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Amazon S3の整理(初心者)∔補足

1. Amazon S3の概要:詳細な探求

  • キーワード:

    • オブジェクトストレージ

    • クラウドストレージ

    • データ保存

    • AWS

    • スケーラビリティ


1.1 Amazon S3とは?

  • 説明: Amazon S3(Simple Storage Service)は、AWS(Amazon Web Services)の一部であり、スケーラブルなクラウドベースのオブジェクトストレージサービスです。

    • 主に「オブジェクト」としてデータを保存します。各オブジェクトには、データ本体、メタデータ、固有の識別子が含まれます。

    • オブジェクトは「バケット」と呼ばれるコンテナに格納されます。

    • データの量に制限がなく、世界中のデータセンターを利用して高可用性と耐久性を実現しています。

1.2 主な目的とメリット

  • 主な目的:

    • データの保存とバックアップ。

    • アプリケーションやサービスでのデータ利用。

    • 動画、画像、ドキュメントなどのファイル共有や配布。

  • メリット:

    • スケーラビリティ: 自動でストレージ容量を増減。

    • 高い耐久性: 99.999999999%(11 9s)の耐久性。

    • コスト効率: 使用量に応じた従量課金制。

    • グローバルなアクセス: 地理的に分散したデータセンターを活用。

1.3 データストレージの基本構造

  • バケット(Bucket):

    • データを格納する最上位のコンテナ。

    • 各バケットには一意の名前が必要。

  • オブジェクト(Object):

    • 実際に保存されるデータ。

    • オブジェクトキーを使用してバケット内で識別。

  • リージョン(Region):

    • バケットの物理的な配置を指定(例: 米国東部、アジア太平洋)。

1.4 他のAWSサービスとの連携

  • Amazon EC2:

    • コンピューティングリソースでのデータ処理。

  • Amazon RDS:

    • データベースのバックアップ保存。

  • AWS Lambda:

    • サーバーレスアーキテクチャにおけるトリガーイベントの実行。

1.5 実世界での利用シーン

  • :

    1. 映像ストリーミング企業での動画ファイルの保存と配信。

    2. 企業のバックアップおよび災害復旧のためのデータストレージ。

    3. 開発者が静的ウェブサイトをホスティングするためのプラットフォーム。


2. 主な機能と特徴:詳細な探求

  • キーワード:

    • データ耐久性

    • 可用性

    • セキュリティ

    • ストレージクラス

    • ライフサイクル管理


2.1 データ耐久性と可用性

  • データ耐久性:

    • Amazon S3は、99.999999999%(11 9s)のデータ耐久性を保証しています。

    • データは複数の施設にわたって自動的にレプリケーションされ、物理的な故障や災害から保護されます。

  • データ可用性:

    • 99.99%以上の可用性を提供。

    • データアクセスは非常に高速で、継続的な運用を支援。

2.2 セキュリティ機能

  • デフォルトで非公開:

    • バケットやオブジェクトは作成時点で非公開設定。

  • アクセス制御:

    • IAMポリシーバケットポリシーを使用して、アクセス権限を柔軟に設定可能。

  • 暗号化:

    • サーバー側暗号化(SSE):

      • S3管理キー(SSE-S3)

      • AWS KMS(SSE-KMS)

      • 顧客提供キー(SSE-C)

    • クライアント側暗号化:

      • アプリケーションがデータをアップロードする前に暗号化。

  • ログと監査:

    • AWS CloudTrailを使用してすべてのAPI呼び出しを記録。

2.3 ストレージクラスの柔軟性

  • Amazon S3は、様々なストレージクラスを提供し、コストとパフォーマンスのバランスを調整できます。

    • S3 Standard: 頻繁にアクセスされるデータ向け。

    • S3 Intelligent-Tiering: アクセスパターンに基づいて自動的に最適化。

    • S3 Glacier: 長期保存用で低コスト。

    • S3 One Zone-IA: 単一アベイラビリティゾーンでの低コストストレージ。

2.4 ライフサイクル管理

  • ライフサイクルポリシー:

