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Pearl パール(2022) Be our guest!
前回記事にしたXエックスの続編。ミア・ゴスは主演のほか制作総指揮と脚本にも名を連ねる(制作総指揮って何?)Xでマキシーンたちを襲ってきたサイコお婆ちゃんパールの若かりし頃を描いた作品だ。7月からアマプラで見放題となったため早速鑑賞した。
3作目のマキシーンもミア・ゴス主演。なんか時系列が余計にややこしくなるというか、同じ顔だと「これはパール、これはマキシーン」とこっちが区別しながら観なきゃいけないので違う女優さんでやって欲しかったなぁなんて元も子もないことを言ってみたりして。
前作のレビューはこちら↓サムネはマキシーン。
〈あらすじ〉
スクリーンの中で歌い踊る華やかなスターに憧れるパールは、厳格な母親と病気の父親と人里離れた農場で暮らしている。若くして結婚した夫は戦争へ出征中で、父親の世話と家畜たちの餌やりの毎日に鬱屈とした気持ちを抱えていた。ある日、父親の薬を買いにでかけた町で、母親に内緒で映画を見たパールは、ますます外の世界へのあこがれを強めていく。そして、母親から「お前は一生農場から出られない」といさめられたことをきっかけに、抑圧されてきた狂気が暴発する。
<感想>
※ネタバレを含みます※
オープニングからレトロな雰囲気の作り方が私にはドストライク。なんせ物語の舞台は1918年なので古き良きの感じが完璧で、こんな始まり方をする映画が面白くない訳がないと思わせる。劇中でかかる不気味なBGMもオーケストラが演奏するクラシックのように重厚で、イメージとしてはJAWSみたいな感じだろうか。開始早々パールが家畜小屋で使っている三又の鍬(くわ)や湖にいるワニなどなど、Xエックスを観た人なら必ず覚えているであろうシーンが立て続けに描かれる。
パールは厳格な母親のもと、会話や体を動かすことができない父親の介護をしながら暮らしている。最初こそ都会に憧れる田舎の娘って感じで描かれているのだが、ガチョウを鍬でブッ刺して嬉々としてワニにあげるあたり、もはや普通の感性ではなさそうだ。母親が「あなたはいつか必ず誰かを傷つける」的なセリフを言うのだが、これは娘の猟奇的で凶暴な一面を見抜いていたということなのか。もう少しママの内面を深く掘り下げて欲しかったと思う。
カカシと擬似セックスをするシーンや映像技師の男性と浮気するシーンは、パールの抑圧された性欲が溢れ出しているようで良かった。カカシは流石にちょっと戸惑ったし、誰かと一緒じゃなくて良かったと心底思ったけど。
パールはとにかく衝動的に人を殺めてしまう。そこに計画性はなく自分の心が強く揺さぶられると咄嗟に暴行、殺害してしまう。相手との会話の中で「あ、やばい。今確実に地雷踏んだわ」みたいなのが分かるので観ていて楽しい。途中、義理の妹との会話でパールの長い長い独白シーンがあるのだが、その内容も途中までは理解できる。でも後半はだんだんと支離滅裂になっていき、家を出た義妹を斧を持って追っかけてくるところは恐怖しかない。
ラストのとち狂った食事シーンは個人的には100点満点。両親の死体と一緒にウジが湧いた豚がメインディッシュのテーブルを囲む。バイオ7のあたおか家族を彷彿とさせる光景だ。そこにちょうど遠征から帰還した夫ハワードが鉢合わせて愕然とする。久しぶりに会った夫を泣き笑いしながら出迎えるパールのアップでエンドロール。
え、このハワードってXエックスでも出てきた偏屈なお爺ちゃんだよね?この状況からパールとあの歳まで寄り添ったの!?キャパどうなってるん!?
ストーリー展開ににあまり意外性がないのと、だいぶ狂ってはいるがたまーに共感できなくもないパールの心情を描くシーンが予想以上に多かったので、前作Xエックスよりは人を選ばない作品に仕上がっていると思う。エロも控えめにされているし。パールが抱く「ダンスで映画に出たい」という思いは本物だろうし、オーディションに受かりたかったのも本心だろう。でも「自分は特別なスターである」という突飛な思い込みと、邪魔をする人間は容赦無く消すという部分に反社会的な猟奇性が潜んでいる。
ただし、ここで私が一生言い続けるであろうエスター理論が発動するのだが、前日譚だというのなら、どうしてこんなに凶暴になってしまったのかを描いてほしいんですよ。繰り返しになりますがね。冒頭からもう狂っているではないか。何か大きな挫折や喪失体験があって自暴自棄になったのかなと思いきやそうでもない。田舎暮らしで鬱屈としていたものはあっただろうけど。先天的な性格??エスターもパールもそういう星のもとに生まれてきたとして納得するしかなさそうだ。
エスターへの愛が爆発している記事はこちら↓
同じこと言うてますぅ。
アマプラ会員なら見放題なのでぜひ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。