【小説】 「夏の始まり雨上がりの朝」01
──午前五時。季節は夏のはじまり。雨上がりのまだ静かな街並みからは、小さな鳥たちのさえずりだけが聞こえる。
様々な家が立ち並ぶ、華やかな住宅街に一棟の古いマンションがある。
その七階建てマンションの一室は、ベランダの掃き出し窓が開けっぱなしになっていてカーテンもかけられていない。
部屋の中には一人の子供が床に敷いてある布団に寝そべり、タオルケットシーツに包まりながらシーツから頭だけを出してボーっと天井を見つめていた。
ベージュピンクのような明るい茶髪に、カモメ