    • オブジェクトの保存期間に応じた自動アクション。

    • 例: 古いデータを低コストのS3 Glacierに移行。

  • 削除ポリシー:

    • 不要になったデータを指定の期間後に削除する設定。

2.5 データ処理とトリガー

  • イベント通知:

    • バケットで発生したイベント(オブジェクトのアップロードや削除)をAmazon SNSやAWS Lambdaに通知。

  • AWS Lambda連携:

    • サーバーレスでデータ処理を自動化。

2.6 グローバル分散とリージョン選択

  • リージョン分散:

    • 世界中の複数のリージョンでデータを保存可能。

    • 地理的近さによる低遅延アクセスが可能。

  • クロスリージョンレプリケーション(CRR):

    • バケット間でデータを自動的に複製し、冗長性と可用性を向上。


3. ストレージクラスの種類:詳細な探求

  • キーワード:

    • S3 Standard

    • S3 Intelligent-Tiering

    • S3 Glacier

    • コスト最適化

    • アクセスパターン


3.1 S3 Standard

  • 概要:

    • 頻繁にアクセスされるデータ用に最適化されたストレージクラス。

    • 高い耐久性(11 9s)と可用性(99.99%以上)を保証。

  • 主な用途:

    • アクティブなデータ処理。

    • 動的なウェブサイトホスティング。

    • アプリケーションログ保存。

  • 特徴:

    • 低遅延かつ高スループット。

    • データサイズやアクセス回数に応じたコスト。

3.2 S3 Intelligent-Tiering

  • 概要:

    • アクセスパターンに基づいて、データを自動的に最適なストレージ層に移行するクラス。

    • 4つの層でデータを管理:

      • 頻繁アクセス層

      • 低頻度アクセス層

      • アーカイブ層

      • アーカイブディープ層

  • 主な用途:

    • アクセス頻度が予測しづらいデータ。

    • コスト効率を重視するシナリオ。

  • 特徴:

    • 自動でアクセス頻度を監視(30日間アイドルのデータを移動)。

    • ストレージ料金が従量制。

3.3 S3 Standard-IA(Infrequent Access)

  • 概要:

    • 低頻度でアクセスされるが、必要時には迅速なアクセスが求められるデータ用。

    • 高耐久性と同時にコスト削減を実現。

  • 主な用途:

    • バックアップと災害復旧。

    • 不定期に利用されるアーカイブデータ。

  • 特徴:

    • GBあたりの保存コストが低い。

    • アクセスリクエストには追加料金がかかる。

3.4 S3 GlacierとS3 Glacier Deep Archive

  • 概要:

    • 長期間保存用のアーカイブストレージクラス。

    • S3 Glacier:

      • 迅速な取り出し(数分~数時間)。

      • コスト効率に優れたアーカイブ。

    • S3 Glacier Deep Archive:

      • 最も低コストのストレージ。

      • 数時間かけてデータを取り出す。

  • 主な用途:

    • 法的要件に基づく長期保存。

    • 古いメディアファイルやログデータ。

  • 特徴:

    • データ取り出しにはスケジュールが必要。

    • 取り出しオプションによる柔軟性。

3.5 S3 One Zone-IA

  • 概要:

    • 単一アベイラビリティゾーンでデータを保存する低コストオプション。

    • 標準IAよりもさらに安価。

  • 主な用途:

    • 冗長性が不要な一時データ。

    • 再作成可能なバックアップ。

  • 特徴:

    • 災害時のデータ喪失リスクが高い。

    • ストレージコストの大幅削減。

3.6 コスト最適化のためのベストプラクティス

  • データライフサイクルポリシーの活用:

    • 頻繁アクセスから低頻度アクセス、アーカイブへの移行を自動化。

  • データ分類:

    • データのアクセス頻度を分析して適切なストレージクラスを選択。

  • アクセス頻度モニタリング:

