能登半島地震のデマ・避難所編
この記事は
当初は1月8日ごろ、5本くらいのデマをぶった切る予定だったんですが、新しいデマは想像を絶するスピードで量産されており、20本を超えてしまいました。
今日は震災から2週間。キリがないので一旦締め切り、数回に分けてアップしようと思います。
なぜ物資が足りないんだ!
給水車に列を成している状態を〝足りない〟と言うかどうかは論が分かれます。
もちろん足りてないから並ぶんだけど、これでは水道の完全復旧までずっと〝足りない〟になってしまい、どこもかしこもずっと足りない!大変だ!との誤解を生んでしまいます。
なのでこのnoteでは「給水車すら来ない状態」を〝足りない〟と定義します。食料も同様で、避難所まで届いていれば〝足りてる〟と表現します。
といわけで現在の問題は「孤立集落へ届けられていない」というのが正しい。中継地点や市街地の避難所へは届いてる。課題はいわゆるラストワンマイルです。
届きにくい理由は、こんな場所だから。動画見てビビリました。
ボランティアを使って届けろと叫ぶ人もいますけど、正気なんですかね。30キロ40キロの物資を背負い、崖を登らせるの?
発災直後の能登半島はこんな感じ。ボランティアを投入したら二次災害まっしぐらでしょう。
地図を見ると分かりますが、被害の大きい輪島市や珠洲市は能登半島の奥。南から入るルートしかありません。
能登半島をぐるっと回る大動脈・R249が完全に死んでしまいました。孤立集落もほぼR249沿いです。
ならば海から?
いえいえ、地形を見ると能登半島の特殊性が分かります。奥能登の地形は、山からいきなり海になる。
平地の少ない地形で断崖も多い。
そもそも孤立集落は港のそばじゃありません。
ホバークラフトを使い海岸へ上陸するミッションを行っていますが、結局のところ集落へ向かう道は閉ざされている。土砂を踏み越えて進むしかなく、現在もギリギリの活動が続いています。
あの地区で200人、この地区で5人、そちらの地区で60人と、点在する小さな小さな集落は、今も物資の不足に悩まされています。
なぜ通行止めにするんだ!
四方八方から現地入りできる平地の災害と違い、能登は小さな半島。陸路は南からしか行けません。
一般車両の流入により極めて激しい渋滞となっており、大型トラックに積まれた緊急避難物資を効率よく届けられませんでした。今も渋滞は発生しており、物流の回復に支障を来しています。
だから、総理も知事も現地の人達も「今は能登へ来ないでくれ」というんですね。
三連休を終えましたが、まだまだ不要不急なら能登入りは避けるべき。
元ニュースキャスター・立憲民主党の杉尾ひでや議員は先日、頼まれてもいないのに被災地の奥深くへ侵入し、行き止まり。「通行止めの看板を設置しろ」と暴言を吐いて炎上しています。
一方、県都・金沢は何の問題もなく行けるので、観光は県南部・金沢周辺までにしましょう。行ったら現地でお金を使いましょう。
石川・富山といえば、冬の回転寿司。白身の魚が激おすすめ。
体育館に雑魚寝させるのは日本だけ!欧米の避難所を見て!
発災直後、東ちづる氏によって拡散された画像がこちら。
避難所に体育館を使うのは日本だけ! 欧米は温かい食事を提供しており、非常食なんて日本だけ!
ほんとかよと思ったら嘘だった。
では、東ちづる氏の指摘にあるようなテントは実際にあるのか。
これはある。そういう避難所も確かにあった。
でもちょっと考えてみてください。こんなテントで北陸の豪雪に耐えられるでしょうか。氷点下の気温に耐えられる? 梅雨の雨は? 夏の酷暑は?
高齢者に屋外のテント暮らしを強いるのは、死ねと言うに等しい。
そしてイタリアのこの避難所にはオチが付いており、なんと、1年後の仮設住宅設置率はわずか23%。被災者の8割近くは仮設住宅に入れませんでした。
日本なら2ヶ月もすれば仮設住宅への入居が始まりますし、ホテルや借り上げ住宅への二次避難も2週間ほどで始まります。
かたやプライバシーはあるけど1年後もテント暮らし。かたや2ヶ月後にエアコン完備の仮設住宅。
どっちがマシと思うかは人それぞれかな。
そもそもイタリアには日本のような大きな体育館は少ないみたいですよ。テントを使うのは、そんな理由もありそう。
一方、体育館でのプライバシーは日本でも配慮されるようになってきた。
体育館内のテント。
トイレ問題は残るにせよ、プライバシーは確保されます。一カ所に集まる安全性と、情報伝達の観点から、日本は今後も体育館中心の一次避難となるでしょう。
その上で、今後も一歩ずつ、質の面(特にトイレ)を改善してほしいと思います。
フェリーを避難所として活用しろ!
山本太郎がそう語ったことを受け13日、れいわ新選組支持者を中心に大きく喧伝されました。
しかし、素人でも思いつくことはプロはとっくに検討しているわけで。自衛隊の保有する客船を投じることが、既に決定していたんです。
なんならもう入港したみたいです。
このフェリー、宿泊は1泊のみ。風呂・レストラン・ベッドで疲労を軽減してもらう趣向とのこと。
「すぐやって岸田!」と迫るポストをしたれいわ支持者さん。積極的に返信していましたが、政府はとっくにやってると知った瞬間、この件について何も語らなくなっちゃいました。
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最新情報を知りたい
新聞社の報道は扇情的な色をつけてくるので、災害時はNHKです。
NHKは取材予算を削っていません。情報量を確保しているので安心できます(情報量が少ないと記者やキャスターの〝作文〟が増える)。
現地の状況を正確に知りたい
石川県の公式WEBサイトに全て掲載されています。
被災した人への呼びかけ、支援したい人への呼びかけ。実際の被害状況や、災害対策本部で使用された資料などを公開しています。
大規模災害時から国民を救う仕組みを知りたい
災害だからと何でもやっていいわけじゃなく、きちんと法律を用意しています。その中心が〝災害対策基本法〟。
その中で、発災直後の応急期は〝災害救助法〟を適用します。
応急救助と復旧復興。フェーズが分かれていることに留意しましょう。「予算が少ない!」系のデマは、短期的な応急救助予算と、長期の復旧復興予算とを混同していると分かります。
どのような救助活動をしているか知りたい
【消防】
【自衛隊】
↑このホバークラフト(LCAC)。日本共産党は「侵略に使用される」として大反対してたんですよね。平成12年の国会で小池晃氏が強く主張していた。
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