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アメリカの黒人問題と日本のガイジン問題(1/2)

アメリカのGeorge Floyd氏が警察官に殺害されたことに端を発する人種差別反対運動は、政治や制度の問題だけではない。一人一人が、肌の色や宗教・国籍・出身国が違っても心を通わせられる真の友人をどれだけ持っているかが問われている。日本に住んでいる日本人も含めてだ。地球上の人間皆が心の中を入れ替えなければ、根本的な解決にはならない。

日本のガイジン問題とは、我々日本人の心の中にある、普段気づかない差別意識のことだ。アメリカの黒人問題のように、大きな運動にならないから、根本的な議論が広く沸き起こらないが、問題の根の深さは同じだと思う。今回と次回と記事を二回にわけて、議論を巻き起こしていきたい。建設的なコメント大歓迎。

「ガイジン」は差別用語

「ガイジン」という言葉は、黒人を差別するニガーや、日本人を差別するジャップと同格の差別用語だ。言われた本人が嫌な思いをするから差別用語なのだ。

悪循環を断ち切る!

日本人の大部分は、肌の色や宗教・国籍・出身国が違う人と交わることがまずない。そういう人が近くにいる環境であっても、社会構造や大人の言動が彼らを分断してしまっている。

学校では、日本生まれ日本国籍の白人の子どもに、教師が「日本人みたいね」と褒める。それが差別であることに教師も気づかない。差別を差別と認識しないままに子どもたちは育つ。

大学の多くは外国人学生を留学生寮に入れることで、最初から日本人学生と区別している。外国人だからと特別扱いすることは、良心からであっても差別として受け取られることもあるし、日本人と分け隔てなく交流するのを、阻害はしても促進はしない。

国として外国人労働者を受け入れてはいるが、外国人向けアパートなどに住まわせ、地域に溶け込むことを阻んでいるところが多い。大手の不動産業者でも「外国人入居可の物件」と、あえて区分することが差別であることをわかっていない。彼らの子どもたちの学校では、言語教育のサポートがないから、いつまでもクラスに馴染めない。あきらめて帰国せざるを得ないケースが後をたたない。

これらが当たり前なのが日本という社会だ。だから無意識の差別意識はいつまでたっても消えない。下向きスパイラルの悪循環だ。この悪循環を断ち切るには、個人の心の変化、社会構造の改革、問題提起の三つが、上向きスパイラルを作らなければならない。

個人の心:肌の色や宗教・国籍・出身国が違う真の友人を持っている。こういう人がマジョリティーになる必要がある。
社会構造:肌の色や宗教・国籍・出身国が違っても、制度上意味のない区別をしない(住居など)。
問題提起:差別をしないだけでは十分では無い。無意識に差別してしまうことが問題なのだという問題提起を広く起こし、この認識を広める必要がある。アンチ人種差別者として声を上げるデモも大事だが、日本のガイジン問題には、このほうが意味があると思う。

まず、心の問題を掘り下げてみよう。どうやったら無意識の差別意識を乗り越えられるだろうか。

ガイジン差別の構造と心のトレーニング

「ガイジン」とは外国籍の人だけでない。日本国籍であっても容姿が典型的日本人とは明らかに異なる人や、海外育ちで日本語がネイティブでない日本人も差別の対象として含まれる。

日本は単一民族、単一言語の国だ。これは世界でも珍しい。ちょっと見た目が違ったり、日本語が外国なまりだったりすると、私たちは直感的に「日本人でない」と判断する。体の免疫系がウィルスや細菌に防御反応を示すように、心の中の防御反応として多くの日本人の直感となっている。これは育った環境に起因するから、修正するのは簡単ではない。まずは自分の心の中に潜む無意識の差別意識を自己認識することだ。

そして心の防御反応で反射的な言動にならないよう一呼吸おき、相手の立場に立って発言するのは、教養の問題だ。意識していれば、自分で制御できるもの。これを繰り返しトレーニングできるのが望ましい。差別対象になりがちな人がいる学校のクラスや職場、地域は、日本人にとっての格好のトレーニングの場でもあるのだ。特に学校での環境は大切だ。

こういう場所の数は少なくても、そこにいる人たちが認識をあらため、心のトレーニングができ、それが広がっていくことが望ましい。この問題を積極的に広め、議論する人が増えてくることが第一歩であろう。それが社会構造の変革を迫るパワーとなる。

実を言うと、私もアメリカへ最初にわたった年、黒人が怖いという先入観を持っていた。テキサスの田舎から週末時々ヒューストンまで出かけた時、ハンバーガー屋さんでは落ち着かなかったのを思い出す。今から振り返ればバカみたいだが、心の自動的な反応だったのだ。それも時間が経つと気にしなくなった。今は、ありとあらゆる国籍・人種・宗教の友達がいる。

最後に次のビデオを紹介しておく。白人系日本人が差別の中で育った経験談だ。

今回は長いので、二回に分ける。次回は、教育現場での問題点、社会構造の問題点と、ケース・スタディーをいくつか取り上げる予定だ。

つづきはこちら

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