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思い出す限り、10年前の当時だけが そのヒッピー男が唯一 髭の長さをまだ気にしていた 我々の貴重な青春時代であった。 わたしは上海にいた。 暗黒時代真っ盛りの時期、最後「光」に向かうために必要な経験をしていたころで そんな時、わたしはヒッピー男に出逢ったのだった。 ヒッピーは、わたしの光となった。 ○ 一応、アメリカ文化やらヒッピー文化に馴染みのない諸君のために ヒッピーについて説明をすると、60年代世紀のスーパースタービートルズの時代に「戦争反対」と書かれたボードを掲
その日は今日のような爽やかな、夏の陽気の残りカスが混じった秋晴れで ハドソン川の向こう岸について、 その川沿いの公園から一望できるミッドタウンのビルたちは 中にいるときはねずみ色の無機質な巨人に囲まれているようなのに それはそれは、 美しい並び方をしていることを知った。 視界を遮るものはなにもなく、空には雲ひとつなく、 わたしはやっぱり 何も持っていなかったけれど その真っ青な風景を ただ何枚も、カメラに収めた。 バスだか電車に乗って向こう岸へ渡る機会は
思い思いの水無月は こっちでもあっちでも着実に過ぎて行って 水のない月の間わたしは混乱したまま 気づいたら時間だけが過ぎていた そんな夜 久しぶりにもう一度 色々な事を素直に楽しいと感じられて もう一度シンプルに、いこうとやっと思えて 食べる事も料理をすることも 苦しくてしょうがなかった数日を抜けて カリフラワーを食べたときに、 なんと、カリフラワーの味がした。 そのとき本当にほっとして にんじんが、甘いと感じられる そんなあたりまえの感覚を失っていたわ
マンハッタンの島から出て一駅くらいの Queensboro Plazaの駅で、黄色から紫の線に乗り換えるために一度プラットホームに降りて、 そうしてもうじき次の日になるような深い時間でも、絶え間なく動いている人達の間で私はずっと月を探していた。 みえるのは、Citi bankのよく目立つ高いビルの光だけで、 あとはあまり何も見えなかったし、いつもは五月蝿い各国の声もあまり耳にはいらなかった。 長い一日が終わって、私はずっと彼のことばかり考えていて、雲隠れした月を見つけ