、検診などを定期的に利用しているか確認をしま

          ER:問診スキル 4

          既往歴について no evidenceです。 救急外来に来院される患者さんの背景を素早く掴み取るためには既往歴は重要となります。 今回、この記事を投稿するにあたり言葉の定義を調べ直しましたが、私の調べられる限りでは、はっきりとしたものがありませんでした。 既往歴と一括りにしていますが、「3つ」にわけて記載します。 1.併存症:現在も抱えている問題  例えば、糖尿病や高血圧などの生活習慣病。悪性疾患で治療中など 2.既往歴:「治癒」しているが、現在の状態に影響を与え

          ER:問診スキル 4

          ER: 患者さんのご家族から学ぶ 2

          超高齢社会、多死社会と呼ばれる時代 自分が医師になった約20年前と比べて、加速する超高齢社会を実感します 救命救急センターに心肺停止状態で搬送される患者さんは、不慮の事故などで若い患者さんもいますが、ほとんどが80代・90代の患者さんです 当然、ご家族もそれ相応のお年となり、認知機能の低下している配偶者の方もいらっしゃいます 救命できないと判断した場合、もしくは心肺停止時DNARの方針が決まっている場合は、ご家族に立ち会って頂き死亡確認します 配偶者の方の認知症がかな

          ER: 患者さんのご家族から学ぶ 2

          ER: 問診スキル3

          忙しい救急外来でも、オープンクエスチョンは大事 no evidence です。 問診時にご家族も一緒に同席されることがあります。まず最初にオープンクエスチョンである程度自由に喋ってもらうようにしています。 私   「今日はどうされました」 患者さん「それがですね、昨日から・・・」 ご家族 「それがですね、先生。この人、昨日から熱が出て大変だったんです。それで肺炎になったら心配で連れてきたんです。◯◯◯~~~」 患者さん 「それでですね」 ご家族 「この人、あまりうまく伝

          ER: 患者さんのご家族から学ぶ 1

          個人情報保護のため一部内容を修正しています 足の痛みで救急受診。付き添いはお孫さん。 幸い大腿骨頸部骨折など明らかな骨傷はなく、ジクロフェナク坐剤でなんとか歩行可能に。 しかし、ご自宅は一階が店舗で、二階の玄関に行くには外階段を上がらないといけないとのこと。 こういった場合、患者さんやご家族から安静目的入院を求められることが多い。ただ、入院することによる廃用進行や認知機能の低下といったデメリットも多い。入院すれば大丈夫と考える患者さんやご家族も多いが、デメリットがあるのも

          ER: 患者さんのご家族から学ぶ 1

          ER: 問診スキル2

          ER問診スキル その2 No evidenceです。 妊娠の可能性について問診するときのフレーズ 学生の頃に「女性をみたら妊娠を思え」という格言がありました。20年以上前の話ですね。つまり、妊娠の可能性を除外せずに、慎重に被爆を伴う検査や薬剤を選択せよという意味です。 診察場所含めたプライバシーの配慮も大事です。 場合によっては自分は席を外し、女性スタッフに聞いてもらうようにしています。 「妊娠の可能性ないです」と言われ、それだけでCTなどの被爆を伴う検査を行ってよい

          ER: 問診スキル 1

          「ERでの問診スキル」 No evidenceです。 これまでの経験から培ったポイントを公開! 現病歴いつから問題があったのか?ではなく、 いつまで問題なかったのか? がポイント! 例) 患者さん「昨日から熱が出ていて、今日はご飯も食べられなくなって来ました。」 er dr「昨日から調子が悪いんですね。他に辛い症状はありますか?」 er dr「昨日から熱が出ていたんですね。体調に不安なく過ごせていたのはいつまで遡りますか?」 患者さん「先週金曜日までは問題ありませんで