金沢の古民家ゲストハウス、西玖(SAIK)に泊まってみた写真日記と床の間問題
金沢に行く時は、勉強のためにも色々なお宿に泊まってみようと思っていて、今回は野町というエリアにある、西玖(SAIK)の2階、朱の部屋に宿泊。
立地でいうと、金沢駅からは3.7kmほどあるのでよほどの健脚でなければバスかタクシーに乗らないといけないし、飲み屋さんのある繁華街までは川を越えないといけないし、ちょっとヒューマンスケールを超えた大通りに面しているのが難点なのだけど、最近人気が出つつある西茶屋町(いわゆる金沢の茶屋町は東茶屋町を指す)から近いのもあって、将来的にはさらに人気が増しそうなエリア。そして道の斜向かいにローソンがあって、そこにまち乗り自転車のポートがあるのが便利です。ワカメは公共交通が苦手なので、東京でも金沢でもできる限りこのレンタル自転車を愛してやまない。
建物の古さなどの詳細は見つけられなかったのだけど、きっと戦前の築と思われ、割とハードコアな町家に見えます。おそらくは純粋な住宅ではなく、何か商売をしていた町家なのではないか。薬屋さんや酒屋さんならもっと大きな構えな気がするから、お米屋さんとか、和菓子屋さんあたりでしょうか。
以前はカフェとして営業をしていたみたいですが、現在は無人で宿泊者が自由に使えるスペース。
靴を、下駄箱に入れて2階に上がります。チェックインの電話をした際にもらった暗証番号でキーボックスを開けて中へ。名前の通りの赤い部屋。
以前は縁側的なスペースだったところと、元納戸?に水回りがあり、とてもスマート。
町家といえば、基本的にはペラペラ建築なので断熱と防音が課題。私の泊まった部屋は大通り沿いだったからか、ガラス窓が二重ではめてありました。また、和室と外気の間には縁側的なスペースがあったので断熱・防音効果あり。
そして、床の間。これはもう、とても地味だけどワカメ的にはこれからものすごく考えなくちゃなあ、というテーマなのだけど、みなさん、床の間って、大切な場所って思えていますか???日本建築においては、本来は神様や仏様が降りてくるような神聖な場所らしいです。それで、家の中でももっとも大切な掛け軸だったり壺、香炉などを飾るスペース。
一方で、おそらくは大型スーツケースで来日した外国人が、スーツケースを開けるための空間と認識するのが、真っ先にこの床の間なんじゃないかと私は思っていて、そう感じせないためには、もっと便利な荷解き場を用意しなくちゃいけないのだろうけど、余ったスペースもないので、痛し痒し。
実際、この朱の部屋の床間にも以前は花瓶があったのに数年経った今は撤去されてるのは、荷解き場が必要だったせいなのかも、と想像。いっそ、もう床の間は「ラゲッジスペース」くらいに捉えたほうがいいのか??
お値段は一人で一泊12,000円ほど。防音対策はしっかりしていたし、過不足なくありがたいステイだった。不満というほどのことはないのだけど「ああ、これはどうしようもないな」と感じたのは、道路側だったせいで大型トラックが通ると建物全体が振動したこと。ずっと鉄筋コンクリートの建物で暮らしているとこういうの感覚を忘れてしまうもので、明け方に通過するトラックの振動で熟睡とはいかなかった。道路から離れた側の部屋なら多分そこまで感じないと思う。
これから自分が作る宿屋についても狭さや振動、不便さも含めて町家なんですよ、と捉えて貰いたいという気持ちはあるが、きっとそれでは通用しない側面もあるだろうと思う。特に寒さについては、日本の木造住宅の寒さは多分世界的に見て異常なので、寒いと激昂系クレームやレビューがつくかもしれない。海外客に対してどこまで日本のスタンダードを受け入れてもらおうとしていいのか、がワカメの次の問い。