4.6億ユーザーのメタバース「ZEPETO」が生み出す、企業と顧客の新しいつながり・価値・体験 ―enXross協賛企業対談・ソフトバンク&NAVER Z
皆さん、こんにちは。
enXross事務局です。
日本最大級のエンターテインメントシティ・東京ドームシティの新プロジェクトenXross(エンクロス)は、デジタル技術を活用した経済圏創出や、お客さまの感動体験アップデートの実現を目指す取り組みです。
こちらのnoteでは、世界のエンターテインメントとイノベーションの交差点・enXross協賛企業の皆さまへのインタビューを通じて、各社のビジョンやサービスの魅力などをお伝えします。
今回は、enXrossプラチナスポンサーのソフトバンク株式会社の井手口哲さんと、メタバースサービス「ZEPETO(ゼペット)」を展開するNAVER Z・加嶋雄⼀さんによる対談をお届けします。
急速に利用が広がる「メタバース」、その市場規模とは?
― 注目市場として期待されているメタバースですが、市場規模やユーザー層はどのようになっているのでしょうか。
井手口さん 最初に、メタバースとは何かからご紹介します。
メタバースとは、一般的にインターネット上で、自分の分身であるアバターを作成して、ほかのユーザーとコミュニケーションしたり、ゲームで遊んだりすることができるサービスです。SNSとの違いは、それが仮想空間上で展開されるということで、メジャーなサービスには、「ROBLOX(ロブロックス)」や「Fortnite(フォートナイト)」、それから今日のテーマでもある「ZEPETO(ゼペット)」があります。
矢野経済研究所の調査では、2022年度の日本のメタバース市場規模は1,825億円。前年度比で245.2%も成長しており、2023年度には2,851億円まで成長すると見込まれています。さらに2027年には約2兆円規模になるとされていて、かなり右肩上がりの成長が期待されている領域です。
世界規模でも成長が見込まれていて、総務省の「情報通信白書令和4年版」では2021年に約4兆円だった市場規模は、2030年には約78兆円にまで拡大すると予想されています。
加嶋さん 市場規模の拡大はZEPETOを運営している私たちも感じます。
ZEPETOはサービスが始まって5年目ですが、最初はアバターがあるだけのサービスだったんです。そこからアイテムを作れるように、それを販売・購入できるようになり、さらにゲームやチャットができる「ワールド」を作れるように、といろいろな機能が搭載され、表現のバリエーションを増やして、今に至っています。いろいろな表現ができるようになったことで、参画される企業も毎年増えています。今ではグローバルで150社以上がZEPETOで展開しています。
井手口さん 急速な伸びの要因は、コロナ禍が大きなターニングポイントだったと思います。メタバース自体はコロナ以前からありましたが、コロナ禍で生活が大きく変わって、デジタルを介したコミュニケーションが増えました。外出制限もあった中でメタバースに注目が集まり、今の成長につながっていると思っています。
― ユーザーにはどんな方が多いのでしょうか?
井手口さん やはり若年層がメインですね。身の回りでも、若い方はやっているけれど、上の世代では知らない方も多い状況です。ゲームプレイやSNS的な使われ方をしているので、若年層が多いというイメージです。
加嶋さん メタバースの世界ではアバターの見た目を自分で作ったり、その姿でボディランゲージをしたいなど、「表現」にバーチャルコンテンツ生成の手間がかかります。そこにより慣れている若年層ユーザーが入りやすいのではないかと仮説を立てています。
全世界で4.6億人が参加、Z世代・α世代が注目する「ZEPETO」の魅力とは?
― ZEPETOは、どんなサービスなのでしょうか?
加嶋さん ZEPETOは、スマートフォンアプリ(iOS、Android)を基本に一部、PCでも提供しているグローバルのメタバースサービスです。
全世界で4.6億人あまりがユーザー登録をしていて、日本や韓国、中国、インドネシア、ベトナムなどのアジア圏が一番多いのですが、アメリカやブラジル、フランス、サウジアラビアなど、全世界にユーザーがいます。
年代的にはZ世代、α世代と言われる20代前半より若い方々が多く、全体の8〜9割ほどを占めています。また、ユーザー層に女性が多いことも特徴で、7〜8割が女性です。
ZEPETOは他のメタバースサービスに比べて、SNSの要素が強いんです。ZEPETOでもゲームはできますが、TikTokやInstagramのようにユーザーがコンテンツを投稿できるので、今ではUGC(ユーザー生成コンテンツ)が非常に増えてきています。
少し前に、アバターにお菓子を食べさせる動画を作るのが流行ったのですが、これがTikTokの方でバズったことがありました。こういうトレンドが盛り上がったときには、公式側でもテンプレートを準備したりして、ユーザーにより楽しんでもらえるようにしています。
また、ユーザーの中にはアバター用のアイテムなどを創作するクリエイターという人々がいて、彼らの作ったアイテムがZEPETO内で流通する、クリエイターエコノミーが機能していることも他にない特徴です。
井手口さん 加嶋さんがおっしゃったSNS要素が強いという点は、確かに他のメタバースにない強みですよね。
ZEPETO内で撮った画像や動画を、TikTokやInstagram、YouTubeのように他のSNSに拡散できるんです。手間をかけてカスタムした自分のアバターや、自作のアイテムなどをたくさんの人に見てほしいという欲求は若い人ほどあると思うのですが、そうしたニーズをつかんでいるなと、いちユーザーとしても思います。
