テクノ新譜試聴メモ:2021-10
10月の新譜チェックです。
Aicrag - Nucleus EP [Newrhythmic]
今月の収穫は、スペインのAicragを発見できたこと。このNewrhythmicからのソロEPは、新人にして既にばっちり世界観が仕上がっている捨て曲なしの7トラッカー。ぎっしり低音の詰まった"Turmoil"と"Cave"のピークタイムテクノ2曲が超かっこよく、有機的に変化するウワモノにも個性がある。Gowk Recordsというセルフレーベルもあるようで、そちらのリリースも良かった。SoundCloudアカウントでチェックできます。
VSK - Spectral Assignment [Metempsychosis]
UKのEnd Trainらが主宰するMetempsychosisレーベルからのコンピEPのなかで、VSKのトラックがひときわダークで良かった。モコモコと跳ねるようなキックの上、ヒプノティックなグニャグニャしたシンセが応答する。細かいひねりの効いたブレイクにも工夫が見られて楽しい。
同じEPではベルギーの6SISSの硬質なドラムンベースもかっこよく、例によってGrey Areaを介してクロスオーバーしているこの辺のジャンルの混沌を感じさせる。
Truncate - First Phase [Truncate]
Truncate 22番。これはめちゃくちゃジェフミルズっぽいね! ミニマルながらもツボを心得たクールな展開で、職人風の渋いスネアの挟みかたに痺れてしまう。本当に使いやすいツールトラックってこういう感じ。ゲストリミキサーにP.A.S.名義のルークスレーターとジェームスラスキンを迎えたEP。
Slam + Perc - Carbon Black [Soma]
完全にアーリー00sの文法で作っているバキバキのピークタイム・ハードテクノ。Slamによる"Louder Than Chaos"コラボプロジェクトの2作目で、このあともいろいろ控えているらしい。か~っこいい。
Gunjack - Kingdom of Lights [GUNJACK SERIES]
長らくチリのジュークシーンに貢献していたGunjackが、10年ぶりくらいの気合の入ったアルバムで4つ打ちテクノに帰ってきた。思えば今みたいにレイヴィーなテクノが流行る前から、シカゴハウスをバックグラウンドとしたジャッキンなテクノでオケヒをガンガン鳴らしていたGunjack先生なので、時代が追いついてきた感じもある。このタイトルトラックは、変則キックにウワモノと並行してコード展開するベースのアルペジオが気持ちいい。リミキサーにロバートアルマーニも。
Cari Lekebusch - Hangman [H-Productions]
珍しく140オーバーのアグレッシブな縦ノリのトラックで攻めてきたカリレケの新曲、かっこいい。粘りのある重いキックも、シャキシャキした裏打ちのハットもスペーシーなSEもカリレケ節なんだけど、この速さだとまた新鮮に聞こえるな。
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Spotifyプレイリストも更新しておきました。
興味のあるかたはプレイリストを追加してみてね。
「テクノ新譜試聴メモ」は、R-9が習慣的に行っている新譜チェックのなかから、気になったトラックについて個人的な覚え書きを残しておくものです。原則としてBeatport上で当月内にEPないしアルバムとして新規にリリースされたものが対象。通常は楽曲単位での紹介、まれにEPやアルバム単位で紹介することもあります。