    • Intelligent-Tieringを活用し、動的なデータ移行を実施。


4. データ管理とアクセス制御:詳細な探求

  • キーワード:

    • バケットポリシー

    • IAMポリシー

    • アクセスコントロールリスト(ACL)

    • オブジェクト所有権

    • セキュリティベストプラクティス


4.1 アクセス制御の基本

Amazon S3では、アクセス制御を通じてデータの保護と共有を管理します。主な手法は以下の通りです:

  • バケットポリシー:

    • JSON形式のポリシー文書で、バケットレベルのアクセスを管理。

    • 例: 特定のIPアドレスからのアクセス許可。

  • IAMポリシー:

    • AWS Identity and Access Management(IAM)ユーザー、グループ、ロールに割り当てるポリシー。

    • 他のAWSリソースとの連携で役立つ。

  • アクセスコントロールリスト(ACL):

    • オブジェクトレベルでの詳細なアクセス許可設定。


4.2 バケットポリシーとIAMポリシーの違い

特徴バケットポリシーIAMポリシー適用対象バケットとそのオブジェクトAWSリソースを利用するIAMエンティティスコープS3専用AWS全般アクセス制御の詳細度バケットとオブジェクトの両方に適用バケット単位の管理が中心


4.3 オブジェクト所有権とアクセス権限

  • オブジェクト所有権:

    • デフォルトでは、オブジェクトをアップロードしたアカウントがその所有者となります。

    • オプションとして、「バケット所有者強制」を有効化することで、バケット所有者がすべてのオブジェクトを管理。

  • アクセスの種類:

    • 公開アクセス(パブリックアクセス)を防ぐ設定が推奨。

    • 「ブロックパブリックアクセス」オプションを活用。


4.4 セキュリティベストプラクティス

  1. 最小権限の原則:

    • 必要な操作にだけアクセス権を付与。

    • IAMポリシーを使用して権限を細かく設定。

  2. 暗号化の活用:

    • サーバー側暗号化(SSE)を有効化して保存データを保護。

    • トランスポート層の暗号化(HTTPS)で通信を保護。

  3. 監査とログ管理:

    • AWS CloudTrailを利用してすべてのアクセスと操作を記録。

    • Amazon S3アクセスログでバケットアクティビティを確認。

  4. リージョン選択:

    • データが保存されるリージョンを適切に選択し、法的要件を遵守。


4.5 アクセス制御のユースケース

  1. 社内データ共有:

    • バケットポリシーで特定のAWSアカウントにアクセス権限を付与。

  2. 静的ウェブサイトホスティング:

    • 公開オブジェクトに限定的な読み取り権限を付与。

  3. APIバックエンド:

    • IAMロールを使用してAPIゲートウェイ経由でS3にアクセス。


5. ユースケースと活用事例:詳細な探求

  • キーワード:

    • データレイク

    • バックアップとリストア

    • アーカイブ

    • 静的ウェブサイトホスティング

    • ビッグデータ分析


5.1 データレイク

  • 概要:

    • Amazon S3は、大規模データセットを格納するための理想的な基盤です。データレイクとして使用され、多様な形式のデータを一元的に保存。

  • 特徴:

    • 無制限のストレージスケーラビリティ。

    • データ形式の制限なし(CSV、JSON、Parquet、Avroなど)。

  • 使用例:

    • データ収集: IoTデバイスやログファイルからデータを収集。

    • 分析基盤: Amazon AthenaやAWS Glueでデータ処理。


5.2 バックアップとリストア

  • 概要:

    • データのバックアップ先として利用されることが多く、迅速なリストアが可能。

  • 特徴:

    • 耐久性(11 9s)によりデータ消失リスクが最小化。

    • ライフサイクルルールを使ったコスト管理。

  • 使用例:

    • データベースのバックアップ(Amazon RDS)。

    • 企業ファイルの定期バックアップ。


5.3 アーカイブ

  • 概要:

