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💧 持続可能な水資源管理と地域の強靭化



🌍 統合的水資源管理(IWRM)の導入と発展の経緯

経緯と背景

統合的水資源管理(IWRM)は、1972年に開催された「国連人間環境会議」でその原型が生まれ、1992年の「ダブリン原則」でより明確に体系化されました。この原則の下、「参加型アプローチによる水の開発と管理」が提唱されました。以降、IWRMは国際的に水資源の管理手法として広く受け入れられています。日本では2006年に「WASABI(Water and Sanitation Broad Partnership Initiative)」を策定し、IWRMの推進を掲げています。

現在の取り組みと最近の進展

最近の取り組みとして、IWRMは熊本水イニシアティブの一環としてさらに強化され、地域社会の持続可能な発展に貢献しています。2022年4月に熊本で開催された「アジア太平洋水サミット」では、日本の技術を活用した高品質なインフラの整備が進められることが発表され、5000億円規模の支援が具体化しました。このイニシアティブは、アジア太平洋地域だけでなく、国際的な水関連の課題解決に向けた重要な第一歩です。


💡 水道事業と下水道事業の評価と進化

水道事業の持続可能性と課題

料金設定と経営の安定化

  • 2000年代:水道料金は、給水原価を基に設計され、安定した財務基盤を維持するための基本とされてきました。この時期には、企業債の発行を通じて水道インフラの整備を進めることが重要視されていました。

  • 2010年代:企業債残高対収益比率の改善に注力。電気料金の高騰が一時的に影響したものの、令和5年度(2023年)には料金改定により回収率が向上し、収益構造が改善。

水道・工業用水道・下水道事業における経営要因分析
プラス要因
●料金収入増加:
 ○診療収入増加による病院事業料金収入増加。
 ○旅客数増加による交通事業料金収入増加。
●企業債償還:企業債着実な償還による企業債残高対給水収益比率低下。
●経営健全化: 累積欠損金を抱える団体における経営健全化の取組。
●純利益増加:純利益増加による流動資産増加と流動比率上昇。
●汚水処理人口普及率向上:町村部にて汚水処理人口普及率の大幅向上。
マイナス要因
●経費増加: 物価高騰による営業費用増加。
●累積欠損金増加:病院事業における純損失増加による累積欠損金増加。
●人口減少: 人口減少による有収水量と使用料収入減少予測。
●施設老朽化: 施設老朽化に伴う更新需要増大。
●職員減少:水道関係技術職員の減少。

官民連携(PPP/PFI)の導入

  • 2015年以降、水道・工業用水道、下水道においてPPP/PFIが進められ、効率的な運営が図られています。これにより、公的財源の限界を補完し、安定した水道サービスの提供が実現されています。

令和6年度 第3回水道分野における官民連携推進協議会(国交省・経産省)
概要: 2024年に国交省と経産省が主導したこの協議会では、PPP/PFIを用いた水道、工業用水道、下水道の官民連携推進が議題となりました。財政負担の軽減と効率的なインフラ運営が目的です。

下水道事業の広域化とその経緯

独立採算と広域化

  • 1980年代以降、下水道事業は独立採算の原則に基づき、効率的な資本投資が進められました。これに伴い、「雨水は公費負担、汚水は私費負担」という方針が適用されています。

  • 最近の進展:広域化・共同化がさらに推進されており、施設統合や維持管理の効率化が加速しています。これにより、人口減少が進む地域でも持続可能なインフラ運営が可能となっています。

第1回水道国際協力検討委員会(国交省)
概要: 国土交通省主導で2024年に開催されたこの委員会では、水道分野における国際協力の推進を目指しています。特に、途上国への技術支援や気候変動影響地域への支援が強調されています。


⚡ 地域再生とエネルギーの活用

下水汚泥の利活用と再生可能エネルギーの導入

資源循環の強化

  • 2010年代初頭、下水汚泥や食品残渣の利活用により、地域への電気と液肥供給がスタート。これにより、地域資源を最大限活用し、農林水産業の振興にも寄与してきました。

  • 最近の事例:熊本水イニシアティブでは、再生可能エネルギーとして小水力発電が導入され、地域の自給自足型エネルギー供給の一環として活用されています。

陸前高田市:脱炭素と資源循環で実現する農林水産業振興(環境省)
概要: 2024年において、環境省と陸前高田市が共同で推進するこの取り組みは、下水汚泥や食品残渣を活用して電気と液肥を地域へ供給することを目指しています。小水力発電を通じた再生可能エネルギーの導入も含まれ、農林水産業の振興と脱炭素社会の実現を目指します。


🚨 水害対策とインフラの強靭化

防災の取り組みと最近の技術的進展

デジタル技術による災害対応の進化

  • 2000年代初頭からデジタル化による罹災証明書の交付が進められ、迅速な対応が可能となりました。特に、水害の多発に対する被災者支援の効率化が重要な課題として対策されています。

洪水管理と早期予測システム

  • 全国統合の河川情報提供システム:2019年以降、河川水位や降雨情報のリアルタイム提供が開始され、洪水予測と対応の精度が向上しました。これにより、流域での被害軽減に貢献。

地方自治情報化推進フェア2024(J-LIS)
概要: J-LIS主催の「地方自治情報化推進フェア2024」では、デジタル技術を用いた水害対策の推進が議論されました。特に、罹災証明書交付の迅速化を目指したデジタル化の取り組みが注目されています。これにより、災害対応の効率性が向上し、被災者支援が迅速に行われることが期待されています。


🎓 教育と国際的リーダーシップの発揮

水循環教育の強化と国際協力

水循環に関する教育の普及

  • 教育と啓発活動の経緯:水の日(8月1日)を活用し、次世代に向けた教育活動が強化されています。これにより、地域社会における水の重要性への認識が深まり、持続可能な社会の基盤が形成されています。

国際的なリーダーシップ

  • 2022年熊本水イニシアティブ:日本はアジア太平洋地域での水関連の課題解決をリードする立場を強化。これにより、国際的な協力を通じたSDGs達成に向けた重要な役割を担っています。

📌 参考情報リスト

  1. 統合的水資源管理(IWRM)の国際的展開と歴史的背景

  2. 熊本水イニシアティブとアジア太平洋水サミット(2022年)

  3. 水循環基本計画と国際協力

  4. 洪水管理と早期予測システムの進展



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