「ITIL® 4」「SIAM™」の体系的な知識は、実際のコンサルティングでどう活用されるのか？
「ITSMコンサルタント鈴木寿夫の6つのルール 後編」でも触れた通り、DIG2ネクスト代表の鈴木寿夫が行うコンサルティングに決まったカタチはありません。
※ITSM…ITサービスマネジメント
なぜなら、企業ごとに直面している課題や状況はすべて異なり、決まったやり方では対応できないからです。
だからこそ、支援のプランは案件ごとに一からつくっていきます。そのベースには「ITIL® 4」や「SIAM™」などで体系化されたナレッジが用いられます。
特に「ITIL® 4」の「4つの側面」は、よく利用するフレームワークの1つです。
「4つの側面」の利用は必須？
「4つの側面」は「ITIL® 4」を構成する主要書籍の1つの「ファンデーション」で紹介され、詳細は「CDS」で応用されている考え方です。
具体的には「組織と人材」「情報と技術」「パートナーとサプライヤー」「プロセスとバリューストリーム」という、ITSMを適切に実施するために重要な4つの領域を指しています。
なお、「4つの側面」の説明は以下の記事でも詳しく紹介しているので、ぜひご参照ください。
効果的かつ効率的にサービス価値を創造するためには「4つの側面」を考慮することが欠かせません。それゆえにITSMを最適化するためには、まず「4つの側面」に着目して、どのような課題があるのかを網羅的に見ていくことが必要になるわけです。
「4つの側面」から課題を捉えることは、鈴木曰く「ITSMの最適化を行う上で大前提となります」。言い換えれば「4つの側面」を考慮して、網羅的に取り組みを進めなければ、思ったような成果につながりにくいのです。
日本企業の弱点を補う「ガバナンス」フレームワーク
ガバナンスの成熟度を測る「COBIT」も、ITSMの最適化支援においてはよく活用するものの一つ。
ITSMにおけるガバナンスとは、IT資源を効率的に活用するために求められる意思決定の仕組み、つまりサービスマネジメントを組織横断的に展開する上で不可欠となるセキュリティガバナンス、データガバナンス、アーキテクチャガバナンス、ポートフォリオなどを指します。そして「COBIT」は、米国ISACA(Information Systems Audit and Control Association:情報システムコントロール協会)によって、まとめられたITガバナンスフレームワークです。なお、「COBIT」におけるガバナンスの考え方は「ITIL® 4」でも取り入れられています。
「ITSMを適切に運営するためのガバナンスが利いた組織とは『評価（Evaluate）』『方向付け（Direct）』『モニタ（Monitor）』（EDM）のプロセスを回す仕組みがしっかりと構築できている組織のことを指します。マネジメントの上位レイヤーにガバナンスが位置するので、ITSMを最適化する際にはまずガバナンスを強化しなければなりません。日本ではしかし、このガバナンスの領域に課題がある企業が多い。そのため、必然的にガバナンスのフレームワークを多用することになります」（鈴木）
もちろん、実際のコンサルティング活動では「4つの側面」と「ガバナンス」以外にも様々なロジックを組み合わせて、最適な支援方法を提案していきます。
そして組み合わせるロジックは「ITIL® 4」だけ、「SIAM™」だけ、「COBIT」だけというように、1つの知識体系の中にあるものだけを用いればよい、というものではありません。
コンサルタントとしての鈴木の強みの1つに、「ITIL® 4」はもちろん、ITSMに関連する多様なフレームワークのいずれについても、なぜそれらが重要なのか、実践するときに気をつけるべき点はどこかと言うような本質的なところまで理解していることが挙げられます。
なぜなら、各フレームワークの間には、相互補完する内容があるのはもちろん、相反する内容もあるから。それぞれの本質を理解していなければ、各フレームワークのエッセンスを適切に組み合わせることは不可能なのです。
「ITサービスマネジメントの仕組みを構築するためには、とても幅広くそして深い知識と経験が必要なので、自分たちだけで安易に構築出来ると考えないで、とにかく私たちに相談して欲しい。日本においてITSMのコンサルティングができると言われている会社でも、コンサルタントの力量が著しく低い会社も存在するため、コンサルタントの選定は幅広い知識と経験などの力量を重視することが重要です」（鈴木）
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