    • S3 GlacierやS3 Glacier Deep Archiveを利用して、コスト効率の高い長期データ保存が可能。

  • 特徴:

    • 法的要件による長期間保存。

    • 取り出し時の柔軟性(標準、迅速、ディープアーカイブオプション)。

  • 使用例:

    • 金融記録や医療データの保存。

    • 昔のプロジェクトデータやメディアアセットの保存。


5.4 静的ウェブサイトホスティング

  • 概要:

    • Amazon S3を利用して静的ウェブサイト(HTML、CSS、JavaScriptファイルなど)をホスティング可能。

  • 特徴:

    • 高可用性でスケーラブルなホスティング。

    • 独自ドメインの設定が可能。

  • 使用例:

    • 小規模なビジネスサイト。

    • プロジェクトデモやポートフォリオサイト。


5.5 ビッグデータ分析

  • 概要:

    • S3に保存されたデータを用いて大規模データ分析を実施。

  • 特徴:

    • Amazon RedshiftやAmazon EMRとのシームレスな統合。

    • 大量のデータを低コストで保存しながら高速分析。

  • 使用例:

    • 顧客行動データの分析。

    • IoTデータのリアルタイム解析。


5.6 その他のユースケース

  1. データ共有と配布:

    • オープンデータセットのホスティング。

    • グローバルなデータ配信。

  2. アプリケーションストレージ:

    • モバイルアプリのデータ保存。

    • メディアストリーミングの基盤。

  3. 災害復旧(DR):

    • 他のリージョンにデータをレプリケートして、災害時の迅速な復旧を実現。


6. 料金体系とコスト管理:詳細な探求

  • キーワード:

    • 従量課金制

    • ストレージ使用量

    • データ転送

    • コスト最適化

    • 無料利用枠


6.1 Amazon S3の料金体系の基本

Amazon S3の料金は、利用したリソースに基づく従量課金制で構成されています。主な要素は以下の通りです:

  1. ストレージ使用量:

    • 保存されたデータの量に基づき課金されます。

    • ストレージクラスごとに料金が異なります(例: S3 StandardとS3 Glacierでは単価が異なる)。

  2. データリクエスト:

    • データへのアクセスや操作(PUT、GET、DELETEリクエスト)に応じて発生。

    • 頻繁なアクセスが必要な場合、リクエスト料金を考慮。

  3. データ転送:

    • データの転送(AWS外部へのアウトバウンド転送)に課金。

    • AWS内の他のサービス間のデータ転送は無料(特定条件下)。


6.2 ストレージクラスごとの料金差異

  • S3 Standard:

    • 高速アクセスに対応。

    • 他のクラスよりもやや高額。

  • S3 Intelligent-Tiering:

    • 自動で最適な料金階層に移行するが、モニタリングコストが発生。

  • S3 Glacier:

    • 低頻度アクセスに最適な低コストクラス。

    • 取り出し時に追加料金が必要。

  • S3 One Zone-IA:

    • 冗長性が低い分、最も低コスト。


6.3 コスト最適化のベストプラクティス

  1. ライフサイクルポリシーを活用:

    • 頻繁アクセスされるデータを、使用頻度が下がった際に低コストのストレージクラス(例: S3 Glacier)に自動移行。

  2. データアーカイブ:

    • 古いデータをS3 Glacier Deep Archiveに移行して長期保存。

  3. データ転送量の削減:

    • データ転送を最小化するため、アクセス頻度が高いデータを適切なリージョンに保存。

  4. アクセスログと分析:

    • Amazon S3のアクセスログを活用し、不要なアクセスリクエストを特定。


6.4 無料利用枠

  • AWSの無料利用枠:

    • 新規ユーザーには12か月間の無料利用枠が提供されます。

    • 月間5GBのS3 Standardストレージ、20,000 GETリクエスト、2,000 PUTリクエストが含まれます。

  • 制限:

