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冬の名残を味わう、りんごとドライフルーツの温活デザート

料理家、谷尻直子さんのコラム&レシピ #011

谷尻直子 Tanijiri Naoko
東京都渋谷区で予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰。ファッションのスタイリストを経て、料理家に転身。「現代版のおふくろ料理」をコンセプトに、ベジタリアンだった経験や、8人家族のなかで育った経験を生かし、お酒に合いつつもカラダが重くならないコース料理を提案している。


皆様こんにちは!

HITOTEMA主宰の谷尻直子と、マクロビオティックインストラクター/インナービューティーアドバイザーの顔を持つHITOTEMA奥山千晶です。

「寒いですね~」が合言葉だった冬の日々が過ぎゆき、最近では「今日は暖かいですね」と言い合える日も増えてきましたね。お店には春の食材であるそら豆やうるい、たらの芽やこごみなどが並び始めました。

春の訪れに喜びを感じる一方で、冬しか出会えない食材を食べ納めなきゃ!と過ぎ去ろうとしている季節を惜しむ時期でもあります。

奥山千晶:マクロビオティックインストラクター/インナービューティーアドバイザー


まだ寒い2月、りんごの旬が終盤です! ドライフルーツとりんごでビューティデザートレシピ


そこで本日は、2月~3月まで美味しいりんごを使用したデザートをお届けしたいと思います。お店に並ぶたくさんの種類のりんご、これらは今だけのチャンスで、季節がすぎるとここまで多種はお目にかかれません。

りんごを使ったデザートと言えば、ジャムやアップルパイ、カラメル煮や焼きりんごなど、普通はお砂糖を合わせていくことが多いですが、せっかく旬の甘いりんごを使うのですから、お砂糖を使用しないレシピを今回はご紹介します。

甘みをサポートする為に、こちらも冬に召し上がっていただきたい食材を使いますよ。簡単すぎるのに比較的凝った味に感じるレシピです。

砂糖無しというのは、言わなければわからないほどで、オフラインのエポティブサロンでご召し上がって頂きましたところ、「ノンシュガーとは思えない!」「充分に甘い!」と驚いて下さいました。

さて、それではレシピです。


りんごのノンシュガードライフルーツ煮


【材料:4~8人分】

・りんご 1個(このレシピでおよそ2個程度煮ることができます。)
・水 100cc+ワイン100cc(またはワインのみで200cc)
・生の生姜を洗って皮のままスライス15gまたはドライジンジャー 7g
・シナモンスティック 1/2本 
・ドライフルーツ 合計160g
(ドライフルーツ例)
 - ドライクランベリー 60g
 - ドライプルーン 40g
 - ドライいちじく 70g
 - ドライなつめ 3粒

※ドライフルーツはオイルコーティングがないものが望ましいですが、もしもオイルコーティングされているものを使う場合は、一度熱湯で湯通しして使いましょう。

【道具の準備】

・包丁とまな板
・お鍋(直径18㎝程度おすすめ)
・おろし金(お好みで)
・落としぶたのためのオーブン用シート

【作り方】

  1. りんごは1/2カット、なつめは1/2カット、いちじくが丸ごとのものの場合には1/4カットする。

  2. 生姜とシナモンをお茶パックに入れ、ワインと水、ドライフルーツと共に鍋に入れる。お茶パックに入れたスパイスはワインに浸っているように入れるとより香りが移りやすいです。最後に皮側を下にしてリンゴを並べ、落とし蓋をし、更に鍋の蓋を少しずらしてかけ、弱火で20分煮る。

  3. 時間が経ったら竹串でりんごを刺してみて、すっと通るくらい柔らかさであればお茶パックに入れたスパイスとりんごを取り出す。鍋に残ったドライフルーツとワインを更に煮てとろっとするまで煮詰める。

  4. ハーフカットのりんごをお好みで1/3に切って皿に盛りつける。残っている1/2本のシナモンスティックを、チーズグラインダーやおろし金で削って皿にふりかける。(おろし金がない場合はシナモンパウダーをふっても)

