【有馬記念×有力馬解説】
今年もいよいよラストの週となりました。1年は早いものです。
今週末は年末の大一番、有馬記念ということで出走馬解説と題しまして上位人気8頭の解説をしてみました。
本来は「有馬記念 全頭診断」とかっこいいネーミングにしたかったのですが、大学院が忙しくて全頭まで手が回りませんでした(笑)
有馬記念と言えば、普段競馬をやらない人も馬券を買ったりと1年で一番盛り上がるレースです!
そこで有馬記念をより盛り上げるべく、競馬ファンはもちろん普段競馬をやらない人にもどんな馬が出るのか知って欲しいと思い、この記事を書いてみました!
自分なりに有力馬の特徴について解説してみたので、少しでもご覧いただければ幸いです。。。
クロノジェネシス(想定1番人気)
4歳牝馬
父バゴ
母クロノロジスト
通算成績 12戦6勝、2着2回、3着3回
これまで12戦して3着以内11回と常に堅実な走りをしている。また3歳の春から30kg以上馬体を増やし4歳秋でピークを迎えている雰囲気がある。
この馬のベスト条件は
①休み明け、②タフな馬場・展開、③小回りコース
である。
まず①だが、これまで2カ月以上の間隔が空いたレース(5-0-1-0)⇔2カ月以内(1-2-2-1)と休み明けでこそ結果を残している。近年のノーザンファームにありがちな”フレッシュな状態”でこそパフォーマンスを上げる典型的な馬。
また半妹ノームコアもレース間隔の空いた時に強く、ローテ別でみると
中6週以内(1-0-2-2)⇔中7週以上(6-1-2-3)
となっている。
今回の有馬記念は、前走の天皇賞秋から約2カ月なのでロ-テーション的には問題ない。この馬のベストの走りが期待できる状態にありそうだ。
次に②だが、父バゴはこれまでJRA重賞を10勝しているが、そのうち5勝は道悪のときの勝利で、欧州血統らしくタフな馬場でこそ真価を発揮する種牡馬である。
クロノジェネシス自身も例外ではなく、重賞4勝のうち3勝(秋華賞:稍重、京都記念:重、宝塚記念:稍重)をタフな馬場で挙げている。
そのため前走の天皇賞秋(東京の軽い馬場)⇒有馬記念(冬の中山のタフな馬場)のコース替わりは大きなプラスだろう。また今年の中山開催は例年より時計がかかっているので、この馬にとってはさらなる追い風になりそうだ。
最後に③だが、これまで勝利したG1は秋華賞、宝塚記念といずれも小回りコース。とくにこの2レースはいずれも抜群の手応えで4角を回ってきていて、コーナーでの加速に優れていることを示している。中山コースは初コースとなるが、直線310mと短く、2500mで1週半するコース設計は、この馬向きだろう。
有馬記念の適性はメンバー中1番ありそうだが、正直1番人気ではあまり買いたくないタイプ。成長力と言われればそれまでだが、大阪杯の時点ではそこまで評価は高くなかった。ここ2走のパフォーマンスで一気に世間の見る目は変わったが、絶対的な信頼まではどうか。
フィエールマン(想定2番人気)
去年の有馬記念(4着)は、池添騎手がアーモンドアイを負かすために強気の競馬をしたがために最後は甘くなってしまったが、負けて強しの内容だった。
また母リュヌドールの産駒らしく体質が弱く、レース間隔を空けたほうが良い馬なので、前走後にジャパンカップをパスして有馬記念を目標にしたローテは好感が持てる。
しかし当初はオールカマー⇒ジャパンカップのローテが予定されていた通り、陣営も「軽い馬場の2400m以上がベストの馬」という思いはあるはず。
基礎スピードがないので前走からの距離延長はプラスだが、例年より時計のかかっている今の中山の馬場はベストでない。
血統的にはディープ産駒の牡馬は、これまで皐月賞3勝、ダービー6勝、菊花賞4勝している。それに対し古馬のディープ産駒の牡馬は、2000m以上のG1を4勝(スピルバーグ:天皇賞・秋、アルアイン:大阪杯、フィエールマン:天皇賞・春×2)しかしていない。これはディープ産駒の牡馬が早熟傾向にあることを示すデータだろう。
血統的にはややピークが過ぎた感はあるものの、能力の高さで4つ目のG1タイトル獲得となるか。
ラッキーライラック(想定3番人気)
同期のアーモンドアイに隠れているが、G1を4勝している実績馬。今回の有馬記念が引退レースになるとすでに発表されている。
この馬の持ち味はやはり瞬発力である。レース上がりでも成績の良し悪しが顕著に表れていて
レース上がり34秒9以上(1-2-2-2)
レース上がり34秒8以内(6-1-1-2)
である。またこれまでG1を4勝しているが、いずれも自身の上がりタイムは33秒9以内であり、持ち味の瞬発力を活かして結果を残してきた馬。