それから、企業の立場としては、SNSに親和性が高いという点を活かして、ZEPETOのクリエイターとコラボすることでそのファンを巻き込んだ施策ができる、という点も面白いところです。
メタバース空間を活用したマーケティング・コミュニケーションの可能性
― ZEPETOを企業として活用するときは、どんな使い方があるのでしょうか。
加嶋さん 企業のメタバース活用というと、リアルのものを仮想空間上に再現する施策を考えがちですが、ZEPETOはSNSと同じように使っていただくケースが多いです。
対象とする層の人たちに自社やブランドを理解してもらうというブランド体験目的や、自分たちのビジネスのプロモーションや店舗への集客を促す目的、ワールド内でアイテムなどの販売を行うマネタイズ目的の大きく3つに分かれます。
井手口さん ソフトバンクでは、「ソフトバンクショップ in ZEPETO」というワールドを展開して、若年層をターゲットに自社のオンラインサイトや実店舗への誘導のきっかけにしています。当社には「お父さん」というキャラクターもいるので、そうしたコンテンツも活かしつつ、累計で数十万人単位の方に訪れていただいています。
テレビや新聞、ウェブなどさまざまな広告媒体がありますが、若年層にターゲットを絞って届けることは結構難しいと感じます。そうした中でZEPETOは若い世代に絞った訴求が叶えられると思います。
加嶋さん 以前、ソフトバンクさんがAKB48のコンサートの配信パートナーになったときには、プロモーションの最大化をねらって、AKB48のTシャツを作って、推しメンのハッシュタグを付けて応援しようというイベントをしました。これは日本以外のアジア圏の方々にもたくさん参加していただきましたよね。
メタバースを通じて「価値」や「体験」を届ける
― ユーザーやクリエイターと一緒にコンテンツや世界観を作るということも大切になりそうですね。
加嶋さん Z世代やα世代にZEPETOが選ばれている理由の一つに、ZEPETO独特のクリエイティビティや世界観があると思います。K-POPのアーティストや、アメリカ、日本のアーティストの方が参画している事例もあるのですが、アバターのアイテムやワールドの雰囲気など、ZEPETOだけのオリジナリティに関心を持っていただいて、一緒にコンテンツを作っていっています。
ZEPETOには、①自分の姿を作るアバターとアイテム、②3D空間のワールド、③アバターにさまざまな動きをさせるモーション、④さまざまなコンテンツが投稿されるフィード、⑤クリエイターエコノミー、⑥ZEPETOで生み出したコンテンツを外のSNSにつなぐ、という6つの場や機能があります。
表現できるツールがたくさんあり、それを発信したり共有できる場があることで、ZEPETOならではのクリエイションやコミュニケーションができるようになっています。
井手口さん 自分でも使ってみて思いますが、リアルでは買わないアイテムをZEPETOで着てみたり、自由度が高いところがすごく面白いと思っています。
― すでに多くの企業がZEPETOに展開しているということですが、まだまだ可能性はありそうです。今後の広がりについてどう見ていますか。
加嶋さん 今まではアパレルや化粧品など、何か身につけるための商品をお持ちの企業とメタバースの相性がよかったのですが、最近は自動車業界や流通など、幅広い業界の企業に参加いただいています。これは、先ほどお話ししたように表現できることが増えたからです。例えば、自動車であれば、ワールドの中で新車に試乗するという体験を提供できるようになりました。届けられる体験が拡大したことで、よりいろいろな業界の方が入りやすくなりました。
そこで大切になるのは、どういう体験を提供するかということです。参画する企業さんとお話しさせていただくときには、そもそも、その商品やブランドが提供する価値や体験とは何か?というところまで立ち戻って考えて、ZEPETOでの表現に落とし込んでいきます。
井手口さん 私たちは、加嶋さんたちとタッグを組んで、「本当にやりたいこと」に目標を絞るということを大切にしてご提案しています。
独自でメタバースを展開している企業も多くありますが、あまりうまくいっていないというご相談もいただきます。それはなぜかというと、認知獲得や集客に難しさがあるからです。苦労して自分たちで作るのではなく、すでに世界で4.6億ものユーザーを抱えているZEPETOで一緒にやりませんか、というのが私たちの提案です。
まだメタバースの世界にどう参入すればよいか迷われている企業担当者の方も多いと思いますので、enXrossをきっかけにZEPETOの魅力を体験いただければと思っています。
加嶋さん enXrossはエンターテインメントをテーマに展開していますよね。エンターテインメントはバーチャルサービスとのシナジーが発揮しやすい領域だと思いますし、特に日本はエンターテインメントに強みがあります。enXrossでエンターテインメントを軸にしたバーチャルサービスのよさや事例をどんどん発信していただければ、私たちにとっても裾野が広がって嬉しいなと思っています。
― 表現の幅が広く、多くのユーザーを抱えるZEPETOは、企業が若い世代とのエンゲージメントを築く重要なプラットフォームになりそうですね。本日はお話ありがとうございました!
東京ドームシティの新プロジェクトenXrossについてはhttps://www.tokyo-dome.co.jp/enxross/をご覧ください!
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