わたしの愛したあなた 4
「ごめんね、急に」
アキトが申し訳なさそうな顔をして言った。
「アキト先輩ですよね。びっくりしました。まさかいるとは思わなくて。」
段々と冷静さを取り戻してきて顔の赤みも引いてきた。身体から飛び出そうな心臓も、だんだんと落ち着いてきてくれた。
「どうして連絡先教えてくれないの?」
「え、、、、えっと、、だって、、、、。」
「チカのことなら気にしないでよ。大丈夫だから。」
「。。。。。」
言葉に詰まった。チカは同級生の女の子。仲良い時もあったけど、小悪魔ちゃん。顔も可愛いしスタイルも良くて、学校内でも指折りに入る可愛さ。
可愛いんだけど、自分が一番だからわたしは苦手だった。わたしはいわゆる普通。それなりに恋もしたけどモテた経験もないし、嫌われるのが怖いから友達にも彼氏にもワガママなんて言えない。性格は明るいし、男女関係なく友達は多い。けど友達止まりにしかならない。
お前いい奴だなー。で終わる。
だからチカには陰ながら嫉妬心もあったし、苦手だったんだ。
だんだんと疎遠になってきて、中学を卒業する頃にはチカの甲高い声を聞くだけでゾワゾワって、しちゃうときもあった。
アキトが高校生になって、チカとアキトは別れた。チカはアキトと同じ高校に行きたかったけど入れず。
ただ、わたしが行きたい高校にアキトはいた。