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テクノ新譜試聴メモ:2023-04
4月に観たテクノ関連のドキュメンタリー映像作品の話題から。
4月2日にYouTubeで全編無料公開されたageHaのドキュメンタリーがとても良かった。クラウドファンディングにより制作されたもので、なぜこんなに巨大なクラブが東京で20年間も続くことができたのか、その足跡を追いつつ特にクローズ前の最後の1か月間にフォーカスした内容。非日常の遊び場であったあの場所の裏側に、多くの人の仕事と人生があったのだなということが端的に伝わる作品でした。
こういうの、ややもすると単なる内輪受けの卒業記念思い出ムービーで終わりそうなものだけど、そういったものとは全然違いました。構成と演出が特に良く、ageHaが終わったあとのageHaをどうしていきたいかまでを盛り込んだ、未来を感じさせる終わりかたにこだわりを感じた。カルチャーは情熱を持った人たちが作って、繋いでいくんだな。わたしもたくさんいい思い出のある場所だったけど、一度でも遊びに行ったことのある人はぜひ観てみてほしいです。
一方、RAでは戦時下のウクライナにおいて、長年クラブカルチャーに携わってきた人々の「今」を追うショートドキュメンタリーが公開されていた。リアルタイムにこういう作品を制作できるResident Advisorに驚く。
戦争によってめちゃめちゃにされた彼らのかつての日常への思いを語るのを聞いていると、ほんとにただ音楽を聴いて踊ることが好きなだけのわれわれと同じなんだなと思う。エンディングで流れる"Rave On Putin's Grave"というトラックに力強さを感じる。
DJ Shufflemasterさんのすごい音源がBleepに。
26年前のDJ MIXをDATテープから発掘しました。
— DJ SHUFFLEMASTER (@djshufflemaster) April 20, 2023
ジェフ・ミルズと マニアックラブ でプレイした時のものです。骨董通りまで長蛇の列、店内は酸欠の為ライターに火がつかない。 https://t.co/OjoXsEQEWT
今のようにスマホがなかったこの時代のもので、音や映像として残っている記録は数少ない。
すでに5月も半ばですが、先月分の新曲チェックです。
◆
Raffaele Attanasio - Rough Surfaces pt.2 [Kazerne]
今年始動したばかりのMordのサブレーベルから。馴染みのないアーティストだけど、程よく歪んだ硬いキックと、アグレッシブな走ってるシーケンスが気持ちいい。中盤以降のキレのいいスタブも派手さ控えめでいい感じ。
Jonas Kopp - Helical Movement [Prophet]
イタリアのProhetレーベル。生々しい催眠系のEPのなかから、比較的ディープで抑制の効いたこの曲が良かった。波のように押し寄せるノイズやパッドが形作る横方向のどんよりした空気と、それとは対照的な超クリスピーなハイハットやクラップの縦のシャキシャキした刻みかたが気持ちいい。
Lewis Fautzi - Density [Soma]
最近のSomaは激しすぎて個人的な好みに合わないことも少なくないんだけど、Lewis FautziのEPは間違いない。腰に来る重いグルーヴと脳をかき乱すノイズの波。4曲とも全部いい。
Oxygeno - Obsession [Nachtstrom Schallplatten]
グニャグニャしたトランシーなシンセの分厚い音とシーケンスがもう好き。こんなループ一生聴けちゃうじゃん(個人の感想です)。
Procombo - Look Around [AnalyticTrail Black Series]
声ネタを組み込んだヒプノティックなシーケンスが気持ちいい。初めて知ったけどTronicやSuaraからもリリースのあるイスタンブールの新人アーティストのようです。
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Spotifyのプレイリストも更新しておきました。
「テクノ新譜試聴メモ」は、R-9が習慣的に行っている新譜チェックのなかから、気になったトラックについて個人的な覚え書きを残しておくものです。原則としてBeatport上で当月内にEPないしアルバムとして新規にリリースされたものが対象。ピックアップは楽曲単位、またはEPやアルバム単位でも紹介しています。