それに対して過去5年の有馬記念の平均上がり3Fは36秒1なので、この馬のストライクゾーンではない。ラストに急坂があり、例年より時計のかかっている今の中山の馬場は合わないはず。
今年に関しても自身の上がりがかかった宝塚記念(3人気6着、自身の上がり:38秒8)、札幌記念(1人気3着、自身の上がり:35秒5)とパフォーマンスが良くない。
カレンブーケドール(想定4番人気)
まだ重賞未勝利ながらG1で2着3回と能力は高い。また12戦して3着以内が10回、4着が2回と高い安定感がある。池添騎手に乗り替わり、悲願のG1初制覇を目指す。
この馬の持ち味は持続力で、それが光ったのはオークス。前半5F:58秒9でラスト1Fは全馬が脚が上がってしまうタフな流れの中、先行してクビ差2着に粘るかなり強い競馬。同じく先行したクロノジェネシスがラスト1Fで失速し、馬群に沈みそうだったあたり、この馬の持続力が優れていることを示している。
オールカマーを叩いて、前走のジャパンカップが秋の最大目標かと思いきや、中間の調教は目立った動きをしていなかった。状態面は完璧ではなかったはずだが、それでいて2着馬コントレイルとタイム差なしは評価すべきだろう。
持続力が武器の同馬にとって2度急坂を上り、タフな馬場の中山コースは適性がありそうだ。超単純な話でいうと、今年の1番ハイレベルレースは間違いなくジャパンカップ。そこで勝ち馬から0.2秒差の4着なら能力は現役トップクラス。またジャパンカップの1、2、3、5着馬は今回出走しない。それでいて4番人気ならオッズ妙味はこの馬だろう。
ワールドプレミア(想定5番人気)
去年の有馬記念3着馬。昨年はアエロリットが前半1000m58秒5のハイペースで飛ばす中、最後方を追走して直線だけにかける競馬が見事にハマった感があり、この3着はあまり評価できない。
前走のジャパンカップは11カ月の休み明けだったが、6着と恰好はつけた内容。1週前追い切りで武豊騎手が跨ったが、状態は良くなく、一度叩いて有馬記念が目標という報道もされていたほど。一度叩いてどこまで状態が上向くかだろう。
またフィエールマンの欄でも書いたが、ディープ産駒の牡馬は基本的に早熟傾向にある。4歳になってまだ1戦しか走っていないが、競走馬のピークとされる4歳秋を迎え、どこまで成長しているかがカギとなりそうだ。
オーソリティ(想定6番人気)
前走のアルゼンチン共和国杯は骨折明け、6カ月ぶりのレースと万全ではない状態で勝てたことは一定の評価ができる。しかし直近1年で重賞を勝ったのが、ユーキャンスマイル1頭のみと例年より低レベルのメンバー構成だったのは事実。また54kgのハンデに恵まれ感も否めない。
また今年の3歳馬は古馬混合戦の成績を見ても明らかに低レベル。今年の3歳馬の中で決してトップグループではない同馬が古馬混合のG1で通用するとは想像しがたい。
オカルトだが、ジャパンカップを3歳馬が勝った年(1998年、2001年、2010年、2012年、2018年)の有馬記念はすべて3歳馬が勝っている。つまり有馬記念で勝ち負けするためには、世代レベルの高さはとても重要なのだ。
ラブズオンリーユー(想定7番人気)
ベストパフォーマンスはオークス。前半5F:58秒9でラスト1Fは全馬が脚が上がってしまうタフな流れの中、最後まで伸び切る強い内容だった。
19エリ女、20エリ女ともにトップスピードの質が求められる展開では、分が悪い。前走の瞬発力戦⇒タフな2500mの持続戦の条件替わりは好転だろう。
ただ古馬になってからは、高いパフォーマンスを見せていないのは事実で、成長力にやや疑問が残る。馬のタイプは違うが、全兄リアルスティールは5歳秋に毎日王冠、6歳春のドバイターフ3着など比較的息の長い活躍だったが、この馬ももう一段成長が必要になるだろう。
キセキ(想定8番人気)
前走のジャパンカップ(8着)は1角でヨシオが競りかけて来たのが大きい。1800m通過1.45.2、2000m通過1.57.5のハイラップ逃げてしまっては粘れるはずもなく、度外視可能と見ていいだろう。
道悪の菊花賞(1着)、超高速馬場のジャパンカップ(2着)など好走レンジはかなり広い馬である。しかしルーラーシップ産駒らしくベスト条件は大箱コースなので、過去の中山実績(18有馬5着、19有馬5着)を見ても、小回りの中山は本質的には合わないはず。
また3歳から長きにわたり高いレベルで能力を維持しているものの、やはりピークは2年前の4歳秋だったはず。ややピークが過ぎた感は否めない。