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建築と親しむ:ツマミ

今回は家具の扉や小さなドアなどに使うツマミ(取っ手)についてです。

名前の通り指でつまむくらいの小さなものですが、使いようによっては意外とコスパよく結構空間の印象を変える効果もあるので、あまり気にしていなかった方もちょっとツマミについて考えてみてはいかがでしょうか。

私達が家具などの設計をする際に扉をどのように開けるか考える際に選択肢として挙がるのは
・ツマミをつける
・扉自体に手掛加工
・プッシュオープンにする
の3つが一般的かと思います。

私自身も含め、いわゆる「設計者」というのは、どちらかというと余分なものを付けたがらない人が多いので手掛加工やプッシュオープンあたりを選ぶことが多いように思えます。

手掛加工の例としては

ライン状に隙間を開けるパターン
貫通孔を開けるパターン
建具を一部欠き取るパターン

などがあります。

一方、プッシュオープンの場合は下の写真のように、扉としての存在感を消すために採用することが多いですが、低い位置の場合には足で操作する想定で採用することもあります。

手掛加工やプッシュオープンは出っ張りがないため、狭い通路などでも引っかかることもないので、そういった目的で採用することもあります。

デメリットとしては、手掛の場合は低い場所だと少々力が入りにくいことがあったり、溝にホコリが溜まるなど、プッシュオープンはコストがかさんだり、どこを押して良いのかわかりにくかったり、同じところばかり押すと手垢で黒ずんだり、機構がうまく作動しないことがあるなどです。

少し主題のツマミから離れてしまいましたが、上記のような手法で設計した時になんとなく見た目のバランスが取れなかったり、どこを引っ張ればよいのか一目瞭然にしたいとき、もしくは副次的な役割を持たせたい時などにツマミを使います。

タオルを掛けることなどを想定したパターン
全体のリズム感を操作するために扉ごとにツマミをつける高さも変えているパターン

また、既製品の家具と造作家具を組み合わせる際に、既製品についているツマミが少々雰囲気が合わないときにツマミだけ交換するということもあります。

既製品のツマミだけ変えたパターン

このような既製品の一部を変えるというのは比較的よく使うのですが、キッチンなども引き手を変えるだけでぐっと雰囲気が良くなることがあるのでおすすめです。

次に、どのようなツマミを選べばよいのかという話ですが、基本的には好みで選んでいただいてよいのですが、例としてよく使うパターンをご紹介します。

タモの建具に真鍮の丸いツマミ
白い建具に白い陶器のツマミ
白い建具に真鍮のツマミ
グレーの建具にマットなシルバーのツマミ
白い建具にシルバーのツマミ

個人的にはこのあたりの使い方をすることが多いですが、いろいろな事例でつまみに着目してみると実に様々なパターンがあります。

こういった細かい点が好みに合うかどうかも設計者選びの一つのポイントになるかもしれません。

最後にツマミ本体のご紹介をしておきます。

まずは私が比較的よく使うものとしては以下のものがあります。

基本的にシンプルで小ぶりな形状で、光沢のないタイプが使いやすいです。

続いては少々変わり種のもので、何度か候補に考えましたが、ちょっとクセが強いこともありまだ使ったことのないものとして下記のようなものもあります。

最後に滅多に使うことはないと思いますが非常に高価な例として、アーティストの作品をベースにした

スワロフスキー・クリスタルが入った

ガウディのカサ・ミラからインスパイアされた

なんかもあります。

こういった高級なタイプは少し暗い空間で金物だけ鈍く光るような使い方をすると良さそうです。

上で紹介した物は世の中にあるツマミの1%にも満たないので、是非お好みのツマミを探してみてください。

・お知らせ
自宅の設計経緯をまとめた記事も書いてます。
いつか家を持とうと考えてる人、リフォームを考えている人に何かしらのヒントになるかと思います。

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