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なぜエプソンは「プライム市場」を選んだか?

「エプソンがいるから、東証プライム市場で投資したい」と思われる企業へ。
それがエプソンの目指すところだと考え、財務と非財務の両輪を意識し、資本市場との対話を続ける当社のIRチーム。その姿を社員に向けて発信した記事を、今回はnoteでご紹介します。

こちらは、社内報アワード2023 [Web/アプリ社内報部門 企画単体]でブロンズを受賞した社内報記事の転載です。
※記載内容は2023年3月公開時点のものです



2022年4月4日、東京証券取引所(東証)は、市場区分を再編成。
4市場(1部・2部・マザーズ・ジャスダック)から、プライム・スタンダード・グロースの3市場に移行。エプソンは、最も上場基準が厳しく、実質最上位となる「プライム市場」を選択しました。


2022年4月、東証は4市場から3市場に移行した。(2022年4月4日時点)


今回は、広報IR部で主に投資家とのコミュニケーション業務、すなわちIR(インベスター・リレーションズ)を担当するIRチームの皆さんに、エプソンはなぜプライム市場を選択したのか、そしてプライム市場においてエプソンが果たす役割とは何か、についてお話を伺いました。

インタビューに答えていただいたIRチームの皆さん
(写真左から)広報IR部 課長 三原侑さん、宇佐美恭子さん、坪田豊希さん


エプソンは、プライム市場を選択。


― まず、当社がプライム市場を選択した理由について、教えてください。 

三原さん:プライム市場のコンセプトは、以下の3点です。  

① 多くの機関投資家の対象になりうる規模の時価総額を持つ
② より高いガバナンス水準
③ 投資家との建設的な対話を通じて中長期的な企業価値の向上にコミットする

2021年3月に策定した長期ビジョンEpson 25 Renewed で当社が目指すところと、この3点が合致しているため、当社はプライム市場を選択したのです。

この3点を貫くキーワードは “グローバル” 。世界の投資家の皆さんから選ばれる企業向けの市場がプライム市場。世界でビジネスを展開し、世界のステークホルダーと共に、こころ豊かな社会の実現を目指すエプソンにとっては、プライム市場が最適な器である、と考えています。

新市場区分移行記念の盾

信用第一!上場は何のためか。


 ― 振り返れば、エプソンは2003年に東証1部へ上場しました。そもそもの狙いは何だったのでしょうか? 

坪田さん:一般的に、上場の主なメリットは以下のように説明されます。

①資金調達の多様化
銀行からお金を借りれば返済期限がありますが、企業が新規に株式を発行し調達したお金は、借り入れたお金と違い返済義務がありません。返済計画などにとらわれ過ぎず、本業である事業に注力しやすいのです。

②社会的信用の獲得
上場には、流通株式数や株主数、事業継続年数などで一定の基準をクリアしなくてはなりません。この基準をクリアしている上場企業は、世の中で信用されており、取引においても信頼を得やすいのです。倒産のリスクが低く安定しているというイメージや、「上場会社」というネームバリューが就活生や転職希望者にも魅力的に映り、人材獲得などでも有利な面があると言われています。 

エプソンは、2003年の上場時以降は新規株式発行による資金調達(増資※)を行っていません。いま現在においては、が社員の皆さんにとって実感しやすいメリットかもしれません。

※増資とは企業が資本金を増加させること。一般的には株式を新しく発行し、投資家から資金を集めることを指す。


株価って高いほうがいい?


 ― 上場していると、自社や他社の株価が気になります。株価は高ければ高いほどいいのでしょうか? 

宇佐美さん:単に株価が高いというのでは、投機的な取引となっていることも考えられます。目指すべきは企業の持つ価値が株価に正しく反映されている状態なのです。これまでの実績はもちろん、エプソンの経営理念やパーパス、それに基づく事業計画や成長可能性。これらが株価に反映されているのが理想的な状態です。
持続的な成長を目指して企業価値を高めた結果、株価が上がる。これにより、投資家は配当や売却益を得る。社員も持株会で資産の形成が見込めたり、ボーナスへの好影響が期待できたりと、投資家・社員ともにハッピーな状態になるのが理想です。


情報発信は誰のため?


 ― 企業価値が反映された株価を形成するためには、投資家とのコミュニケーションが必要ですね? 

坪田さん:そうですね。投資家に向け上場企業が財務など様々な情報を開示して対話していく活動がIRです。エプソンという企業が持つ価値や可能性を知ってもらい、適切な期待を投資家に持ってもらう。そのために必要な情報を提供しています。                                                 
IRでの情報発信においては、ROS(売上高利益率)やROE(株主資本利益率)といった、商品やサービスを売って得られる利益を示す財務情報に重きが置かれてきました。近年はこれに加えて、気候変動を見据えた環境問題への対応、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンへの積極的な取り組み、社会の持続的な成長への貢献といった非財務情報の重要性が増しています。非財務情報には、統合レポートサステナビリティレポートなどで開示される経営理念やコーポレートガバナンス、事業機会やリスクなども含まれます。私たちが何を大切にし、どんな社会を目指す企業なのかを知ってもらい、中長期的な視点で、持続可能な成長が望める会社であるかを判断してもらう。そのために財務情報と非財務情報が一体となった情報発信が求められているのです。



 ― では企業価値の向上につながる情報や取り組みを発信していれば大丈夫なのでしょうか? 

宇佐美さん:発信だけでなく対話が重要だと考えています。投資家の皆さんに情報を発信する。投資家の皆さんの反応を経営に伝え、企業価値をより高めるための活動を社内で展開する。展開した成果を株価に反映させるため、さらに情報を発信する。このサイクルを回すことにより、企業価値を高めていくのです。

 ― 企業価値をより高めるための継続的な活動が必要なのですね。

坪田さん:企業価値を上げるための活動は、経営理念やパーパスに基づく事業活動そのものです。Epson 25 Renewed の実現に向けて、エプソンという会社が生み出す価値を向上させる活動の主役は社員の皆さんなのです

プライム市場で、我々が目指したいこと。それは…


 ― パーパスのもと、Epson 25 Renewed が目指す「ありたい姿」の実現に向け、事業活動を展開するエプソンがプライム市場で目指すことは何でしょうか? 

三原さん:こんなに元気でユニークな、社会課題の解決のために頑張る企業が日本にあるんだよ!と世界の資本市場と対話し、企業価値の向上に貢献していきたい。そんな気持ちでIRチームは日々の業務に取り組んでいます。
日本企業のROEは9.7%と、22%の米国に比べ低い水準です。世界中の企業を投資対象とする投資家の厳しい評価に耐え、エプソンがいるからプライム市場で投資したい、と思われるような魅力のある会社になっていく、それが日経225(※)銘柄の一つである当社の目指すところだと考えています。
当社の企業価値は、事業を支え、会社の各機能を支える社員の皆さんの総力で成り立っており、IRはそれを基に対話をする窓口です。今後も社員の皆さんと一体になったIR活動を展開していきたいと思います。

※日経平均株価とも呼ばれる日本の株式市場の動きを示す代表的な指標。東証上場銘柄のうち、代表的な225社の株価から計算される。エプソンは2017年8月から225銘柄に採用されている。 

-今日はありがとうございました!



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