持たない生き方
多くの物を必要以上に持ちすぎると、背負うものが多すぎて生き辛くなることがあります。
物理的な持ち物のほかには、経済や、人間関係、肩書や責任など、望んだもの以上を背負わなければならない場合も出てくるでしょう。
中には不要と思われるものを持ち過ぎていたり、誰かの分まで持ってあげている場合もあります。
一人に持てる量は限られていますし、背負ったものに押しつぶされる前に、今あるものを見直して、生きることが大切かもしれません。
インストラクターになってすぐの頃、レッスンの入れ替わりでよく話をしてくれる先生がおられました。
その方は、
『手に入れたいと思うものがあれば、今持っているものを手放さないといけないよ。両手を握っていたら、欲しいものがつかめないでしょう。』と教えてくれたことがあります。
私達はいつも、多くの物を持てると勘違いしています。
ですから、まだ持てるし、まだ掴めるとどこかで思っているのです。
ですが、本当はそうではなくて、成長に合わせて、自分の身体に合わなくなった洋服を手放すように、新しいものや環境に移行するときには、必要のなくなったものを掴み続けるのはもうやめる方がいいと思うのです。
古くなって使えないものを手放すということは、成長を認めるということに繋がります。
多くの物を持ちすぎている時に、私たちの感性や動きはとても鈍く、遅くなります。
中には、自らが創り出したルールで自分を縛り付け、その呪縛によって動くことが出来なくなっている人もいるかもしれません。
夢を叶えたり、欲しいものを手に入れる努力をするときに、人はフットワークが軽く、またスピードの速度も速くなります。
これは振動数の話にもつながるでしょう。
ご存知の方も多いと思いますが、すべての物質には固有の振動数があります。
重たい荷物を持ってれば、速く走れないように、余分な荷物を降ろして、心が軽やかな生き方が出来ればいいのではないでしょうか。
ここで言う、余分な荷物というのは、もちろん過去の経験や記憶、もう必要のないものから離れると同時に、他人の荷物まで持ちすぎないということもあります。
助けが必要な時に、互いに手を差し伸べ合って成長していくことはとても大切ですが、やりすぎると相手の成長の機会を奪ってしまうことになりかねないからです。
例えば、道に石が転がっていて、転ぶかもしれないと先に心配をして、石をすべて取り除いてあげると、なんだか親切で、役に立っているような気がします。
しかし、その人は、一度転んで、次は石に躓かないように気を付けたり、転んだ時に手をついて、次は大きな怪我にならないように、転ぶという経験が必要だったかもしれません。
時には、冷たく見えるかもしれませんが、心をぐっと抑えて、相手の成長を信じて見守ることも必要なのです。
それらをわかったうえで、可能性を信じて見守り、ただ、もしもの時にはいつでも助ける手を持っておくということが、本当の意味で持たない生き方かなと思っています。
また、多くの場合、それらを『所有したもの』と思い込んだ瞬間に、すべての均衡は崩れてしまうような気がします。
お金がたくさんあっても、それ自体は経済の循環によるもので、所有しているわけではありません。
どんな貴金属でも、肩書や地位、家族や友人、そして、この身さえも命が尽きた瞬間に持っていくことが出来ないのであれば、それは所有ではなく、すべては借り物であったり、一時的に今手元にあるだけの存在なのです。
ただ、ほとんどの人が、『自分の持ち物』と考えていますから、相手の自由を奪ったり、自分勝手な使い方をしたり、場合によっては壊してしまうようなこともあるでしょう。
『所有している』と考えるから、多くのことで感情が揺さぶられて、腹を立てたり、必要以上に期待してしまっている場合もあるでしょう。
『私の物なんだから、何をしても私の勝手でしょう。』
そう思えるものは、この世には何もないのです。
賃貸の物件に住居を構えていたり、レンタカーとか借り物があったとして、壊したら、返すときに修理費用を支払わないといけません。
人生もそれと同じだったらどうでしょう。
身体も含めて、すべてがそのような借りた物であれば、どんな風に扱うでしょうか。
壊さないように大切に使ったり、丁寧に生きるかもしれません。
持たない生き方というのは、何にも持たないのではなく、実は何にも持っていないということに気が付く生き方だと思います。
自分には何もない。
何も持っていないのだ。
そうとわかると、とても謙虚な気持ちになります。
何も持っていない私なのに、あなたを信頼して貸してあげると言ってもらえたら、そこには大きな感謝の気持ちが生まれます。
いつかすべてをお返しするときに、ボロボロで返すのか、それとも、
『貸してもらえたおかげで、成長に繋がり、とても良い人生が歩めました。』
と、感謝と共にきれいな状態で返せるのかは、その人次第だと思います。
ただ、私がもし貸す側の立場なら、大切にしてくれて、喜んでくれる人にどんどん貸してあげたいなと思うでしょうね。
いかがでしょうか。
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