    • 無料利用枠を超過した場合、従量課金制に移行。


6.5 料金の監視とコストアラート

  1. AWS Cost Explorer:

    • Amazon S3の利用状況と料金を可視化し、詳細な分析が可能。

  2. コストアラートの設定:

    • AWS Budgetsを使用して予算上限を設定し、アラートを受け取る。

  3. Amazon S3 Analytics:

    • ストレージクラスの移行や削減可能なコストの分析を提供。


6.6 シナリオ別の料金シミュレーション

  1. 静的ウェブサイトホスティング:

    • 毎月50GBのデータストレージと10,000リクエスト。

    • 約数ドルで運用可能。

  2. データバックアップ:

    • 1TBのデータをS3 Glacierに保存。

    • 月額数十ドル程度。

  3. グローバルデータ共有:

    • 複数リージョンへのデータレプリケーション。

    • 転送コストを加味した料金設定が必要。


7. 最新のアップデートと将来展望:詳細な探求

  • キーワード:

    • 新機能

    • サービス拡張

    • パフォーマンス向上

    • ユーザー事例

    • 業界動向


7.1 最近のアップデート

Amazon S3は頻繁に機能強化が行われており、最新の技術トレンドに対応しています。以下は主要なアップデートの例です:

  1. Amazon S3 Glacier Instant Retrievalの導入:

    • アーカイブストレージでありながら、即時データ取り出しが可能な新しいオプション。

    • 低コストと高速アクセスの両立を実現。

  2. アクセス分析の強化:

    • S3 Storage Lens:

      • バケット全体の使用状況やアクセスパターンを視覚的に分析可能。

    • データ最適化のための詳細なレポートを提供。

  3. 強化されたセキュリティオプション:

    • ブロックパブリックアクセスのデフォルト化:

      • 新しいバケットがデフォルトでパブリックアクセスを防止。

    • オブジェクト所有者強制(Bucket Owner Enforced):

      • バケット内のオブジェクト所有権を自動的にバケット所有者に委譲。

  4. Amazon S3 EventBridgeサポート:

    • S3イベントをAmazon EventBridgeに直接統合し、イベント駆動型アプリケーションの構築を容易に。


7.2 サービス拡張と新しいストレージクラス

  • マルチリージョンアクセスポイント:

    • 単一エンドポイントで複数リージョンのバケットにアクセス可能。

    • データの可用性とパフォーマンスを向上。

  • S3 Object Lambda:

    • オブジェクトをリクエスト時にカスタマイズ可能。

    • 例: 特定のフォーマットに変換して配信。


7.3 業界での活用事例

  1. エンタープライズデータ管理:

    • 製薬業界での研究データの保存とリアルタイム分析。

    • 例: 生体研究で生成される膨大なデータをS3に保存。

  2. メディアとエンターテインメント:

    • ストリーミングサービスが動画コンテンツをS3に保存して配信。

  3. スタートアップと小規模事業:

    • 静的ウェブサイトやアプリケーションバックエンドの簡易ホスティング。


7.4 将来展望

  1. より高度なAI/ML統合:

    • Amazon S3のデータを用いて、AWSのAI/MLサービス(例: Amazon SageMaker)を活用するケースが増加。

    • データ分析やモデルトレーニングが容易に。

  2. カーボンニュートラルとサステイナビリティの推進:

    • AWS全体で環境負荷を軽減する取り組みの一環として、エネルギー効率が改善される可能性。

  3. エッジコンピューティングとの連携:

    • IoTデバイスからのデータ収集とエッジ分析を促進する新機能の登場。

  4. 量子コンピューティング時代への対応:

    • 高度なデータ処理が可能な量子アプリケーション向けのストレージ機能の開発。


7.5 将来を見据えた活用ポイント

  • クラウドネイティブなアーキテクチャの推進:

    • サーバーレスやマイクロサービスに適応するデータ保存戦略を検討。

  • ユースケースに基づく柔軟なストレージ選択:

    • アクセス頻度と保存期間に応じた最適なクラスの活用。

  • グローバル化と多地域対応:

