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去りゆく夏を想う酒
夏酒の定義は様々で、スッキリ、サッパリとか、夏の食事に合わせてとか、その味や造りは酒蔵によって異なる。夏の時期の中心に発売される季節酒ではあるので、人気の夏酒とされるコイツを、夏のうちに飲んでおく。
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この「カブトムシ」、香りりはそんなに高くないが、口に含んでみると、柑橘系?リンゴ?ちょっと独特で、柑橘系ならライム、リンゴなら芯の渋いところ?のようなクセのある感じ。
味の方は。。とにかく「酸」。酸を中心に全てが組み立ててある。その酸は、芯が太くて先が鋭い円錐形みたいな形か。これ、気になる人は苦手かもよ。酢じゃないから酸っぱくて飲めないって訳じゃないけどね。
飲み進めてゆくうち、お酒が開いてゆくうち、その芯の太い酸の部分の土台が米由来の旨味、苦味、甘味などでしっかりと支えられていることが見えてくる。でもこれは顕著じゃない。とにかく酸が主役で他の風味は全てその酸の引き立て役。その主役もクセも押しも強め。苦さや軽いエグ味も感じる。
スペインにチャコリと呼ばれるワインがある。チャコリの定義は広いけど、その中で高い位置から注ぐ酸っぱいやつ。その日本酒版って感じ。チャコリよりも深みはある。それは日本酒的であり、ある意味重厚。和食よりもイタリアンやスパニッシュ、ビネガーとオイルを使ったカルパッチョや揚げ物にレモンや酢をかけたもの、そうゆうものに合うと思うし、日本人には酸っぱいだけのワインよりもこちらの日本酒の方がオススメ。
スッキリサッパリ、冷やして夏の盛りに海辺のテーブルで昼飲み。。花火を眺めつつ、枝豆や冷奴でも食べながら。いやいやそんな感じのお酒ではありません。もっと深くて重い味。
夏の終わりに、しっかりとしたディナーと共に、過ぎゆく季節を想いつつ飲む。そんなお酒。かな。