見出し画像

中学受験の算数はやっぱりすごい。

突然ですが、arctan(1/2) + arctan(1/3)の値、求められますか?

ある高校生からこの値をどう求めていいか分からない、と質問を受けました。
みなさんはこれお分かりになりますか?
調べてみるとarctanはtan(タンジェント)の逆関数と説明されています。
逆関数は高校数学の数学Ⅲで出てくる単元です。
ただし、日本ではarctanという関数は高校生でも学習しません。

arctan(1/2)とはtanθ=1/2を満たす角度θを求めることです。
ちなみに電卓を用いて計算すると
arctan(1/2)=26.5650511711…度
arctan(1/3)=18.4349488229…度
よってarctan(1/2) + arctan(1/3)=45度となります。

電卓を使えばすぐに45度だと分かりますが、実はこの問題、電卓を使えない問題なんです。
日本の高校生が知っているtanの値は0度、30度、45度、60度、これを拡張して120度、135度、150度、180度くらいです。
ましてtanの値が1/2、1/3になる角度なんて知らないはず。
では、どのように解くのでしょうか。

この問題、次のような図で考えることができます。
(図を挿入)
方眼に2つの並んだ正方形でできた長方形の対角線を2辺とする直角二等辺三角形を描きます。
そうすると斜辺は3つの正方形でできた長方形の対角線となります。
上側の青色の直角三角形で考えるとtanα=1/2、
下側の赤色の直角三角形で考えるとtanβ=1/3です。
したがって、arctan(1/2) + arctan(1/3)=α+β=45度となります。

難しいですよね。
実はこれ、ある中学校の入試問題で形を変えて出題されていました。
もちろんarctanなんて難しい関数は出てきてませんが・・・。
なので難しい関数の知識がなくても解ける問題なんです、と言われても思いつきますか?
本当に中学入試の問題には、いろいろな問題が出題されているんですね。

では、arctan2 + arctan3の値はどうなるでしょうか?
同じように図を書いて考えてみてください。
答えは135度です。