    • 多地域運用を前提にしたデータ設計の必要性が増加。



1. Amazon S3 Tablesの導入

Amazon S3 Tablesは、Apache Iceberg形式のテーブルデータに最適化された新しいストレージサービスです。これにより、Amazon AthenaやAmazon EMR、Apache Sparkなどのクエリエンジンからのクエリ性能が最大3倍向上し、トランザクション処理能力が最大10倍に増加します。さらに、テーブルのメンテナンス作業(圧縮、スナップショット管理、未参照ファイルの削除)も自動化され、運用効率が大幅に向上します。

2. S3 Metadataの新機能(プレビュー版)

新たに追加されたS3 Metadata機能により、S3に保存されたファイルのメタデータがほぼリアルタイムで自動更新されます。これにより、データのバージョン管理や履歴追跡が容易になり、AWS Glue Data Catalogとの連携を通じて、分析やビジネスの意思決定に迅速に活用できます。

3. 新しいオブジェクトのデフォルトデータ整合性保護

2024年12月1日より、Amazon S3は新規アップロードオブジェクトに対してデフォルトでデータ整合性保護を強化しました。これにより、データの耐久性と整合性がさらに向上し、アプリケーションからアップロードされたデータが自動的に検証されるようになりました。


Amazon S3の重要キーワードと実用解説

Amazon S3(Simple Storage Service)は、AWSが提供するスケーラブルなオブジェクトストレージで、高い耐久性(11 9s)と可用性(99.99%以上)を保証しています。以下に各キーワードを詳しく解説し、実用例とともに整理しました。



1. 暗号化オプション(SSE-S3, SSE-KMS, SSE-C)

1.1 SSE-S3(S3管理キー)概要:
S3が暗号化キーを生成・管理し、データの保存時に自動的に暗号化。
特長:
管理負担がゼロ。キー管理が不要。
標準機能で追加コストなし。
制約:
特定のコンプライアンス要件を満たせない可能性あり。
利用例:
大量のログやバックアップデータの保存。
必要な設定: aws s3 cp myfile.txt s3://mybucket --sse AES256


1.2 SSE-KMS(AWS KMSキー管理)概要:
AWS Key Management Service(KMS)を使用して、キー管理と暗号化を実施。
特長:
監査可能な操作ログ(CloudTrail対応)。
アクセス制御の細かい設定が可能。
制約:
KMS利用に追加コストが発生。
利用例:
高度なコンプライアンス対応が必要な機密データ。
必要な設定: aws s3 cp myfile.txt s3://mybucket --sse aws:kms --sse-kms-key-id <Key-ID>


1.3 SSE-C(顧客提供キー)概要:
ユーザーが独自に生成したキーでデータを暗号化。
特長:
完全なカスタム管理が可能。
外部のセキュリティ基準に合わせた運用が可能。
制約:
キー管理の負荷が高い。
利用例:
独自暗号化基準が求められる金融や医療分野。
必要な設定例: aws s3 cp myfile.txt s3://mybucket --sse-c --sse-c-key <Base64-Encoded-Key>




2. 耐久性・可用性とストレージクラスの選択

2.1 高い耐久性と可用性耐久性: 99.999999999%(11 9s)。データが失われる可能性は極めて低い。
可用性: 標準ストレージで99.99%。ただし低コストのOne Zone-IAでは可用性が低下。


2.2 ストレージクラスの選択標準(Standard): 高頻度アクセスデータ向け。
One Zone-IA: 冗長性不要の低頻度アクセスデータ向け。
設定例: aws s3api put-object --bucket mybucket --key mykey --storage-class STANDARD_IA --body myfile.txt




3. 監査・アクセス管理(CloudTrail, IAMロール)

3.1 AWS CloudTrail機能:
S3のAPIコールを記録。セキュリティ監査やトラブルシューティングで活用。
設定例: aws cloudtrail create-trail --name MyTrail --s3-bucket-name my-trail-bucket