〈コツとポイント〉

  • 温かいままでも、冷やしてもどちらも美味しいデザートです。

  • 鍋の口径やコンロの火加減で、蒸発度合いが異なります。煮ている時に途中で水分の量を確認し、少なくなっている場合は適宜お水を足しましょう。

  • 煮詰めたドライフルーツはリンゴに添えて一緒に召し上がっても良いですし、別で、マスカルポーネチーズやヨーグルトにかけて楽しんでも美味しいです。

  • お酒を嗜む方は、白カビチーズに乗せておつまみとしてもオススメです。

  • ワインがない場合には、ダージリンやアッサムなど、いわゆる普通の紅茶で作っても美味しいので、ぜひぜひトライしてみてください。

別で、マスカルポーネチーズやヨーグルトにかけて楽しんでも美味しい

その時期の旬のものをいただくことで得られるメリットとして、ますはシンプルに美味しさ!今回のように素材の味を引き立てる調理で魅力を最大限に発揮してくれます。

もう一つのメリットは、体の内側も喜ぶ側面もあります。マクロビオティックには「身土不二」という言葉があります。自分が今暮らしている土地と自分の体は一体であって切っても切れない関係性であるという意味の言葉ですが、食の観点から、土地と自分自身は一体なので、その時期にその土地で育つ旬のものいただくことによって体が今欲している栄養を得ることができると解釈することもできます。

りんごや柑橘以外に、お店に行けばマンゴーやラズベリーなどの果物も販売していますが、可能な範囲で日本の旬を献立に取り入れて、体に取り入れることをお勧めします。

秋から冬にかけて旬を迎えるりんごは、体を冷やしにくい特徴があります。果物はその多くが体を冷やすものが多い中でりんごは寒い季節に食べるのにぴったりの果物と言えますね。また加熱することでさらに体を温める効果が増すと同時に、消化しやすくなるため気温が下がることで動きが鈍くなりがちな私達の腸への負担も少なくなります。

さらに冬は水分摂取量や活動量が低下しがちなので便秘に悩む方が多いですが、りんごにはペクチンという水溶性食物繊維は便秘解消に効果があります。食物繊維は過熱することで柔らかくなるので、煮りんごは冬の不調改善にぴったりのデザートと言えそうです。

栄養素の面ではペクチンの他、摂り過ぎた塩分を体外に出してくれるのを助け、むくみの解消に役立つカリウム、緑茶や赤ワインにも劣らない高い抗酸化作用を持つリンゴポリフェノールなど、「1日1個のりんごは医者を遠ざける」という昔のことわざがありますが、これはあながち間違いではなさそうです。

実際にマクロビオティックで不調を治す定番のレシピのひとつにもりんごを使った「りんご葛湯」があります。風邪の治りかけや、腸の調子が悪く食欲がない時に、りんごのすりおろしと水に葛でとろみをつけていただくものです。葛もりんごもマクロビオティックでは中庸=真ん中に位置しており、体を冷やしすぎたり、熱を発散しすぎたりせず、バランスが取れていて体に負担をかけずに吸収できる食材です。私がマクロビオティックを学び始めの頃、先生からなかなか眠れない夜におすすめだよと教えていただいたのがこのリンゴ葛湯でした。体の不調だけでなく、心の不安定なバランスを優しく丸く真ん中に戻してくれる私のお守りレシピでもあります。

今回のレシピで砂糖の代わりとしてリンゴと共に使ったドライフルーツ。果物は体を冷やしやすいと前述しましたが調理の方法によってはその特性が変わるとマクロビオティックでは言われております。乾燥させることで水分が抜け、体を温める特性が強くなります。冬に果物が食べたくなったらドライフルーツを食べましょう。それぞれの果物がもつ栄養素を少量で摂取できるのも嬉しいポイントです。ただしジューシーさにはかけてしまうので今回のようにワインで煮るなどしてジャムのようにして楽しむのが良いですね。

また甘いものを食べたくなる時の代替としてもドライフルーツは最適です。ついついほしくなる濃厚なチョコレートやアイスクリームは体を冷やしてしまうので、干し柿やレーズンなど干すことで甘味も旨みもぎゅっと濃縮したドライフルーツを代わりに食べるのはどうでしょうか。わたしは甘い物の代わりにドライデーツにクルミを挟んで食べることが多いです。手軽でおすすめですよ。

今回ご紹介したレシピのように工程は簡単でもその季節の私達の体に寄り添ったレシピを1つ覚えておくととても心強いですよね。季節ごとに私達が感じる不調の種類は変わってきますが、それに対して何かを我慢して苦しい解決策ではなく、食べて元気になるポジティブなセルフケアを実践してみませんか。きっともやもやが晴れるはずです。

それでは…‼︎
また次回、エポティブサロンでお目にかかりましょう!


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