白雪姫と南の森の仲間たち、とパンダ Vol.1
-南の森の仲間たちは、西の白雪姫に連れられて、樹樹なシンデレラに会いにいく-
第1章 白雪姫のゆううつ
「はぁ」
西の緑地の山奥に住む白雪姫は、
最近ため息をついてばかりです。
それもそのはず、経営指針書が更新できてないのです。大きな声では言えませんが2020年に、初めての指針書を作成して以来、一度も更新していません。
「はぁ」
白雪姫は、もう一度大きなため息をつきました。
「そういえば、南の森では更新の会をしてるって聞いた」
西の緑地からでも参加できるのかな。
考えはじめると、いてもたってもいられなくなりました。うずうずうずうず。
「どうしたらいいのかしら?」
「そうだ、ぱんちゃんに聞いてみよう!」
ぱんちゃんは、西の緑地のお世話係です。
庭づくりのお仕事をして、みんなを笑顔にしています。
りーん、りんりんりん。
白雪姫は、ぱんちゃんに電話をかけました。
「はろー、ぱんちゃん。
南の森の更新の会、わたしも参加できるかな?」
ぱんちゃんは、白雪姫のお悩みを、うんうんうんと、聞くと、
「大丈夫だよ、行っておいで。ぼくが、南の森のメエちゃんに頼んでおくよ。安心して行っておいで」
メエちゃんは、南の森のお世話係さんです。
白雪姫は、まだ会ったことがありません。
「どんな人なのかなぁ」
白雪姫は、新しい人に会うのが大好きです。
南の森に行くのが、楽しみになりました。
わくわく、わくわく。
南の森に行くことで、頭の中がいっぱいになりました。
「白雪ちゃん、もしもし?電話つながってる?」
ぱんちゃんの声で、白雪姫はハッとわれにかえりました。
「ぱんちゃん、ごめん、ワクワクしちゃって、電話してるの忘れてた」
「わはは、白雪ちゃんらしいね」
「えへへ」
「そうだ、白雪ちゃん
ひとつだけ、大切なこと伝えておくよ」
「うん、それはなに?」
「かならず西の緑地にかえってくるように」
「んー?どういうこと?」
「南の森は、西の緑地より、あたたかいし、海もある。美味しいものもいっぱいあるよ。人もおおぜいいる。白雪ちゃんには、とっても魅力的なところだと思うんだ」
「うん」
「だからね、更新の会に参加したら、南の森に住みたくなるんじゃないかって、僕はちょっと心配してるんだよ」
「そうなんだ!」
白雪姫は、目をぱちくりしました。
「ぱんちゃん、実は、わたし、自分のことが、よく分からないの。だから、南の森にいったら、自分がどうなるか、分からない。でも、でも、目的と目標は、経営指針書の更新なの。それがキッカケで、西の緑地に戻ってこなくなるなんて、考えられない、、、。」
ぱんちゃんは、何も答えませんでした。
白雪姫も、だまったままです。
沈黙のときが流れました。
突然、白雪姫の本棚から、
一冊の本が落ちました。
うすい緑の本です。
1ページ目をめくると、こう書いてありました。白雪姫は、ぱんちゃんに聞こえるように、本を朗読しはじめました。
「あっ」
ぱんちゃんが、ふと気づいたように小さな声をあげました。
「うん」
白雪姫も、声をだして大きくうなずきました。
答えは、この薄い緑の本の中にありました。
「ぱんちゃん、わたし行ってくるね。」
「うん、行っておいで!」
かくして、西の緑地の白雪姫の冒険が始まりました。
白雪姫は、経営指針書を更新することができるのでしょうか?
南の森はどんな場所なのでしょうか。
お話は、次回に、続くかもしれません。
附録 ぱんちゃんのモデルなど
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