3.2 APIバックエンドとIAMロール概要:
API Gateway経由でIAMロールを使用することで、認証と権限管理を強化。
利用例:
REST API経由での安全なデータ処理。
IAMポリシー設定例: { "Version": "2012-10-17", "Statement": [ { "Effect": "Allow", "Action": "s3:PutObject", "Resource": "arn:aws:s3:::mybucket/*" } ] }



4. データ形式と分析ツールを初学者向けに詳しく解説

4.1 データ形式(Parquet, Avro)

Amazon S3に保存されるデータは、多くの場合、大規模なデータセットです。このようなデータを効率的に処理・分析するには、適切なデータ形式が重要です。

Parquetとは?特徴:
列指向形式: データが「列」ごとに保存されます。
例: テーブル形式データ(名前、年齢、職業など)がある場合、Parquetでは「名前」「年齢」「職業」の各列が個別に保存される。
利点:
特定の列だけを利用するクエリ(例: 名前と職業だけを抽出)が非常に効率的。
データサイズが小さくなる(圧縮効率が良い)。
適用例:
ビッグデータ分析。
例: 大量のウェブトラフィックログやIoTセンサーデータを保存して分析する場合。
データ例(列指向保存):
元データ: 名前 年齢 職業 山田 30 エンジニア 佐藤 25 デザイナー
Parquetで保存: 名前列: [山田, 佐藤] 年齢列: [30, 25] 職業列: [エンジニア, デザイナー]


Avroとは?特徴:
スキーマ対応: データの「構造」をスキーマ(設計図)として保存。
スキーマには、フィールド名、型(例: 整数、文字列)、必須かどうかなどが記述される。
利点:
異なるシステム間でデータの共有が容易。
スキーマを参照してデータをチェックできる。
適用例:
データ統合やシステム間の通信。
例: ある会社が取引先とデータをやり取りする際、共通のフォーマットとして使用。


ParquetとAvroの違いまとめ:

特徴 Parquet Avro 保存形式 列指向 行指向 圧縮効率 高い 標準的 ユースケース データ分析(SQLクエリなど) データ交換やETL処理



4.2 分析ツールとの統合

Amazon S3のデータは、そのままでは計算処理や分析ができません。以下のツールを使用することで、S3に保存されたデータを有効活用できます。

Amazon Athena何をするツール?
SQL(データベース用の言語)を使って、S3上のデータを直接クエリ(検索や分析)できるサービス。
特徴:
データベースを作成せず、S3のデータをそのまま分析できる。
ParquetやAvroの形式を活かして高速に処理。
例:
Webログを保存している場合、Athenaで「昨日最もアクセスされたページは何か」をSQLで調べる。
クエリ例: SELECT page, COUNT(*) FROM web_logs WHERE date = '2025-01-01' GROUP BY page ORDER BY COUNT(*) DESC LIMIT 1;


AWS Glue何をするツール?
データのETL(Extract, Transform, Load:抽出、変換、保存)を自動化するサービス。
特徴:
データを抽出して必要な形に変換し、別の場所(RedshiftやS3など)に保存。
ParquetやAvroの形式をサポート。
例:
古いデータフォーマット(CSVやJSON)を、圧縮効率の高いParquet形式に変換。
ETLジョブ例:
Glueで設定したジョブが毎晩自動実行され、1日のデータを整理。


Amazon Redshift / EMRRedshift:
データウェアハウス。大量の構造化データを高速に分析するためのデータベース。
利用例: 売上データやユーザー行動分析。
Amazon EMR(Elastic MapReduce):
ビッグデータの分散処理に特化したサービス。
利用例: 機械学習や大規模データの集計。




初学者向けまとめデータ形式:
Parquetは「効率的に保存して分析」、Avroは「システム間でデータ共有」に適している。
分析ツール:
Athenaでデータをクエリ。
Glueでデータを整理・変換。
RedshiftやEMRでより大規模・高速な分析。

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