Fleabag/フリーバッグ(2017)大当たりドラマ引き当てたよ!!
今回は久しぶりにドラマのご紹介。
歳をとるごとに複雑になっていく孤独や性欲との向き合い方、家族との関係といった現代人の抱える葛藤を、一人のアラサー女性の生き方を通して痛烈に描いたAmazonオリジナルドラマだ。ゴールデングローブ賞を始め多くの賞に輝いている。物語は2シーズン(全12話)ですでに完結している。
主人公の生き方にはまさに共感の嵐。大当たりドラマ引き当てました。性的な話題は多いけど露出はないのでそこまで過激ではない。もっと早く出会いたかったー。1話30分なので寝る前に観やすいのもポイント。noteの更新が滞っていたのはこれのせいでもある。
〈あらすじ〉
〈感想〉
※以下ネタバレを含みます※
※視聴予定の方は流し読み程度にしてください※
主人公はロンドンに生きる33歳の未婚女性。作中で本名は明かされず、フリーバッグ(のみだらけ、汚らしいという意味)として話が進む。ややセックス依存症気味な彼女は、男性から身体を求められることで孤独を埋め日々をやり過ごしている。
作中でフリーバッグがカメラ目線になり、心の声を視聴者に語りかけるモノローグ的な演出が特徴的。周囲の人には聞こえていないという設定だから、2人だけの秘密を共有しているような気分になる。
徐々に明らかになる彼女の家族関係や自殺した親友との関係は生々しくて露骨だ。とっても個性的で不器用な周囲の人々も含め、体当たりで生きる彼女らの姿には背伸びせずに観られる不思議な安心感がある。
すぐに男性と体の関係を持ってしまうフリーバッグだが、一人一人に少しずつ恋もしていて、でも本格的に好きになるのは怖い気持ちもある。遊びだと思っているであろう相手から軽いノリでフラれたり、元カレがいつの間にか結婚していれば、一見受け流しているようでちゃんと傷ついているのである。
大人になるともう誰かを好きになるとか怖いよねー。この歳でフラれたら目も当てられないもんねー。分かりみがすぎるぜ。
姉クレアとの関係もすごく素敵で、会えば小言や喧嘩ばかりだけど、内心誰よりも相手のことを心配している姉妹の姿が微笑ましい。夫との関係に悩む姉を助けようと、自分が身代わりになって傷つくような選択ばかりするフリーバッグ。お荷物だった妹に背中を押され、クレアは自分で自分の人生を切り開いていく。
シーズン2の終盤、フリーバッグは神父に恋をしてしまう。神に忠誠を誓った神父との恋愛はもちろん許されない。思い悩んだ彼女は教会に行き、まさにその神父の前で泣きながら懺悔する。ストレートでありながら奥深いセリフに私は思わず圧倒された。
"毎朝着る服を教えてほしい
何を食べればいいか
何を好み、何を憎んで怒るのか
どのバンドを聴いてチケットを買うのか
どのジョークなら言える?
何を信じれば?
誰に投票し
誰を愛し
それをどう伝えるのか
誰か教えてほしい
過ちばかりの私はどう生きればいい?
私が何をしても世界に影響はないけど
それでも怖くて仕方ないの"
当たり前だけど人生は自分で決めることばかり。自分の人生だから仕方ない。でもその選択の一つ一つに自信が持てなかったら?もしまた失敗だったら?そんな恐怖で心が埋め尽くされる感覚がすごく共感できた。
神父はフリーバッグに愛していると伝えるが、最終的には神に仕えることを選択する。何ともほろ苦いラスト。でも人から愛された経験は大きな糧になるはず。最後に振り返って手を振るフリーバッグを、もうカメラが追うことはない。彼女はロンドンの街へと消えていく。明日からの人生を生きるために。
たくさん傷つきながらも必死に人生を泳ぎ切ろうとする大人に刺さる、スパイスの効いたヒューマンドラマ。Amazonプライムビデオで見放題なのでぜひご覧くださいね。他の方の感想が知りたいです^ ^
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。