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テクノ新譜試聴メモ:2021-11

11月は良作アルバムがいくつかありました。

David Löhlein - VIA TAYA [Snake Sounds]

2020年7月の当欄でもピックアップしたシュトゥットガルトのDavid Löhleinのファーストアルバムが自身のレーベルから。これは渋かっこいいよ。テクノでもありハウスでもある独特の粘りのあるローファイなグルーヴに、暗く控えめにクロスフェードするウワモノシンセやヴォーカル、ウェアハウス的なホール感のある音響のなかで淡々と明滅するサウンドの数々。Markus Suckutあたりの「深夜3時感」と似た美学を感じる。映画ポスターのようなジャケのアートワークもかっこいい。

Pfirter - Altered States [MindTrip]

90年代の熱いハードミニマルの血を受け継ぐPfirterのセカンドアルバムが最高だった。DJミックスではないものの、一枚のアルバムとしてビルドアップしていく構成になっているので、通して聴くのが気持ちいい。最初のピークになる”Yearn”は、ドライブ感のある縦ノリのグルーヴの上を不穏な下降音型FMベルサウンドが引っかき回すキラートラック。

他にも、単に普段のDJツールの寄せ集めではない、いろんなアイデアを詰め込んだ意欲作になっていて、暗く幻惑的なプールの下で蠢く原初のテクノのエナジーを感じた。アプリのSpotifyで再生すると、ずっと上のYouTubeと同じモノクロ曼荼羅のようなモーショングラフィックがアニメーションしていてとてもいい。

Michael Ferrell - Exile [Edit Select]

先日も取り上げたLakejがコンパイルした、Edit Selectの書き下ろしレーベルコンピ。まったく知らないMichael Ferrellというアーティストのトラックがかっこ良かった。モコモコした直線的でヒプノティックなループがじわじわ展開しながら、広がりのあるパッドが飛び交う。レーベルの持つひんやりと冷たい手触りの有機的な世界観に合っている。

SSTROM - Kiln [Voam]

SHXCXCHCXSHの片割れ、Hannes Stenströmのソロ作が久々に、しかもKarennのレーベルVoamから。今回も常識にとらわれないグルーヴが脳内をかき乱してくれる。何が飛んでくるか分からない、Subheadのレコードに針を落とすときのようなワクワクを感じる。アブストラクトなビートではあるんだけど、いつも重心が低くてフロアのほうを向いている感じが好き。4曲ともかっこいいし、普通にDJで使える。

Spotifyプレイリストも更新しておきました。
興味のあるかたはプレイリストを追加してみてね。

「テクノ新譜試聴メモ」は、R-9が習慣的に行っている新譜チェックのなかから、気になったトラックについて個人的な覚え書きを残しておくものです。原則としてBeatport上で当月内にEPないしアルバムとして新規にリリースされたものが対象。通常は楽曲単位での紹介、まれにEPやアルバム単位で紹介することもあります。

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