読解力の差は意外に大きい。
今回は、読解力の差は意外に大きいというお話です。
ただ、小学生、中学生の間はその差になかなか気が付きません。
でも、高校生になり大学受験を目指すときには、読解力の歴然とした差が顕在化します。
難関校を目指せば目指すほどその差ははっきりと残酷なまでに現れます。
ただ、そのころには読解力を短時間で向上させるような対策は難しいです。
だとしたら、小学生、中学生の間に読解力の底上げをしておく必要があります。
ふだん理系の科目を教えている私(T)も、そんなに友達との読解力の差があるとは気が付いていませんでした。
中3のあるテストまでは・・・。
いい歳になってしまった私でも、中3のそのテストのことは鮮烈に覚えています。
私の通っていた都内の中高一貫校では年に数回実力テストがありました。
そのテストはカリキュラムに関係なく先生の好みで出題してよい、ということになっていました。
各教科の先生が思い思いの問題を出題する中で、そのときの国語の実力テストは、ある大学の入試問題でした。
中3にですよ・・・。
私は30点くらいしか取れませんでした。
漢字の読みすら全然分かりませんでしたし、文章の意味も全く分からなかったと記憶しています。
ちなみに、そのときはじめて「殺戮(さくりく)」という言葉と読み方を知りました。
私は30点くらいでしたが「きっとみんなそのくらいの点数なんだろう」と思っていたところ、80点台の友達が何人かいて驚きました。
自分が全然分からない文章をちゃんと理解している友達が何人もいるなんて・・・。
それが、中3のふだんの学習では分からない読解力の差を見せつけられた瞬間でした。
そのことを今でもずっと覚えています。
その友達は、どうしてそんな読解力をつけることができたのでしょうか?
彼らは実に多くの本を読んでいました。
いつも数冊持ち歩いていて同時並行で読んでいたようです。
読解力の差はまずは「読書量の差」なんだ、と思い「以前よりは」本を読むようになりました。
でも、私の読書量は決して多くなかったようです。
高校生になって現代文のテストで自信を持って答えられなくなりました。
「私は読解力がないなあ」と思うようになりました。
そして、大学受験を目指して国語(現代文)対策として通信講座を受けましたが、いつも返ってくる添削結果は真っ赤でした。
高校生になってから慌てても遅い、と実感したのです。
今、振り返ってみなさんにお伝えしたいこと。
それは「圧倒的な読解力をつけたい」と思ったら、いわゆる「本の虫」になることです。
少々本を読むくらいだったら、圧倒的な読解力はつけられません。
中学生くらいだったら何とか乗り切れるかもしれません。
何度も繰り返しますが、高校生の国語、特に現代文で読解力は大きな差となって露呈します。
そのときに慌てて対処するにしてもテクニックでカバーできる範囲には限界があります。
そもそも速く正確に読む力が必要なのですから・・・。
でも、どうしたらよいでしょうか?
できるだけ多くの本を読んで欲しいのですが、できれば少し背伸びさせて欲しいのです。
具体的には、大人が読むような新書などから選んだらどうでしょうか?
ちなみに、私の中3のときの国語で80点以上とっていた同級生のお父さんは、偶然にも国語の先生で、家には天井まで届くような本棚に本がびっしりと並んでいたそうです。
でも、本を与えて「読みなさい」だけでは当然お子さんは読みません。
お子さんの読解力を高めるためには、お父さま、お母さまにも本を読んでいる姿を見せてあげてほしいのです。
そして、まずお父さま、お母さまが本を読んで「ちょっと難しいけれど読ませたい」という本が見つかったら、「ちょっと難しいけれど読んでみたら」とお子さんにやんわりと勧めてみてください。
そして、お子さんが読み終わった頃合いで「どうだった?」と聞いてみましょう。
きっと意外な発想や思考が垣間見られて、お子さんの成長を感じられるでしょう。
話は長くなりました。
私がお勧めしたい本は畑村洋太郎氏の「失敗学」に関する本です。
「失敗から学ぶ」ことが趣旨の「失敗学」ですが、学習面に活かせる話もいくつかあり、大いに参考になります。
人間は感情で生きる動物。
「型通りの説法やマネジメントでは通用しない」という話が各著書に共通して書かれています。
特にお勧めしたいのは「図解 失敗学」。
ちょっと古い本ですが、手に入りますかね?